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私はリシャールと申します。小さな領地を治める騎士でございます。

つい先日、やむをえない事情で離縁したシャルロットから手紙が来ました。再婚したいとの旨が書かれており、私もぜひ再婚したいと考えています。元妻をまだ愛しているからです。

しかし今、信頼している従卒たちからは反対されています。シャルロットは人間的に問題を抱えていると言う者までいました。部下たちを突っぱねることは確かにできますが、円滑な領地経営を維持するためには彼らの助言が欠かせません。

愛することこそ騎士の本分である、という考えに変わりはありませんが、事の経緯をここに記しておきたいと思います。



シャルロットとは別れるまでに五年ほど結婚生活を送っておりました。仲睦まじく暮らしてきたつもりでしたが、従卒たちの話を聞くかぎりでは、私に見えなかった彼女の一面があるのかもしれません。


振り返ってみると、事が起きたのは二年前の春のある夜です。


私はいつもどおり夫婦の寝室に入り、ベッドに腰掛けました。シャルロットはすでにベッドの片側で横になっていましたが、目はしっかりと開けていました。

私は彼女の肩にそっと手を置きました。夫婦の営みを久しくしていなかったことや、この日私は妙に気がたかぶっていて――簡単に言うと、夜の快楽を得たかったのです。溢れるような性欲でみなぎっていて、妻がアレの日ではないことも知っていましたから、期待やら何やらを膨らませていました。

しかし、シャルロットはびくっと肩を震わせて、私の手を拒みました。


「だめよ、あなた。触らないで! 心配事があって、眠れないんですから」


もともと気分屋のほうだとは思うのですが(そこも可愛い)、この日のシャルロットはいつものそれとは違う気がしました。


「どうしたんだい? 何かあったの?」思いがけないシャルロットの反応に、私は驚きました。夜の営みを提案している場合ではありませんでした。


「とにかく心配なんですよ。ああ! ……当然のことです。でも……あなたには言いません。わたしの言うことなんて聞いてくれたことがないですし、期待していませんから」シャルロットはこちらに顔も向けず、投げやりに言いました。


「そんなふうに言わなくてもいいじゃないか。僕が話を聞かないなんて言ったことある?」


「……嫌よ。あなたに言う必要ないもの。駄々をこねている子どもみたいに思われたくないし」


「君は立派な女性だよ。それに……そこまで言ったなら、思い切って言ってごらんよ」


シャルロットはもじもじしながら、ちらとこちらを見ました。


「あなたがそこまで言うなら……。先月、街で典礼劇のお祭りがあったじゃない? 庶民のお祭りだし、わたしはあまり気乗りしなかったけど、あなたが行ってみればと言ったから……行ったのよ?」


「覚えてるよ。君はあの日楽しみな感じでお祭りに行ってた気がするけど?」
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