11 / 96
2-4
しおりを挟む「それじゃ、空の道でリーリクルまで向かおう!」
「そうだね」
ほうきにまたがり、ぎゅっと握る。ラルフもほうきを取り出してまたがり、ひゅんっと音を立てて空の道へ向かう。
アシュリンもラルフを追いかけるように空を飛ぶ。
良い天気だから、見晴らしも良くて思わず笑顔を浮かべてしまう。
「いい天気ー!」
空気も澄んでいて、アシュリンは思わず大きく空気を吸い込んだ。
「空の道は……こっちだね!」
リーリクルに行く空の道を選び、ラルフの姿を探す。彼はアシュリンのことを待っていたようで、分かれ道で待っていてくれた。ルプトゥムも一緒に。
「この道を真っ直ぐ進めば、リーリクルはすぐだよ!」
「そうなんだ。じゃあ、早速行こうか」
「うん!」
分かれ道には小さな箱が置いてあり、その箱に手を入れて「リーリクルに行きます」とつぶやくと、手首にシュルンと赤いひもが巻き付く。
これは空の道を使うために必要なもので、必ず小さな箱に手を入れないといけない。
ラルフも箱に手を入れて、赤いひもを巻き付けた。
「おじいちゃんたちに会ったら、どんなことを話そうかなぁ」
「いろんなお話ができるね、お土産話、たくさんでしょ?」
「……あっ、お星さまでおどろかせるのも良いかも!」
良いことを思いついた! とばかりに目を輝かせるアシュリンに、ラルフはくすりと口角を上げてルプトゥムを呼ぶ。
使い魔たちは自由に空を飛べるが、大体は主人と一緒に飛んでいる。
「リーリクルに行く道、結構混んでいるね」
「そうだねー。陸路が使えないなら、仕方ないのかな」
アシュリンは飛んでいるスピードを落として、邪魔にならないように端に移動した。
ラルフを呼んで端っこを飛んでいると、急いでいるのかピューンと音がするくらい、いきおいよく飛んでいる人がいて、「こらー! 空の道の速度を守りなさーい!」と空の道を警備している人が追いかけている。
「……空の道ってにぎやかだよね」
「……本当にね」
陸路よりも空の道を通ったほうが、移動は楽だ。
楽だが、こうしてたまに速度を守らない人がいて、そのたびに警備員が追いかけるというレースが始まってしまうことがある。
「今日はレースの日かぁ」
「なにをそんなに急いでいるんだろうねぇ」
のんびりと飛んでいるアシュリンとラルフは、やれやれとばかりに両肩を上げて、視線を交わしてくすくすと笑い合った。
そのうちにスピードを出していた人が警備員につかまり、しょんぼりとしているところを追い越していく。
「みんなが速度を守れば、誰かにぶつかっちゃうこともないよね」
「うん、安全に飛ぶことって大事だね」
空の道は魔法でできていて、もしもほうきから落ちてもぽよよんとした雲が受け止めてくれる。なので、たまにいるのだ。わざとスピードを出して、飛んでいる人にぶつかり、雲に落とす人が。
「そうだね」
ほうきにまたがり、ぎゅっと握る。ラルフもほうきを取り出してまたがり、ひゅんっと音を立てて空の道へ向かう。
アシュリンもラルフを追いかけるように空を飛ぶ。
良い天気だから、見晴らしも良くて思わず笑顔を浮かべてしまう。
「いい天気ー!」
空気も澄んでいて、アシュリンは思わず大きく空気を吸い込んだ。
「空の道は……こっちだね!」
リーリクルに行く空の道を選び、ラルフの姿を探す。彼はアシュリンのことを待っていたようで、分かれ道で待っていてくれた。ルプトゥムも一緒に。
「この道を真っ直ぐ進めば、リーリクルはすぐだよ!」
「そうなんだ。じゃあ、早速行こうか」
「うん!」
分かれ道には小さな箱が置いてあり、その箱に手を入れて「リーリクルに行きます」とつぶやくと、手首にシュルンと赤いひもが巻き付く。
これは空の道を使うために必要なもので、必ず小さな箱に手を入れないといけない。
ラルフも箱に手を入れて、赤いひもを巻き付けた。
「おじいちゃんたちに会ったら、どんなことを話そうかなぁ」
「いろんなお話ができるね、お土産話、たくさんでしょ?」
「……あっ、お星さまでおどろかせるのも良いかも!」
良いことを思いついた! とばかりに目を輝かせるアシュリンに、ラルフはくすりと口角を上げてルプトゥムを呼ぶ。
使い魔たちは自由に空を飛べるが、大体は主人と一緒に飛んでいる。
「リーリクルに行く道、結構混んでいるね」
「そうだねー。陸路が使えないなら、仕方ないのかな」
アシュリンは飛んでいるスピードを落として、邪魔にならないように端に移動した。
ラルフを呼んで端っこを飛んでいると、急いでいるのかピューンと音がするくらい、いきおいよく飛んでいる人がいて、「こらー! 空の道の速度を守りなさーい!」と空の道を警備している人が追いかけている。
「……空の道ってにぎやかだよね」
「……本当にね」
陸路よりも空の道を通ったほうが、移動は楽だ。
楽だが、こうしてたまに速度を守らない人がいて、そのたびに警備員が追いかけるというレースが始まってしまうことがある。
「今日はレースの日かぁ」
「なにをそんなに急いでいるんだろうねぇ」
のんびりと飛んでいるアシュリンとラルフは、やれやれとばかりに両肩を上げて、視線を交わしてくすくすと笑い合った。
そのうちにスピードを出していた人が警備員につかまり、しょんぼりとしているところを追い越していく。
「みんなが速度を守れば、誰かにぶつかっちゃうこともないよね」
「うん、安全に飛ぶことって大事だね」
空の道は魔法でできていて、もしもほうきから落ちてもぽよよんとした雲が受け止めてくれる。なので、たまにいるのだ。わざとスピードを出して、飛んでいる人にぶつかり、雲に落とす人が。
0
お気に入りに追加
180
あなたにおすすめの小説
【完結】誰にも知られては、いけない私の好きな人。
真守 輪
恋愛
年下の恋人を持つ図書館司書のわたし。
地味でメンヘラなわたしに対して、高校生の恋人は顔も頭もイイが、嫉妬深くて性格と愛情表現が歪みまくっている。
ドSな彼に振り回されるわたしの日常。でも、そんな関係も長くは続かない。わたしたちの関係が、彼の学校に知られた時、わたしは断罪されるから……。
イラスト提供 千里さま
一夜限りのお相手は
栗原さとみ
恋愛
私は大学3年の倉持ひより。サークルにも属さず、いたって地味にキャンパスライフを送っている。大学の図書館で一人読書をしたり、好きな写真のスタジオでバイトをして過ごす毎日だ。ある日、アニメサークルに入っている友達の亜美に頼みごとを懇願されて、私はそれを引き受けてしまう。その事がきっかけで思いがけない人と思わぬ展開に……。『その人』は、私が尊敬する写真家で憧れの人だった。R5.1月
二人の甘い夜は終わらない
藤谷藍
恋愛
*この作品の書籍化がアルファポリス社で現在進んでおります。正式に決定しますと6月13日にこの作品をウェブから引き下げとなりますので、よろしくご了承下さい*
年齢=恋人いない歴28年。多忙な花乃は、昔キッパリ振られているのに、初恋の彼がずっと忘れられない。いまだに彼を想い続けているそんな誕生日の夜、彼に面影がそっくりな男性と出会い、夢心地のまま酔った勢いで幸せな一夜を共に––––、なのに、初めての朝チュンでパニックになり、逃げ出してしまった。甘酸っぱい思い出のファーストラブ。幻の夢のようなセカンドラブ。優しい彼には逢うたびに心を持っていかれる。今も昔も、過剰なほど甘やかされるけど、この歳になって相変わらずな子供扱いも! そして極甘で強引な彼のペースに、花乃はみるみる絡め取られて……⁈ ちょっぴり個性派、花乃の初恋胸キュンラブです。
完結*三年も付き合った恋人に、家柄を理由に騙されて捨てられたのに、名家の婚約者のいる御曹司から溺愛されました。
恩田璃星
恋愛
清永凛(きよなが りん)は平日はごく普通のOL、土日のいずれかは交通整理の副業に励む働き者。
副業先の上司である夏目仁希(なつめ にき)から、会う度に嫌味を言われたって気にしたことなどなかった。
なぜなら、凛には付き合って三年になる恋人がいるからだ。
しかし、そろそろプロポーズされるかも?と期待していたある日、彼から一方的に別れを告げられてしまいー!?
それを機に、凛の運命は思いも寄らない方向に引っ張られていく。
果たして凛は、両親のように、愛の溢れる家庭を築けるのか!?
*この物語はフィクションです。登場する人物・団体・名称等は架空であり、実在のものとは関係ありません。
*不定期更新になることがあります。

皇太子夫妻の歪んだ結婚
夕鈴
恋愛
皇太子妃リーンは夫の秘密に気付いてしまった。
その秘密はリーンにとって許せないものだった。結婚1日目にして離縁を決意したリーンの夫婦生活の始まりだった。
本編完結してます。
番外編を更新中です。

一夜の過ちで懐妊したら、溺愛が始まりました。
青花美来
恋愛
あの日、バーで出会ったのは勤務先の会社の副社長だった。
その肩書きに恐れをなして逃げた朝。
もう関わらない。そう決めたのに。
それから一ヶ月後。
「鮎原さん、ですよね?」
「……鮎原さん。お腹の赤ちゃん、産んでくれませんか」
「僕と、結婚してくれませんか」
あの一夜から、溺愛が始まりました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる