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考えているうちに、日が昇りました。私は二晩連続の徹夜で、疲労困憊の状態でした。寝る必要があるとわかっているのですが、心配事を抱えるといつもこうなのです。一度心配を始めると、その心配事が去ってしまうまでずっと考えてしまうタイプです。

さて、私は身支度を整えると、朝日を背にして屋敷を出ました。そして懇意にしている商人であり金貸しでもあるマクシミリアンを訪ねました。やはり領地の物は切り売りできないと考えたので、お金を借りようと思ったのです。

マクシミリアンは不気味な雰囲気を持つ色白の男なのですが、この日は屈託のない笑顔を見せる少年のようでした。親身に私の話を聞いてくれました。


「リシャール様は理想の騎士でいらっしゃいますね。奥様のために立派な服を用意してやろうというお気持ち、このマクシミリアン、心の底より感動いたしました」私の事情を聞いたマクシミリアンはこのように言いました。


「ありがとう! ところで、金を借りる上での担保だが……無担保では無理か?」


「ははは、冗談がお上手ですね。さすがにリシャール様でも無担保でお金を融通するのは厳しいものがあります。もし返済期日までにお金を返してもらえないようであれば、領地の物か、屋敷の物を頂きに参ります。しかし、わたくしとリシャール様の仲ですので、万が一のことがあったとしても、柔軟に対応しますからご安心ください」


こうして私は人生で初めての借金をしました。二年分の生活費にあたる金貨を前にして、正直震えました。しかし、借金を背負う恐怖よりも、やっとシャルロットの服を買えるという安心感のほうが勝っていたように思います。この時の決断は今でも後悔していません。何度生まれ変わったとしても、彼女の満足を叶えるために、私は全力を尽くすであろうからです。

さて、お金を手にして屋敷に帰ったのですが、シャルロットには借金したことを黙っていました。余計な心配はかけたくないですし、なにより彼女が服を買うのを躊躇させたくありませんでした。領地の設備や家畜の数を見直し、無駄を減らしてお金を作ったということにしました。この時の判断が正しかったのか間違っていたのかは、いまだにわかりません。彼女を傷つけたくない一心でついた嘘でした。
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