俺が好きなのはあなただけ〜恋愛初心者は極上男子の腕の中〜

鈴屋埜猫

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「ごめん、手伝うって言ったのは俺なのに……これは放っておけば治るから」

 苦々しく笑うと、奈月は力一杯首を振った。侑李は掛け布団を引き寄せ、俯いてしまった彼女の肩にかける。

「ほら、風邪ひくから……」

「……てください……」

「ん?」

 至近距離でも微かにしか聞こえなくて。立ち上がろうとした侑李は動きを止める。
 俯いたままの奈月の身体が冷えないよう、彼女の前に布団を引き寄せようとすると、その手をそっと阻まれる。

「どうしたの?」

 優しく問いかけると、奈月が顔を上げた。潤んだ瞳がじっと見つめてきて、侑李は息を飲む。

「……そんな顔で見たらダメだよ、奈月さん」

 堪らず、彼女のそっと膝に触れる。ん、と息を詰まらせた奈月に、侑李はさらに親指の腹で太ももをなぞるように手を這わせた。ブルリと震えた彼女が目を閉じて甘い息を吐く。そして、ゆっと目を開けた彼女は頬を赤く染め、ねだるように侑李を見つめた。

「侑李さんが、温めて……」

 消え入るような声が終わる前に、唇を奪う。激しく舌を絡めると、奈月が腕を首に回してきた。彼女を抱き上げ、膝立ちになってベッドの中程まで上がり、細い身体を横たえながら唇を貪る。そして押し倒した彼女の身体に覆い被さり、ゆっくりと体重をかけていく。

「あったかい……」

 ホッと息を吐いた奈月に微笑み返し、頭を撫でる。上半身はお互いに裸。お互いの体温が隔てるものなく伝わり、心地良い安心感に包まれる。
 首筋に顔を埋めて跡が残らない程度に優しく肌を吸う。そのまま上へと移動して、耳の裏にキスをして耳朶を唇で挟むと奈月が身動ぎする。

「んっ……は、ぁ……」

 耐えるように口元に手の甲を押し当てる奈月に、侑李の悪戯心が刺激される。

「声、我慢しないで」

「ひ、ぁ……っ」

 耳元で息を吹き込むように囁くと、奈月の身体がビクビクと震える。猫のように伸び上がった姿に、侑李はクスッと笑った。

「耳、弱いんだね?」 

「ぅあ……っ」

 囁くと奈月が身を捩る。逃げようとする彼女を捕まえるため、侑李は開きかけた足の間に、強引に左足を割り込ませた。同時にさらに体重をかけ、彼女の動きを制限する。
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