俺が好きなのはあなただけ〜恋愛初心者は極上男子の腕の中〜

鈴屋埜猫

文字の大きさ
上 下
96 / 96

16-3

しおりを挟む
「侑李さ……っ」

「愛してる、奈月」

 そっと耳元で囁かれ、一気に快感が高まったのが分かった。嬉しい言葉に自分もだと返したいのに、強く揺すられて口から溢れるのは甘ったるい喘ぎ声だけ。だから、言葉の代わりに彼の逞しい身体に抱き付いた。

「っ、奈月、もうっ!」

 掠れた色気たっぷりの侑李の声にすら身体が反応してしまう。何度も頷き、奈月も限界だと伝えると、噛み付くようなキスをされた。途端に激しくなった抽出に、寝室にに響く肉のぶつかり合う音と濡れた音。そして互いの荒っぽい吐息と、奈月の喘ぎ声。
彼のモノがナカで質量を増したと思った次の瞬間、最奥を抉られ奈月は悲鳴を上げる。ピンと張り詰めた糸がプツンと切れて、一気に疲労感がやって来た。その間にゆるゆると腰を動かす侑李のモノがナカで脈打つのを感じ、幸福感に包まれた。
 息を吐いた侑李が髪をかき上げる。その額に汗が浮かんでいるのを見て、奈月もまた汗だくなのにようやく気付いた。

「暑いね、奈月さん、大丈夫?」

奈月のおでこに触れ、汗を拭ってくれた侑李はそのまま離れていこうとする。それが寂しくて彼に抱き付くと、困った様に笑いながら抱き締め返してくれた。

「奈月さん?」

 さっきは呼び捨てにしてくれたのに、と思いながら見上げると、唇にチュっとキスをされる。

「抜かないと」

「……もう少し」

 離れ難くてわがままを言った。すると、喉を鳴らして笑った侑李は、奈月の身体を抱き上げて、少し身体の位置をずらしてまた横たわらせる。ずっと背中を付けていた場所から少しずれただけだけど、そこはひんやりとしていて、火照った身体にちょうど良かった。

「冷房だけ入れさせて」

 ベッドサイドに置かれたリモコンに手を伸ばし、スイッチを入れた侑李はそのまま奈月の上に覆い被さってくる。汗でお互いベトベトだけど、それが気にならないくらい、抱き合っているだけで心地いい。

「んっ…あっ……」

 心地良さに目を閉じていた奈月は、唐突に唇を合わせてきた侑李に驚く。目を開けると、彼はじっとこちらを見ていて、一気に恥ずかしさが込み上げた。

「あ……おっきく……?」

 まだナカにいた彼のモノが、質量を取り戻していくのを感じて喘いでしまう。すると、キスの雨を降らせながら侑李は笑った。

「だから、抜かないと、と言ったのに」

「だって……ぁっ」

 ズルリと抜かれた感覚に甘い声を出すと、避妊具の口を縛りゴミ箱に捨てた侑李は新しいパッケージを噛み切った。1回目もいつの間に着けていたのだろう。それくらい手際よく次の避妊具も取り付け、彼は覆い被さってくる。

「あなたと抱き合っていたら、また抱きたくなる。それに、抜いたら抜いたでそんな寂しそうに鳴かれたら、また満たしてあげないとね」

「うん……満たして……」

 大きな背中に腕を回して抱き付く。すでに潤っている奈月の隙間を先端でかき混ぜた彼が、ゆっくりと隙間を埋めていくのが分かり、奈月は歓喜の声を上げた。

「愛してるよ、奈月。俺にはあなただけだ」

「っ、私も……侑李さ、だ、け……ああっ」

 きちんと応えたいのに、最奥を穿たれて奈月の言葉はすぐに喘ぎ声にとって変わる。そのまま性急に求められて、身体は快感に支配されてしまう。そうしてまた、奈月は彼が与えてくれる愛に溺れるのだ。

しおりを挟む
感想 1

この作品の感想を投稿する

みんなの感想(1件)

柚木ゆず
2021.02.23 柚木ゆず

恋愛小説大賞のページでお見掛けし、お邪魔しております。

本日、1‐5まで拝読しました。

奈月さん、自分が好きなタイプの(見守りたくなる)方ですね……っ。
これから奈月さんがどんな風に過ごしてゆくのか、などなど。
気になる(見逃せない)部分がたくさんありますので、またお邪魔をさせていただきます。

2021.02.23 鈴屋埜猫

感想ありがとうございます!
奈月を気に入っていただけて嬉しいです。
これからの彼女の行く末を、どうぞ温かく見守ってください(*´꒳`*)
楽しんでいただけるよう励んでまいりますので、今後ともよろしくお願い致します!

解除

あなたにおすすめの小説

【完結】誰にも知られては、いけない私の好きな人。

真守 輪
恋愛
年下の恋人を持つ図書館司書のわたし。 地味でメンヘラなわたしに対して、高校生の恋人は顔も頭もイイが、嫉妬深くて性格と愛情表現が歪みまくっている。 ドSな彼に振り回されるわたしの日常。でも、そんな関係も長くは続かない。わたしたちの関係が、彼の学校に知られた時、わたしは断罪されるから……。 イラスト提供 千里さま

溺愛社長の欲求からは逃れられない

鳴宮鶉子
恋愛
溺愛社長の欲求からは逃れられない

一夜限りのお相手は

栗原さとみ
恋愛
私は大学3年の倉持ひより。サークルにも属さず、いたって地味にキャンパスライフを送っている。大学の図書館で一人読書をしたり、好きな写真のスタジオでバイトをして過ごす毎日だ。ある日、アニメサークルに入っている友達の亜美に頼みごとを懇願されて、私はそれを引き受けてしまう。その事がきっかけで思いがけない人と思わぬ展開に……。『その人』は、私が尊敬する写真家で憧れの人だった。R5.1月

二人の甘い夜は終わらない

藤谷藍
恋愛
*この作品の書籍化がアルファポリス社で現在進んでおります。正式に決定しますと6月13日にこの作品をウェブから引き下げとなりますので、よろしくご了承下さい* 年齢=恋人いない歴28年。多忙な花乃は、昔キッパリ振られているのに、初恋の彼がずっと忘れられない。いまだに彼を想い続けているそんな誕生日の夜、彼に面影がそっくりな男性と出会い、夢心地のまま酔った勢いで幸せな一夜を共に––––、なのに、初めての朝チュンでパニックになり、逃げ出してしまった。甘酸っぱい思い出のファーストラブ。幻の夢のようなセカンドラブ。優しい彼には逢うたびに心を持っていかれる。今も昔も、過剰なほど甘やかされるけど、この歳になって相変わらずな子供扱いも! そして極甘で強引な彼のペースに、花乃はみるみる絡め取られて……⁈ ちょっぴり個性派、花乃の初恋胸キュンラブです。

完結*三年も付き合った恋人に、家柄を理由に騙されて捨てられたのに、名家の婚約者のいる御曹司から溺愛されました。

恩田璃星
恋愛
清永凛(きよなが りん)は平日はごく普通のOL、土日のいずれかは交通整理の副業に励む働き者。 副業先の上司である夏目仁希(なつめ にき)から、会う度に嫌味を言われたって気にしたことなどなかった。 なぜなら、凛には付き合って三年になる恋人がいるからだ。 しかし、そろそろプロポーズされるかも?と期待していたある日、彼から一方的に別れを告げられてしまいー!? それを機に、凛の運命は思いも寄らない方向に引っ張られていく。 果たして凛は、両親のように、愛の溢れる家庭を築けるのか!? *この物語はフィクションです。登場する人物・団体・名称等は架空であり、実在のものとは関係ありません。 *不定期更新になることがあります。

初恋は溺愛で。〈一夜だけのはずが、遊び人を卒業して平凡な私と恋をするそうです〉

濘-NEI-
恋愛
友人の授かり婚により、ルームシェアを続けられなくなった香澄は、独りぼっちの寂しさを誤魔化すように一人で食事に行った店で、イケオジと出会って甘い一夜を過ごす。 一晩限りのオトナの夜が忘れならない中、従姉妹のツテで決まった引越し先に、再会するはずもない彼が居て、奇妙な同居が始まる予感! ◆Rシーンには※印 ヒーロー視点には⭐︎印をつけておきます ◎この作品はエブリスタさん、pixivさんでも公開しています

一夜の過ちで懐妊したら、溺愛が始まりました。

青花美来
恋愛
あの日、バーで出会ったのは勤務先の会社の副社長だった。 その肩書きに恐れをなして逃げた朝。 もう関わらない。そう決めたのに。 それから一ヶ月後。 「鮎原さん、ですよね?」 「……鮎原さん。お腹の赤ちゃん、産んでくれませんか」 「僕と、結婚してくれませんか」 あの一夜から、溺愛が始まりました。

冷徹上司の、甘い秘密。

青花美来
恋愛
うちの冷徹上司は、何故か私にだけ甘い。 「頼む。……この事は誰にも言わないでくれ」 「別に誰も気にしませんよ?」 「いや俺が気にする」 ひょんなことから、課長の秘密を知ってしまいました。 ※同作品の全年齢対象のものを他サイト様にて公開、完結しております。

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。