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「そんなわけ……」
「好きな子のワガママは可愛いものだよ。って、奈月さんのはワガママの内にも入らないけど」
俯いた奈月を侑李の手が抱き寄せる。ポンポンと頭を撫でられると、自分が子供になったみたいな気がした。
「好きな、子?」
「そう。好きな子から甘えられて、嬉しくない男はいないよ」
頭にそっと乗った彼の顎。その重みが心地よくて、奈月は緊張を解いて彼に身を委ねる。
「子供扱いしてます?」
よく亜也の頭を撫でることはあるが、奈月が撫でられることなど子供の頃以来だ。だから余計、そう感じるのかもしれない。すると、身体を離した侑李が、顔を覗き込んでくる。
「じゃあ、大人扱いしていいかな?」
伺うようなブルーの瞳に胸が高鳴る。好きな子、と言った彼の声が脳内で再生され、心が震えた。
「好きだよ、奈月さん。まだ会って間もないし、性急だと自分でも思うけど、それだけあなたを逃したくないんだ」
おでこがコツンと合わさる。綺麗なブルーの瞳に映る自分の顔。こんな至近距離で、そんなこと囁かれたら心臓がバクバクで寿命が縮みそう。
「俺を好きになって」
もうこれは殺し文句以外の何者でもない。
低い美声が放つ甘い甘い告白の言葉に、奈月は小さく息を吐いた。好きになって、なんて。答えはもうすでに決まっている。
「もう、なってます……」
お手上げだ。奈月の心は、もう彼に囚われてしまっている。
吐息混じりの奈月の言葉に、魅力的な笑みを浮かべた侑李がさらに顔を寄せてくる。それに応じて顎を上げ、そっと目を閉じると唇に感じた柔らかな感触。
触れただけで離れたそれは、時を置かずにまた重なって、今度は優しく啄むように何度か合わさる。
「っ、は……」
酸素を求めて薄く開いた奈月の唇を、侑李の唇が優しく挟む。まるで食べられるような口付けに、思わず漏れた自分の声が甘くて、奈月は恥ずかしくなる。
「可愛い……キス、初めて?」
「っ……はい」
これを認めたら、処女だと認めることと同じだ。だが、ここで変な見栄を張る勇気はなくて、素直に頷く。けれど、29歳にして未だ処女だとか、やっぱり面倒臭いだろうかと不安が過ぎる。
「好きな子のワガママは可愛いものだよ。って、奈月さんのはワガママの内にも入らないけど」
俯いた奈月を侑李の手が抱き寄せる。ポンポンと頭を撫でられると、自分が子供になったみたいな気がした。
「好きな、子?」
「そう。好きな子から甘えられて、嬉しくない男はいないよ」
頭にそっと乗った彼の顎。その重みが心地よくて、奈月は緊張を解いて彼に身を委ねる。
「子供扱いしてます?」
よく亜也の頭を撫でることはあるが、奈月が撫でられることなど子供の頃以来だ。だから余計、そう感じるのかもしれない。すると、身体を離した侑李が、顔を覗き込んでくる。
「じゃあ、大人扱いしていいかな?」
伺うようなブルーの瞳に胸が高鳴る。好きな子、と言った彼の声が脳内で再生され、心が震えた。
「好きだよ、奈月さん。まだ会って間もないし、性急だと自分でも思うけど、それだけあなたを逃したくないんだ」
おでこがコツンと合わさる。綺麗なブルーの瞳に映る自分の顔。こんな至近距離で、そんなこと囁かれたら心臓がバクバクで寿命が縮みそう。
「俺を好きになって」
もうこれは殺し文句以外の何者でもない。
低い美声が放つ甘い甘い告白の言葉に、奈月は小さく息を吐いた。好きになって、なんて。答えはもうすでに決まっている。
「もう、なってます……」
お手上げだ。奈月の心は、もう彼に囚われてしまっている。
吐息混じりの奈月の言葉に、魅力的な笑みを浮かべた侑李がさらに顔を寄せてくる。それに応じて顎を上げ、そっと目を閉じると唇に感じた柔らかな感触。
触れただけで離れたそれは、時を置かずにまた重なって、今度は優しく啄むように何度か合わさる。
「っ、は……」
酸素を求めて薄く開いた奈月の唇を、侑李の唇が優しく挟む。まるで食べられるような口付けに、思わず漏れた自分の声が甘くて、奈月は恥ずかしくなる。
「可愛い……キス、初めて?」
「っ……はい」
これを認めたら、処女だと認めることと同じだ。だが、ここで変な見栄を張る勇気はなくて、素直に頷く。けれど、29歳にして未だ処女だとか、やっぱり面倒臭いだろうかと不安が過ぎる。
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