俺が好きなのはあなただけ〜恋愛初心者は極上男子の腕の中〜

鈴屋埜猫

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「痒くない?」

「っ、大丈夫……」

 問いかけながら腰の辺りを拭ったからだろうか、ビクンと震えた奈月は、はぁ、と息を吐く。そこに甘いものが混じっていて、侑李の欲を煽る。ズボンを履いていて良かったと思う。背後にいるから彼女からは見えないだろうが、万が一見えてもズボンで多少は誤魔化せるはずだ。
 奈月はブラジャーだけでなく、ショーツも脱ぐことにしたらしく、柔らかそうなお尻が風呂椅子に乗っている。刺激的な光景に、侑李は極力まじまじと見てしまわないよう努めた。

「腕、上げて」

 そっと左手を取って言うと、素直に従ってくれた。包帯の巻き終わりから肩に向かって何度かタオルを往復させる。タオルをまた濡らし、今度は右腕。あと残されているのは、彼女の胸とお腹、そして足だった。

「寒くない?」

「……はい」

 タオルを濡らしていると、奈月がブルリと震えた。答える声も少し震えているようで、侑李は背後から彼女の顔色を伺う。
 俯いている奈月の顔は赤い。暑いのか、と思ったがどうやら違うようだ。

「くすぐったかった?」

「ぁ……」

 背後から抱き締めるように腕を伸ばし、耳朶に唇を寄せる。小さく声を上げた奈月が肩をすくめ、顔を背けた。侑李は目の前にきた彼女の首筋に唇を這わせる。

「や、侑李さ……ぁ」

 仰け反った奈月の身体が寄り掛かってきたので抱き止める。顔をこちらに向かせ、唇を合わせると彼女は胸元を隠していたタオルを落とした。

「……なにも、しないって」

「うん、ごめん」

 息が乱れた彼女の唇にキスをしながら、素直に謝る。

「キスだけ。これ以上は、しない」

 それは侑李なりの譲歩だ。彼女の身体を貪りたい衝動を抑えながら、でもキスは辞めれなくて。心の中でキスだけだ、と勝手に基準を甘くする。

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