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パン屋での仕事を終え、その足で村の中心地から少し離れた歓楽街に向かう。奥に配置されている宿屋では軽食は出るものの、酒は出ない。そのため歓楽街の入り口付近には飲み屋が並んでいるのだが、今は昼を少し過ぎた時分のためまだ開店している飲み屋はない。
メイベルが働く『白猫亭』は宿屋と酒場が一緒になっている。村ではまだ珍しい獣人が経営する店で、従業員のほとんどが亜人だが利用においての垣根はない。昼からでも酒が飲めるとあって、今では村一番の売り上げを誇っているほどだ。
「おはようございます」
「おはよう、メイベル」
勝手口から入ると、調理場にいた大柄な女性が振り返った。ロアナはオークという亜人で、おっとりとした性格だ。だが、調理のスピードは以上に早く、店の注文は彼女一人でさばいている猛者だ。
「ああ、メイベル。来てくれたのね~」
「おはようございます、店長」
「悪いわね、助かるわ~」
「いえ、働くの好きですから」
ガバリと抱きついてきたのは、胸元の大きく開いたキラキラのドレスを身に纏ったマダム。『白猫亭』の店主、アマリリスは大きくため息を吐く。綺麗なオッドアイが陰って見えるのは、彼女の疲れの現れだろう。
「本当助かるわ、ネリスに続いてコリンまで休みになっちゃって人手が足りなくて」
「発情期でしたっけ?」
「そうなの。仕方ないことだけど、日にちが被っちゃうと困っちゃうわね」
発情期は亜人だけにみられる症状だ。種別によって症状の出方は様々らしく、個体差もある。ネリスはアマリリスと同じ猫の獣人で、メイベルがここで働きだした頃からの付き合いになる女の子だ。
メイベルが働く『白猫亭』は宿屋と酒場が一緒になっている。村ではまだ珍しい獣人が経営する店で、従業員のほとんどが亜人だが利用においての垣根はない。昼からでも酒が飲めるとあって、今では村一番の売り上げを誇っているほどだ。
「おはようございます」
「おはよう、メイベル」
勝手口から入ると、調理場にいた大柄な女性が振り返った。ロアナはオークという亜人で、おっとりとした性格だ。だが、調理のスピードは以上に早く、店の注文は彼女一人でさばいている猛者だ。
「ああ、メイベル。来てくれたのね~」
「おはようございます、店長」
「悪いわね、助かるわ~」
「いえ、働くの好きですから」
ガバリと抱きついてきたのは、胸元の大きく開いたキラキラのドレスを身に纏ったマダム。『白猫亭』の店主、アマリリスは大きくため息を吐く。綺麗なオッドアイが陰って見えるのは、彼女の疲れの現れだろう。
「本当助かるわ、ネリスに続いてコリンまで休みになっちゃって人手が足りなくて」
「発情期でしたっけ?」
「そうなの。仕方ないことだけど、日にちが被っちゃうと困っちゃうわね」
発情期は亜人だけにみられる症状だ。種別によって症状の出方は様々らしく、個体差もある。ネリスはアマリリスと同じ猫の獣人で、メイベルがここで働きだした頃からの付き合いになる女の子だ。
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