94 / 96
16-1
しおりを挟む
最大の難関である奈月の母を攻略し、奈月はホッと胸を撫で下ろした。滞在した二日の間に、侑李は父と仲良くなったようで、姉の子供たちにも人気を博していた。だが、ただ一人、侑李が攻略できなかったのは深月と樹の三番目の子、長男である広大(こうだい)だけだった。
4歳になった広大は人見知りが激しい子で、他の姉妹たちが侑李に群がる中、一人、見知った奈月くら離れようとしなかった。
唯一の男の子だというのもあるかもしれないが、気難しい子だと思う。話しかければ答えるが、必要最低限。ただ、侑李に興味はあるようだったので、何度か顔を合わせれば慣れていくだろう。
共に暮らす侑李の部屋に帰ってきたのは8月16日の夕方。玄関のドアを開けた瞬間、帰ってきたのだという実感が湧いた。これまでは帰省した時に感じていた思いだったのに、これが日常になるのだと改めて思った。
「帰って来ましたね」
「そうだね」
思わず口をついて出た言葉に、微笑みながら侑李が同意してくれたことが嬉しい。すると、靴を脱いで上がろうとした奈月を侑李が抱き寄せた。驚く間も無くお姫様抱っこをされ、慌てて彼の首に腕を回して抱きついた。
「侑李さん?」
「ごめん、思った以上に緊張してたみたいだ。それに、ご家族に遠慮してずっと我慢してたから、奈月さん不足」
侑李の発言にカッと頬が熱くなる。その頬にキスされて俯くと、彼は笑いながら奈月を寝室へと運んだ。
「侑李さん、お風呂……」
「いいよ」
「でも、汗臭いでしょ? せめてシャワー……っ」
ベッドに降ろされたと同時に重なった唇。抗議の声は飲み込んだ甘い口付けに溶かされてしまう。
「キスだけで、そんな顔してるのに、我慢できる?」
どちらの唾液でか、濡れた唇をペロリと舐める姿にゾクっとした。我慢できるか、なんて聞かなくても分かってるんだろう。だから奈月は素直に自ら唇を合わせにいった。
貪るように唇を合わされて、頭が沸騰しそう。徐々に身体を乗せてくる侑李の重みにも感じて喘ぐと、スカートの奥へと滑り込んできた指が柔らかな割れ目をそっと撫でた。
「っは……」
「奈月さん、まだキスだけなのに、濡れてるよ?」
仰け反った奈月の首筋に唇を這わせながら、下着越しに弱いところをなぞられる。甘い疼きに身を捩ると、下着の隙間から彼の指が入って来た。
「あぁ、もうすぐにでも挿れそうだね」
「やぁ……」
「嫌って言いながら、イイみたいだ。俺の指、締め付けてくるよ」
ゆっくりと根本まで埋まった彼の指に、甘ったるいため息が出る。そのままトントンとリズミカルに奥を刺激されて、快感がそこから広がっていく。お腹の奥がキュッとなり、奈月は息を詰めた。
4歳になった広大は人見知りが激しい子で、他の姉妹たちが侑李に群がる中、一人、見知った奈月くら離れようとしなかった。
唯一の男の子だというのもあるかもしれないが、気難しい子だと思う。話しかければ答えるが、必要最低限。ただ、侑李に興味はあるようだったので、何度か顔を合わせれば慣れていくだろう。
共に暮らす侑李の部屋に帰ってきたのは8月16日の夕方。玄関のドアを開けた瞬間、帰ってきたのだという実感が湧いた。これまでは帰省した時に感じていた思いだったのに、これが日常になるのだと改めて思った。
「帰って来ましたね」
「そうだね」
思わず口をついて出た言葉に、微笑みながら侑李が同意してくれたことが嬉しい。すると、靴を脱いで上がろうとした奈月を侑李が抱き寄せた。驚く間も無くお姫様抱っこをされ、慌てて彼の首に腕を回して抱きついた。
「侑李さん?」
「ごめん、思った以上に緊張してたみたいだ。それに、ご家族に遠慮してずっと我慢してたから、奈月さん不足」
侑李の発言にカッと頬が熱くなる。その頬にキスされて俯くと、彼は笑いながら奈月を寝室へと運んだ。
「侑李さん、お風呂……」
「いいよ」
「でも、汗臭いでしょ? せめてシャワー……っ」
ベッドに降ろされたと同時に重なった唇。抗議の声は飲み込んだ甘い口付けに溶かされてしまう。
「キスだけで、そんな顔してるのに、我慢できる?」
どちらの唾液でか、濡れた唇をペロリと舐める姿にゾクっとした。我慢できるか、なんて聞かなくても分かってるんだろう。だから奈月は素直に自ら唇を合わせにいった。
貪るように唇を合わされて、頭が沸騰しそう。徐々に身体を乗せてくる侑李の重みにも感じて喘ぐと、スカートの奥へと滑り込んできた指が柔らかな割れ目をそっと撫でた。
「っは……」
「奈月さん、まだキスだけなのに、濡れてるよ?」
仰け反った奈月の首筋に唇を這わせながら、下着越しに弱いところをなぞられる。甘い疼きに身を捩ると、下着の隙間から彼の指が入って来た。
「あぁ、もうすぐにでも挿れそうだね」
「やぁ……」
「嫌って言いながら、イイみたいだ。俺の指、締め付けてくるよ」
ゆっくりと根本まで埋まった彼の指に、甘ったるいため息が出る。そのままトントンとリズミカルに奥を刺激されて、快感がそこから広がっていく。お腹の奥がキュッとなり、奈月は息を詰めた。
0
お気に入りに追加
180
あなたにおすすめの小説
ドSでキュートな後輩においしくいただかれちゃいました!?
春音優月
恋愛
いつも失敗ばかりの美優は、少し前まで同じ部署だった四つ年下のドSな後輩のことが苦手だった。いつも辛辣なことばかり言われるし、なんだか完璧過ぎて隙がないし、後輩なのに美優よりも早く出世しそうだったから。
しかし、そんなドSな後輩が美優の仕事を手伝うために自宅にくることになり、さらにはずっと好きだったと告白されて———。
美優は彼のことを恋愛対象として見たことは一度もなかったはずなのに、意外とキュートな一面のある後輩になんだか絆されてしまって……?
2021.08.13

隠れオタクの女子社員は若社長に溺愛される
永久保セツナ
恋愛
【最終話まで毎日20時更新】
「少女趣味」ならぬ「少年趣味」(プラモデルやカードゲームなど男性的な趣味)を隠して暮らしていた女子社員・能登原こずえは、ある日勤めている会社のイケメン若社長・藤井スバルに趣味がバレてしまう。
しかしそこから二人は意気投合し、やがて恋愛関係に発展する――?
肝心のターゲット層である女性に理解できるか分からない異色の女性向け恋愛小説!
二人の甘い夜は終わらない
藤谷藍
恋愛
*この作品の書籍化がアルファポリス社で現在進んでおります。正式に決定しますと6月13日にこの作品をウェブから引き下げとなりますので、よろしくご了承下さい*
年齢=恋人いない歴28年。多忙な花乃は、昔キッパリ振られているのに、初恋の彼がずっと忘れられない。いまだに彼を想い続けているそんな誕生日の夜、彼に面影がそっくりな男性と出会い、夢心地のまま酔った勢いで幸せな一夜を共に––––、なのに、初めての朝チュンでパニックになり、逃げ出してしまった。甘酸っぱい思い出のファーストラブ。幻の夢のようなセカンドラブ。優しい彼には逢うたびに心を持っていかれる。今も昔も、過剰なほど甘やかされるけど、この歳になって相変わらずな子供扱いも! そして極甘で強引な彼のペースに、花乃はみるみる絡め取られて……⁈ ちょっぴり個性派、花乃の初恋胸キュンラブです。
狂愛的ロマンス〜孤高の若頭の狂気めいた執着愛〜
羽村美海
恋愛
古式ゆかしき華道の家元のお嬢様である美桜は、ある事情から、家をもりたてる駒となれるよう厳しく育てられてきた。
とうとうその日を迎え、見合いのため格式高い高級料亭の一室に赴いていた美桜は貞操の危機に見舞われる。
そこに現れた男により救われた美桜だったが、それがきっかけで思いがけない展開にーー
住む世界が違い、交わることのなかったはずの尊の不器用な優しさに触れ惹かれていく美桜の行き着く先は……?
✦・━・✦・━・✦・━・✦・━・✦・━・✦・━・✦
✧天澤美桜•20歳✧
古式ゆかしき華道の家元の世間知らずな鳥籠のお嬢様
✧九條 尊•30歳✧
誰もが知るIT企業の経営者だが、実は裏社会の皇帝として畏れられている日本最大の極道組織泣く子も黙る極心会の若頭
✦・━・✦・━・✦・━・✦・━・✦・━・✦・━・✦
*西雲ササメ様より素敵な表紙をご提供頂きました✨
※TL小説です。設定上強引な展開もあるので閲覧にはご注意ください。
※設定や登場する人物、団体、グループの名称等全てフィクションです。
※随時概要含め本文の改稿や修正等をしています。
✧
✧連載期間22.4.29〜22.7.7 ✧
✧22.3.14 エブリスタ様にて先行公開✧
【第15回らぶドロップス恋愛小説コンテスト一次選考通過作品です。コンテストの結果が出たので再公開しました。※エブリスタ様限定でヤス視点のSS公開中】
冷徹上司の、甘い秘密。
青花美来
恋愛
うちの冷徹上司は、何故か私にだけ甘い。
「頼む。……この事は誰にも言わないでくれ」
「別に誰も気にしませんよ?」
「いや俺が気にする」
ひょんなことから、課長の秘密を知ってしまいました。
※同作品の全年齢対象のものを他サイト様にて公開、完結しております。
一夜限りのお相手は
栗原さとみ
恋愛
私は大学3年の倉持ひより。サークルにも属さず、いたって地味にキャンパスライフを送っている。大学の図書館で一人読書をしたり、好きな写真のスタジオでバイトをして過ごす毎日だ。ある日、アニメサークルに入っている友達の亜美に頼みごとを懇願されて、私はそれを引き受けてしまう。その事がきっかけで思いがけない人と思わぬ展開に……。『その人』は、私が尊敬する写真家で憧れの人だった。R5.1月

鬼上官と、深夜のオフィス
99
恋愛
「このままでは女としての潤いがないまま、生涯を終えてしまうのではないか。」
間もなく30歳となる私は、そんな焦燥感に駆られて婚活アプリを使ってデートの約束を取り付けた。
けれどある日の残業中、アプリを操作しているところを会社の同僚の「鬼上官」こと佐久間君に見られてしまい……?
「婚活アプリで相手を探すくらいだったら、俺を相手にすりゃいい話じゃないですか。」
鬼上官な同僚に翻弄される、深夜のオフィスでの出来事。
※性的な事柄をモチーフとしていますが
その描写は薄いです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる