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「メイベル、発情状態の亜人に遭ったらすぐに逃げろよ? それがオスだろうとメスだろうと関係ない。撒き散らすフェロモンに当てられてしまうこともあるからな」
「はい、それはマリリンさんたちからもすごい剣幕で言われました」

 一度、発情期で休んだネリスの元に見舞いに行こうとした時のことだ。女同士なら大丈夫かと、軽い気持ちで言ったことを後悔する程、それはそれは厳しい口調で怒られた。あの時聞いたマリリンの声は、いつもの艶めいた声とは違うドスのきいたもので、心底驚いたのは忘れもしない。

「君は優し過ぎる。みんながみんな、いい奴じゃないんだ。困ってる人にすぐに手を差し伸べるのは君の良いところだが……」
「分かってます」
「本当に分かってるか? まずは自分の身を大事に……」
「分かってますって。ほら、もうお家着きましたよ」

 だんだんとお説教臭くなるお小言を遮り、メイベルは前方に見えてきた孤児院を指差した。かなりわざとらしかったと思うが、まだ何か言いたげなクロードの手を取り家まで走りだした。
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