昼夜逆転、目をあけよ

きーち

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オレンジ

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チャイムと言う名のアラームは私を起こした。結局真っ白なノートに文字は誰一人踊らず、よだれのシミが数か所あっただけだった。
家庭科は必要ない。起きるべきは主教科だろう。…………………とはいうものの結局私は国語だろうが数学だろうがおちる。そしてまたアラームが定時に鳴る。
ここは普通に偏差値は高い学校だ。………受験勉強なんてしてこなかったが。親が作ってくれたベースが上質なお陰でここまでこれた。
才能の持ち腐れもいいとこだが勉学に励むつもりはないし、まだ高1だし。90点は常だから、もし勉強してもあと10点しか最大でもとれない。そんな10点のために勉強するのは気が引ける。


そんなこんなで人生サイクルのハンドルをきる私はまだ知らない。
急停止。違う。摩擦による減速。いや違う。
いずれ知る。


今日も通常通りハンドルを回し続け、運行を終えた私はすぐに自宅へと車庫入れを済ませた。 壊れたタイマーが「捨てられてたまるか」と言わんばかりの踏ん張りを見せ、へばりつく冷蔵庫を開け、魚肉ソーセージを1つ手に取った。そういえば、手を洗っていなかった。手に取った魚肉ソーセージをそのまま持ち出し、もう片方の手で閉めた。するとカタンと、軽い音が鳴り響き、足元に目をやった。壊れたタイマーだった。そうか、君は落ちたのか。「0000」の文字が途切れ途切れで表示されたタイマーの顔を親指で撫で、私はそれを元の場所に戻してあげた。もう使えないのに。
手洗いを終え、私は魚肉ソーセージをかじりながら1人リビングのソファに深く腰掛けていた。西日が彩るリビングはとてもオレンジに染まっていた。
少し経ち、玄関の戸が開いた。職場から戻った母だろう。ソファに腰掛ける私を見て、「電気くらいつけなさいよ。薄暗いんだから。目を悪くするわよ。そんなスマホばっかりいじってないで少しは勉強机に座ったら?」
「早々に元気だな、疲れてないの?」との感情を込めて「はいはい」と返した。
いやしないけど。あなたがもう少し馬鹿に産んでくれたら必死だったかもしれない。かもしれない。
取り敢えず自室へと、階段を上った。部活にも入ってないし、今に入ろうとは思わないけど、思った以上に暇な時間があった。帰宅部もいいものではないんだと入学して3ヶ月でもう知れた。中学の頃は卓球部に所属するも1ヶ月足らずで幽霊部員となった。未使用に近いラケットがダンボールで眠っている。
明らかに生き方を間違えたと、ため息を1つ。
「今日も秒針が重い」
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