狐に嫁入りいたします。

鈴屋埜猫

文字の大きさ
上 下
12 / 13

十一 【★】

しおりを挟む
 その夜、柚葉に手を引かれ、由奈はまた離れの部屋へと来ていた。屋敷の中は広すぎて、迷子になりそうになるため、柚葉がいてくれるのは心強い。だが、部屋に一人で取り残されると、由奈は急に寂しさを覚えた。
 昼間ずっと綾野の部屋で過ごしていたせいだろうか、静寂が身体を刺すようだ。おまけに昨夜同様、布団はやはり一組しかない。由奈は肌寒さに耐えかねて布団に潜り込みながら、今日も暁は来るのだろうかと考えた。すると、身体の奥深くがキュンと疼いた。そこへ、音もなく障子戸が開き、暁が入ってくるのが分かった。

「っ……」

 布団の中へと入ってきた暁の腕が由奈を捕まえる。そして彼の腕の中に閉じ込められた由奈は、足の付け根が潤んでいくのを感じて赤面した。

「由奈……」
「っん……」

 顎を掴まれ唇を奪われる。何度も角度を変えて啄まれると、由奈の身体から次第に力が抜けていった。そして暁の手が彼女の夜着の中へと入り込む。
 持ち上げられるように揉まれる乳房が、暁の手の中でやわやわと形を変える。だが、もう主張を始めている頂には触れず、その回りを掠めていく暁の指に由奈は次第に焦れ始めた。

「触れて欲しいか?」

 離れた唇に物足りなさを感じる。自ら身を寄せてきた由奈に、暁は優しく問いかけた。

「はい……」
「どこに触れて欲しい?」

 言いながら、暁は由奈の頂の周りをゆっくりと指でなぞる。由奈は焦れったさを感じながら、言葉にすることが恥ずかしく、彼の手にそっと自分の手を添えると頂へと導いた。

「は、あぁ……」
「こんなに硬くして、待っていたのか……?」

 囁く暁の声が、熱い吐息と共に由奈の耳朶をくすぐる。そして指先に摘ままれた頂を捏ねられ、堪らず腰を揺らすと、お尻に何か硬いものが当たったのが分かった。

「ぁ……」
「っ、性急だな」

 由奈が硬くなったモノの存在に身を固くすると、暁は一瞬息を詰めた。だが、すぐに笑い、彼女のお尻に自身を押し付けてくる。

「由奈が欲しい、と言っているのだ」

 暁の熱が由奈に伝染するかのように、身体の奥がまた疼いた。

「だが、まずはこちらを解さねばな」
「ひぁっ……」

 身体をまさぐっていた暁の手が、由奈の足を割って潤んでいる秘所に触れた。すると、案の定濡れた音が聞こえて、由奈は思わず両手で顔を覆う。

「待ちかねていたようだな。易々と我の指を受け入れてくれている」
「っ、ぅあ……んんっ」

 ゆっくりとナカをかき分けて入ってくる暁の指に、由奈は切ない声で啼いた。そんな彼女の首筋に唇を這わせながら、暁は指を根本まで差し入れる。そして、彼女の蜜を掻き出すように指をくの字に曲げて抽出を繰り返した。

「あっ、まっ……やぁ……っ」
「由奈……もっと啼け」

 いつの間にか暁の息も乱れている。そして自分の名前を呼ぶ少し掠れた声に、由奈は身体を仰け反らせて一段と甘ったるい喘声を上げ、果てた。
 眠りへと意識が傾く。そんな由奈の髪を優しく撫でる暁の手を感じながら、由奈は彼に聞きたいことがある、と口を開きかけた。だが、それが声となって発せられる前に、彼女の意識はプツリと途絶えていた。

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

お父さんのお嫁さんに私はなる

色部耀
恋愛
お父さんのお嫁さんになるという約束……。私は今夜それを叶える――。

アルバートの屈辱

プラネットプラント
恋愛
妻の姉に恋をして妻を蔑ろにするアルバートとそんな夫を愛するのを諦めてしまった妻の話。 『詰んでる不憫系悪役令嬢はチャラ男騎士として生活しています』の10年ほど前の話ですが、ほぼ無関係なので単体で読めます。

五歳の時から、側にいた

田尾風香
恋愛
五歳。グレースは初めて国王の長男のグリフィンと出会った。 それからというもの、お互いにいがみ合いながらもグレースはグリフィンの側にいた。十六歳に婚約し、十九歳で結婚した。 グリフィンは、初めてグレースと会ってからずっとその姿を追い続けた。十九歳で結婚し、三十二歳で亡くして初めて、グリフィンはグレースへの想いに気付く。 前編グレース視点、後編グリフィン視点です。全二話。後編は来週木曜31日に投稿します。

イケメン社長と私が結婚!?初めての『気持ちイイ』を体に教え込まれる!?

すずなり。
恋愛
ある日、彼氏が自分の住んでるアパートを引き払い、勝手に『同棲』を求めてきた。 「お前が働いてるんだから俺は家にいる。」 家事をするわけでもなく、食費をくれるわけでもなく・・・デートもしない。 「私は母親じゃない・・・!」 そう言って家を飛び出した。 夜遅く、何も持たず、靴も履かず・・・一人で泣きながら歩いてるとこを保護してくれた一人の人。 「何があった?送ってく。」 それはいつも仕事場のカフェに来てくれる常連さんだった。 「俺と・・・結婚してほしい。」 「!?」 突然の結婚の申し込み。彼のことは何も知らなかったけど・・・惹かれるのに時間はかからない。 かっこよくて・・優しくて・・・紳士な彼は私を心から愛してくれる。 そんな彼に、私は想いを返したい。 「俺に・・・全てを見せて。」 苦手意識の強かった『営み』。 彼の手によって私の感じ方が変わっていく・・・。 「いあぁぁぁっ・・!!」 「感じやすいんだな・・・。」 ※お話は全て想像の世界のものです。現実世界とはなんら関係ありません。 ※お話の中に出てくる病気、治療法などは想像のものとしてご覧ください。 ※誤字脱字、表現不足は重々承知しております。日々精進してまいりますので温かく見ていただけると嬉しいです。 ※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・すみません。 それではお楽しみください。すずなり。

極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~

恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」 そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。 私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。 葵は私のことを本当はどう思ってるの? 私は葵のことをどう思ってるの? 意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。 こうなったら確かめなくちゃ! 葵の気持ちも、自分の気持ちも! だけど甘い誘惑が多すぎて―― ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。

王宮に薬を届けに行ったなら

佐倉ミズキ
恋愛
王宮で薬師をしているラナは、上司の言いつけに従い王子殿下のカザヤに薬を届けに行った。 カザヤは生まれつき体が弱く、臥せっていることが多い。 この日もいつも通り、カザヤに薬を届けに行ったラナだが仕事終わりに届け忘れがあったことに気が付いた。 慌ててカザヤの部屋へ行くと、そこで目にしたものは……。 弱々しく臥せっているカザヤがベッドから起き上がり、元気に動き回っていたのだ。 「俺の秘密を知ったのだから部屋から出すわけにはいかない」 驚くラナに、カザヤは不敵な笑みを浮かべた。 「今日、国王が崩御する。だからお前を部屋から出すわけにはいかない」

後宮の棘

香月みまり
キャラ文芸
蔑ろにされ婚期をのがした25歳皇女がついに輿入り!相手は敵国の禁軍将軍。冷めた姫vs堅物男のチグハグな夫婦は帝国内の騒乱に巻き込まれていく。 ☆完結しました☆ スピンオフ「孤児が皇后陛下と呼ばれるまで」の進捗と合わせて番外編を不定期に公開していきます。 第13回ファンタジー大賞特別賞受賞! ありがとうございました!!

処理中です...