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しかし、服を買えることになったにもかかわらず、シャルロットは浮かない顔をしたまま愚痴をこぼしました。


「本当に、どうして流行なんか生まれるのかしら。衣服は寒さがしのげて、快適であればいいじゃないの。世間知らずの女たちが、まるで湯水のようにお金を使って、さまざまなこしらえものをしているわ。自分が汗水垂らして稼いだお金でもないのに」


「君はそんな奥様方とは違うよ。いつも僕の仕事を手伝ってくれているし、理解してくれる。新しい服を買っても、君の場合は意味が違う。これは当然の報酬なんだ」


私はシャルロットを懸命に説得し、後日仕立て屋に一緒に行きました。彼女は喜びこそ表に出しませんでしたが、徐々に表情を柔らかくしていったように見えました。そしてさまざまな色の布地や羽根飾りを無事に選び終わり、私たちは帰途についたのです。

帰り道にシャルロットは、「ねえあなた。服を買った今日のことを根に持たないでくださいよ。わたしは別にどんな服でも、生活していければそれでいいんですから」と言って、笑顔になりました。私はこの時久しぶりに彼女の笑顔を見たように思い、とても嬉しくなりました。やはり妻の幸せが夫の幸せなのだと感じた瞬間です。

こうして帯や頭巾などを含めた流行の衣装ができあがると、シャルロットはそれを着てよく出かけるようになりました。お祭りの他にも、舞踏会、お茶会など、楽しそうに過ごしていました。彼女は恥をかかずに交友できていたはずで、私は服を新調したかいがあったなと思っていました。



しかしそのような日々が続く中、私はとある噂を耳にしました。シャルロットが領主様の次男と浮気しているというのです。領主様から領地を賜って管理している私にとって、その噂は怖ろしいものであり、また夫として悲しくもありました。事を大きくしてしまうと私の騎士としての体面がありませんし、領主様にもご迷惑をかけてしまいます。

この噂を聞いてから、私は信頼のおける従卒にシャルロットの浮気調査を命じました。結果、実際に彼女が浮気しているとわかり、大変なショックを受けました。目の前が真っ暗になって、日常に光を失ったのです。

にもかかわらず、私にはシャルロットを断罪する勇気がありませんでした。家柄の良い妻に苦労させていたという負い目もありましたし、浮気相手が浮気相手なだけに、慎重にならざるをえませんでした。言い訳かもしれませんが、私には見て見ぬふりしかできなかったのです。シャルロットと間男との関係が自然に終わってくれたらと願うばかりでした。一時の気の迷いで済んでくれたら、私はいつでも許す準備ができていました。

しかしこの年の夏、想定外のことが起こりました。まったく雨が降らず、田畑の農作物が壊滅的な打撃を受けたのです。秋に収穫して現金化し、それを領主様に納めなければならないのですが、危ぶまれる状況になりました。加えて私には毎月返済している借金(シャルロットの服を買うために、マクシミリアンから借りた)がありました。秋の収穫を頼りにしていたので、年内に完済する契約を結んでいたのです。
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