俺が好きなのはあなただけ〜恋愛初心者は極上男子の腕の中〜

鈴屋埜猫

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「あ……」

 奈月の顎を上向かせ、啄むようなキスをしながら、侑李は手早く彼女の身体を拭き上げる。
 タオル越しに感じる柔らかな胸。ピンと立ち上がった小さな蕾にタオルが僅かに引っかかると、奈月がくぐもった声を上げるから堪らない。
 その甘い声に舌を差し入れて、彼女の舌と絡める。貪るようなキスの合間に足も拭き上げて、ようやく奈月の唇を開放すると透明な糸が二人の唇を繋いだ。

「終わったよ」

「は、い……」

 蕩けきった顔で見上げられ、赤く色付いた彼女の唇をまた啄む。

「ごめん、寒くない?」

「大丈夫です……」

 くたりと身体を寄せてくる奈月に、侑李は息を詰める。これ以上一緒にいると、キスで終わらせられる自信がなくなる。それに、このままでは彼女が風邪をひく。

「出ようか」

 力が抜けたらしい彼女の膝下に腕を入れて抱き上げる。柔らかくて思ったより質量のある胸が、胸板に当たっているが気付かぬフリをした。
 お姫様抱っこのまま、奈月を寝室まで連れていく。そっと彼女をベッドに下ろし、クローゼットから、以前彼女に貸したスウェットを出した。

「とりあえずこれ着てて。奈月さんの荷物持ってくるよ」

 彼女の荷物はまだリビングにある。着替えを先に用意していなかったことを今更になって気付くとは。
 できるだけ彼女の方を見ないようにして、寝室を出ようとした。だが、侑李のズボンの裾を、奈月が摘んで引き止める。

「……おしまい、ですか?」

「え?」

 思わず振り返ると、奈月はパッと顔を俯ける。その表情は読めなかったが、胸元に腕を回したせいで逆に谷間が強調された彼女の豊な胸が見えて心臓がざわつく。そんな姿を見ると堪らなくなる。必死で理性をかき集めているというのに、すぐにでも彼女を押し倒してしまいたくなる。

「侑李さん、苦しく、ない?」

「え……?」

 ポツリと呟くように言った彼女の言葉に、目を見開く。そして気付いた。彼女の視線がチラリと侑李の下腹部を見たことに。

「ごめんなさい、私、なにを……」

 パッと手を離した奈月の手首を掴む。気付けば彼女の前に膝を付いて、俯く顔に唇を寄せていた。
 掬い上げるようにキスをすると、目に涙を溜めた奈月が侑李を見る。

「奈月さんは悪くない。手を出さないなんて偉そうなことを言っておいて、我慢できなかった俺がいけないんだ」

 反応した男の部分を気付かれてしまい、正直恥ずかしい。だが、そうなったのは相手が奈月だから。風呂場で甘い声を上げた彼女を、今すぐにでも抱きたいと思ったから。でも、無理に抱くつもりはない。彼女は初めてで、まだ付き合って間もないのだ。

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