人外さんと恋をする〜狼さんは怖くない〜

２

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「ネリスが月に一度発情期に入ることは知ってましたけど、コリンは……」
「ああ、コリンはこの間成人したのよ。だから彼にとっては初めての発情期ね」

　コリンとは一年程の付き合いになるのだが、初めて会った時には驚いた。よろしく、と一言言って頭を下げた瞬間、ゴトリと重たい音を立てて落ちた彼の頭。彼はデュラハンという種族で、首と胴体が分かれているのが当たり前。頭を落としたのはわざとで、自己紹介を兼ねた彼なりのジョークだったらしい。デュラハンという種族に初めて出会ったメイベルは彼らの特性など知らず、頭が真っ白になったのは今ではいい思い出だ。

「ごめんね～、あと二日もすればネリスは戻ってこれると思うから、せめてそれまではお願い」
「私は平気ですよ。なんなら、コリンくんが戻るまでお手伝いしますよ？」
「え、本当？　それは、ありがたいけど……」
「コリンはたぶん、長くかかるよ」

　言い渋るマリリンの言葉を引き取ったのはロアナだった。

「そうなんですか？」
「まぁ、個体差があるから確実なことは言えないけど、コリンは初めてのことだしね。少し長くかかるかも」
「だったらなおさらお手伝いしますよ」

　発情期が終わっても、数日は倦怠感が続くこともあると以前にネリスが話していた。戻ってきたとしても、彼女は基本ホールだしやはり調理補助のコリンが戻るまで手伝うべきだろう。

「いいの？　メイベルだって忙しいでしょう？　子供たちの世話だってあるし」
「今は手伝ってくれる人がいますし、女の子たちが頼りになりますから」
「あ、あの狼の獣人ね？」
「はい。でも、彼も仕事してますから、一回持ち帰って相談はさせていただきたいですけど」

　自警団の団員もよくこの店を利用する。特に獣人であるクロードが自警団に加わったことは、ジョセ村にとって大きなニュースとなった。それから彼もちょくちょく『白猫亭』に通っているため、マリリンたちも顔馴染みだ。