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ローレンス様を招く今日、お父様に呼ばれた私は書斎に行った。
「ジュリエッタ。もう身支度は済んでいるな」
「はい、お父様。準備できております」
うちの屋敷で昼食会を催すために、一家総出で準備してきた。今日はまさに本番当日といった感じで、使用人たちも緊張感を漂わせている。
「お嬢様はローレンス様に会う今日を楽しみにしておられたんですよ。毎日わたしとローレンス様について話していたくらいなんです」
隣のリリアンがお父様にこう言った。
なんとなく照れくさかったけど、事実だからしかたない。お父様だって、娘が嫌がっているよりかはいいだろう。
「はっは。そうなのか。ジュリエッタも若い娘なのだな。なにはともあれリリアン、お前の働きも見事だ。ご苦労さま」
「ありがとうございます」
お父様との挨拶が終わり、私はリリアンを連れて自分の部屋に戻った。
「やっとお会いできますねお嬢様。街で偶然見かけて以来、毎日妄想が止まりませんでしたね」
「妄想とは失礼ね! シミュレーションしてただけよ」
リリアンにそう返すと、二人で笑い合った。
ローレンス様の横顔と後ろ姿がずっと忘れられなかった。夜寝るときも、いつもローレンス様を思いながら寝た。街に出かけたときには、ローレンス様を見かけた店の前をわざわざゆっくり歩いてみたり、それとなく店内を見たりしてみた。でも、あの日以来ローレンス様を見かけることはなかった。
「ローレンス様がいらっしゃいました」
使用人から報告を受けた私とリリアンは、お出迎えのために玄関を出た。
(やっと……会えるのね……!)
心臓がドキドキしてきた。
お化粧は大丈夫だろうか、服は変になっていないだろうか。何度も確認したはずなのに、いろんなところが気になってくる。リリアンに「完璧です、お嬢様。あとは会うだけです」と励まされる。リリアン……! あなたがいなきゃ私ひとりでは何もできなかったわ。
ローレンス様とお付きの人たちが目に入った。
あれ……?
私は立ち止まった。リリアンの耳元で、
「あの方……ローレンス様じゃないわよね?」
ときいた。
リリアンも遠目で彼らを凝視し、
「ですね……ローレンス様はもっと長身のはずです。あそこにいらっしゃる殿方は……中肉中背のように見えます」
と答えた。
私が間違っているわけではなさそうだった。
「そうよね。あの方は誰なのかしら?」
「もしかしたら使用人の勘違いかもしれません。ローレンス様ではないお客様なのかも。確認してきますね」
そう言い残してリリアンは”ローレンス様”と名乗る訪問客たちのもとへ行った。
(きっと……人違いよ……横顔の雰囲気も違うし……)
リリアンは挨拶をして少し話した後、うやうやしく頭を下げていた。そしてこちらへ戻ってきた。
「どうしたのリリアン? 誰だったの?」
リリアンは暗いというか、戸惑っているというか、なんとも言えない不可解な表情をしている。
「あの方が……ローレンス様だそうです」
リリアンは伏し目がちで返事をした。
するとそのとき、お父様が私たちの横を通り過ぎざまに「お前たち何をしている!? ローレンス様がいらっしゃっているではないか!」と言いながら、小走りで”ローレンス様”に駆け寄って行った。
やっぱり……あそこにいる人がローレンス様……街で見かけた人とは別人……。
「ジュリエッタ。もう身支度は済んでいるな」
「はい、お父様。準備できております」
うちの屋敷で昼食会を催すために、一家総出で準備してきた。今日はまさに本番当日といった感じで、使用人たちも緊張感を漂わせている。
「お嬢様はローレンス様に会う今日を楽しみにしておられたんですよ。毎日わたしとローレンス様について話していたくらいなんです」
隣のリリアンがお父様にこう言った。
なんとなく照れくさかったけど、事実だからしかたない。お父様だって、娘が嫌がっているよりかはいいだろう。
「はっは。そうなのか。ジュリエッタも若い娘なのだな。なにはともあれリリアン、お前の働きも見事だ。ご苦労さま」
「ありがとうございます」
お父様との挨拶が終わり、私はリリアンを連れて自分の部屋に戻った。
「やっとお会いできますねお嬢様。街で偶然見かけて以来、毎日妄想が止まりませんでしたね」
「妄想とは失礼ね! シミュレーションしてただけよ」
リリアンにそう返すと、二人で笑い合った。
ローレンス様の横顔と後ろ姿がずっと忘れられなかった。夜寝るときも、いつもローレンス様を思いながら寝た。街に出かけたときには、ローレンス様を見かけた店の前をわざわざゆっくり歩いてみたり、それとなく店内を見たりしてみた。でも、あの日以来ローレンス様を見かけることはなかった。
「ローレンス様がいらっしゃいました」
使用人から報告を受けた私とリリアンは、お出迎えのために玄関を出た。
(やっと……会えるのね……!)
心臓がドキドキしてきた。
お化粧は大丈夫だろうか、服は変になっていないだろうか。何度も確認したはずなのに、いろんなところが気になってくる。リリアンに「完璧です、お嬢様。あとは会うだけです」と励まされる。リリアン……! あなたがいなきゃ私ひとりでは何もできなかったわ。
ローレンス様とお付きの人たちが目に入った。
あれ……?
私は立ち止まった。リリアンの耳元で、
「あの方……ローレンス様じゃないわよね?」
ときいた。
リリアンも遠目で彼らを凝視し、
「ですね……ローレンス様はもっと長身のはずです。あそこにいらっしゃる殿方は……中肉中背のように見えます」
と答えた。
私が間違っているわけではなさそうだった。
「そうよね。あの方は誰なのかしら?」
「もしかしたら使用人の勘違いかもしれません。ローレンス様ではないお客様なのかも。確認してきますね」
そう言い残してリリアンは”ローレンス様”と名乗る訪問客たちのもとへ行った。
(きっと……人違いよ……横顔の雰囲気も違うし……)
リリアンは挨拶をして少し話した後、うやうやしく頭を下げていた。そしてこちらへ戻ってきた。
「どうしたのリリアン? 誰だったの?」
リリアンは暗いというか、戸惑っているというか、なんとも言えない不可解な表情をしている。
「あの方が……ローレンス様だそうです」
リリアンは伏し目がちで返事をした。
するとそのとき、お父様が私たちの横を通り過ぎざまに「お前たち何をしている!? ローレンス様がいらっしゃっているではないか!」と言いながら、小走りで”ローレンス様”に駆け寄って行った。
やっぱり……あそこにいる人がローレンス様……街で見かけた人とは別人……。
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