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「あ、ごめん、怖がらせた?」
「違うんです! すみません、可愛いお耳だと思って……」
彼女の耳に意識が行ってしまい、差し出されていた手に気付かなかった。あらぬ誤解を与えてしまったことに、慌てて笑顔でその手を握る。
「はじめまして、メイベルです」
微笑むメイベルから目を逸らし、長い睫毛に縁取られた焦茶色の瞳を彷徨わせるオリーブの背後で、赤茶色の毛に覆われた尻尾が揺れている。
「オリーブさんも自警団の方なんですか?」
「彼女は一昨日こっちに配属されて来たんだ。犬の獣人だよ」
「女性で自警団員なんて、カッコいいですね」
紺色の制服の上からでも分かる女性らしい身体のライン。スタイルのいい彼女が着ると、制服姿の男性とは違ったカッコ良さがある。素直な感想を口にしたメイベルだったのだが、何故かオリーブは口をモゴモゴしている。
「オリーブが照れてる……」
「可愛いって言われたことなんか、ないだろうからな……」
「カッコいいとも言われて、めっちゃ喜んでるし……」
「普段、おっかないからなぁ……」
「うるっさいわね、聞こえてますけど?!」
コソコソと話す団員にオリーブが吠えた。彼女は一つ咳払いをして、メイベルに微笑む。
「ごめんなさい、取り乱して」
「いえ……」
「改めてよろしくね、メイベルさん」
「こちらこそ、よろしくお願いします」
微笑み返すと、彼女はじっと見つめてきた。焦茶色の瞳が僅かに強い光が宿った気がする。
「あなたとはずっと会ってみたかったの。噂通り、可愛い方ね」
「え? 噂?」
「なんでもないわ。注文、いいですか?」
「あ、はい」
気になる発言ではあったが、今は仕事中だと気持ちを切り替える。注文を書き付けて厨房へと向かいながら、一度だけ振り返ると、こちらを見ていたらしいオリーブと目が合う。ヒラヒラと手を振られ、笑顔を返しながらも、メイベルの胸にはモヤモヤとした思いが残った。
「違うんです! すみません、可愛いお耳だと思って……」
彼女の耳に意識が行ってしまい、差し出されていた手に気付かなかった。あらぬ誤解を与えてしまったことに、慌てて笑顔でその手を握る。
「はじめまして、メイベルです」
微笑むメイベルから目を逸らし、長い睫毛に縁取られた焦茶色の瞳を彷徨わせるオリーブの背後で、赤茶色の毛に覆われた尻尾が揺れている。
「オリーブさんも自警団の方なんですか?」
「彼女は一昨日こっちに配属されて来たんだ。犬の獣人だよ」
「女性で自警団員なんて、カッコいいですね」
紺色の制服の上からでも分かる女性らしい身体のライン。スタイルのいい彼女が着ると、制服姿の男性とは違ったカッコ良さがある。素直な感想を口にしたメイベルだったのだが、何故かオリーブは口をモゴモゴしている。
「オリーブが照れてる……」
「可愛いって言われたことなんか、ないだろうからな……」
「カッコいいとも言われて、めっちゃ喜んでるし……」
「普段、おっかないからなぁ……」
「うるっさいわね、聞こえてますけど?!」
コソコソと話す団員にオリーブが吠えた。彼女は一つ咳払いをして、メイベルに微笑む。
「ごめんなさい、取り乱して」
「いえ……」
「改めてよろしくね、メイベルさん」
「こちらこそ、よろしくお願いします」
微笑み返すと、彼女はじっと見つめてきた。焦茶色の瞳が僅かに強い光が宿った気がする。
「あなたとはずっと会ってみたかったの。噂通り、可愛い方ね」
「え? 噂?」
「なんでもないわ。注文、いいですか?」
「あ、はい」
気になる発言ではあったが、今は仕事中だと気持ちを切り替える。注文を書き付けて厨房へと向かいながら、一度だけ振り返ると、こちらを見ていたらしいオリーブと目が合う。ヒラヒラと手を振られ、笑顔を返しながらも、メイベルの胸にはモヤモヤとした思いが残った。
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