俺が好きなのはあなただけ〜恋愛初心者は極上男子の腕の中〜

鈴屋埜猫

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 夕食を外で済ませ、奈月は当然のように侑李の家に帰って来た。

「お風呂はまだ入れないのかな?」

「あ、許可おりました。濡らさなければ大丈夫だと」

「じゃあ、用意してくるね。座ってて」

 言いながらジャケットを脱ぎ、洗面所の扉を開ける侑李に、奈月は申し訳ない気持ちになる。数分で戻ってきた彼は、腕まくりしたシャツを戻しながらキッチンに入った。

「奈月さん、コーヒー飲む?」

「あ……はい」

 本当に至れり尽せりだな、と思いながら奈月はどうしたらいいか分からず腰を浮かせたまま固まる。程なくしてマグカップを持って来た彼は、奈月の姿に笑いながら首を傾げる。

「どうしたの?」

「いえ……なんか、申し訳ないな、と」

 腰を下ろしながら問われて、奈月もちゃんと腰を落ち着ける。

「申し訳ない?」

「だって、全部侑李さんにしてもらってて……」

「ああ、そんなこと」

 ははっと笑う侑李を見る。すると、コーヒーを一口飲んだ彼は、カップを置いて奈月を見た。

「俺が好きでしてることで、奈月さんが申し訳なく思う必要はないよ?」

 優しい彼はそう言うだろうと思ったけど。居た堪れなさはどうしようもなくて、視線を逸らした。すると、膝が触れ合うほど近付いた彼に手を取られる。

「本当は奈月さんをもっと甘やかしたいんだけど、これでも我慢してる」

「もっと……?」

 これ以上甘やかされるなんて、何があるのか。すると、口元に笑みを浮かべた侑李は奈月の耳に唇を寄せた。

「今日のお風呂は俺が脱がせたい。身体の隅々まで洗ってあげる」

「や……っ」

 耳朶に触れた彼の唇がくすぐったい。低い美声と共に吹き込まれる熱い吐息に、ぞくぞくしてしまう。膝に触れたい彼の手が布越しにそっと内腿を撫で、下腹部に甘い熱が宿っていくのを感じて身震いした。

「奈月さん、顔が蕩けてる」

「いや……見ないで……」

 後頭部を支えた侑李の手に上を向かされ、唇が重なる。上、下、と唇を侑李の唇が挟んで引っ張る。まるで彼に食べられるみたいなキス。
 彼を見上げた状態で動けない奈月はされるがまま。入ってきた彼の舌に、ぎこちなく自分の舌を絡ませると、優しく吸われて甘い声が出てしまった。

「そう言われると、もっと見たくなる」

「意地悪です……」

「うん、奈月さんにだけだよ」

 そう言って微笑まれると何も言えなくなる。奈月だってこんなの侑李にだけなのだ。

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