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最終話
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いや、なんでって言われても……。
婚約者と一緒に歩いていてなにが悪いのよ。ていうか婚約者じゃなかったとしても、学園なんだから友達と歩くなんて普通だよ……?
私はイブリンをあまり刺激してはいけないと思った。
「用事があったからさっきまで話してて、その流れで歩いてただけよ」
イブリンはまるで私が泥棒猫かのように睨みつけた。
「わたしのいないところで、オーウェンに関わるのはやめて。前にも言ったでしょ? 覚えてないの? 家の都合で無理やり結婚させられるオーウェンの気持ちを考えてみたら?」
イブリンは強い口調で私をまくし立てた。
私がごめんなさいの「ごめ……」まで言いかけたときに、オーウェンが私に「さがってて」と言った。オーウェンは本好きな大人しい人というだけじゃなくて、いざというときにはとても男らしい一面を見せるのがわかった。オーウェンが私を止めようとして伸ばす手に、ドキッとした。
「イブリン……いい加減にしてくれ。お前はお前の父親からも、俺に接触しないようにキツく言われているはずだろ……? 俺はお前とは幼なじみだし、お前の父親のことも知ってるから、今まで大目にみてきたんだ。俺はお前のことが嫌いなんだ。もうまとわりつかないでくれ」
え……?
イブリンって親から禁止されていたのにオーウェンと一緒にいたの?
イブリンは怒りと涙を顔中に溢れさせて、また私を睨んだ。
「クレア! あなたオーウェンになにを吹き込んだのよ! このクソ女! 尻軽女! わたしのオーウェンを返せ!」
オーウェンは正気を失っているイブリンに対して毅然とした態度を取った。
「訂正しろイブリン。クレアはそんな人じゃない。むしろ、俺たちの関係を心配して、婚約を破棄してもいいと言ってきたんだ。そんな友達の気持ちを考えてみろよ」
イブリンはカッとなって、自分のカバンをオーウェンに投げつけた。
「知るか! この浮気者! お前たちのことは学校中に言いふらしてやる! 絶対に報いを受けさせてやるからな。覚悟しとけ!」
さすがに温厚なオーウェンも我慢できないようだった。
「イブリン……残念だよ。またお前の父親に報告させてもらう。これで十度目だ。もう終わりだよ」
「勝手にすればいいじゃない! 浮気男と性悪女の顔なんて二度と見たくないわ!」
そう言い捨てると、イブリンは投げつけたカバンも回収せずに、帰って行った。まるで嵐が過ぎ去った後のようだった。
オーウェンはイブリンのカバンを拾い上げて私に言った。
「ごめん、今日はイブリンの家に行って、イブリンの親に今日のことを伝えてくるわ」
「そうね……それがいいと思う」
「明日一緒に帰ろう! クレアと話せてすごくよかった。明日が楽しみ!」
「こちらこそありがとう! また明日ね!」
翌日から、イブリンは学園に来なくなった。
正確にはイブリンの両親が病院に連れていき、入院したとのことだった。そして、学園をやめるそう。イブリンの両親から私も謝罪を受けた。
イブリンの父親は「あんなろくでもない子どもに育ててしまって申し訳ない。精神をやられているのかわからないが、もう君の前には現れないようにしておく。自覚のない異常が一番タチが悪いからね。治療させるよ……。婚約の件……おめでとう」と言ってくれた。
私は頭痛のタネがようやくいなくなった気がして、ざまぁみろという感じだった。やっぱりイブリンは異常だったみたい。周りの友達に話をきくと、被害者はかなりの数にのぼりそうだった。
イブリンがいなくなって、私とオーウェンは学園の中で日常的に話すようになった。イブリンとの事件がなかったら、オーウェンのことをよく知らないままだったかもしれない。そういう意味では、イブリンに感謝ね!
「クレア~昨日この本読んだんだけどさ!」
オーウェンと私はお互いが好きな読書を通じて、仲を深めていくのだった。
婚約者と一緒に歩いていてなにが悪いのよ。ていうか婚約者じゃなかったとしても、学園なんだから友達と歩くなんて普通だよ……?
私はイブリンをあまり刺激してはいけないと思った。
「用事があったからさっきまで話してて、その流れで歩いてただけよ」
イブリンはまるで私が泥棒猫かのように睨みつけた。
「わたしのいないところで、オーウェンに関わるのはやめて。前にも言ったでしょ? 覚えてないの? 家の都合で無理やり結婚させられるオーウェンの気持ちを考えてみたら?」
イブリンは強い口調で私をまくし立てた。
私がごめんなさいの「ごめ……」まで言いかけたときに、オーウェンが私に「さがってて」と言った。オーウェンは本好きな大人しい人というだけじゃなくて、いざというときにはとても男らしい一面を見せるのがわかった。オーウェンが私を止めようとして伸ばす手に、ドキッとした。
「イブリン……いい加減にしてくれ。お前はお前の父親からも、俺に接触しないようにキツく言われているはずだろ……? 俺はお前とは幼なじみだし、お前の父親のことも知ってるから、今まで大目にみてきたんだ。俺はお前のことが嫌いなんだ。もうまとわりつかないでくれ」
え……?
イブリンって親から禁止されていたのにオーウェンと一緒にいたの?
イブリンは怒りと涙を顔中に溢れさせて、また私を睨んだ。
「クレア! あなたオーウェンになにを吹き込んだのよ! このクソ女! 尻軽女! わたしのオーウェンを返せ!」
オーウェンは正気を失っているイブリンに対して毅然とした態度を取った。
「訂正しろイブリン。クレアはそんな人じゃない。むしろ、俺たちの関係を心配して、婚約を破棄してもいいと言ってきたんだ。そんな友達の気持ちを考えてみろよ」
イブリンはカッとなって、自分のカバンをオーウェンに投げつけた。
「知るか! この浮気者! お前たちのことは学校中に言いふらしてやる! 絶対に報いを受けさせてやるからな。覚悟しとけ!」
さすがに温厚なオーウェンも我慢できないようだった。
「イブリン……残念だよ。またお前の父親に報告させてもらう。これで十度目だ。もう終わりだよ」
「勝手にすればいいじゃない! 浮気男と性悪女の顔なんて二度と見たくないわ!」
そう言い捨てると、イブリンは投げつけたカバンも回収せずに、帰って行った。まるで嵐が過ぎ去った後のようだった。
オーウェンはイブリンのカバンを拾い上げて私に言った。
「ごめん、今日はイブリンの家に行って、イブリンの親に今日のことを伝えてくるわ」
「そうね……それがいいと思う」
「明日一緒に帰ろう! クレアと話せてすごくよかった。明日が楽しみ!」
「こちらこそありがとう! また明日ね!」
翌日から、イブリンは学園に来なくなった。
正確にはイブリンの両親が病院に連れていき、入院したとのことだった。そして、学園をやめるそう。イブリンの両親から私も謝罪を受けた。
イブリンの父親は「あんなろくでもない子どもに育ててしまって申し訳ない。精神をやられているのかわからないが、もう君の前には現れないようにしておく。自覚のない異常が一番タチが悪いからね。治療させるよ……。婚約の件……おめでとう」と言ってくれた。
私は頭痛のタネがようやくいなくなった気がして、ざまぁみろという感じだった。やっぱりイブリンは異常だったみたい。周りの友達に話をきくと、被害者はかなりの数にのぼりそうだった。
イブリンがいなくなって、私とオーウェンは学園の中で日常的に話すようになった。イブリンとの事件がなかったら、オーウェンのことをよく知らないままだったかもしれない。そういう意味では、イブリンに感謝ね!
「クレア~昨日この本読んだんだけどさ!」
オーウェンと私はお互いが好きな読書を通じて、仲を深めていくのだった。
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ちゃんと話ができて、良かった。
イブリンが怖すぎだけど、親がまともで安心できました。
nanali様
返信が遅れ失礼しました、ご感想ありがとうございます!
イブリンの怖さや結末に満足していただけてよかったです。
最近は新しい作品を書けていないのですが、
今公開している他の作品にも親しんでいただけると、作者としてとても嬉しいです。
引き続きよろしくお願いします!
オススメで挙がっていたので、今更ながら拝読しました。悪役の程度がちょうど良いというか、実際に居そうなのが良かったです。
殺しまで企んだり、やたら爵位とかを使った悪役は何でもありな歯止めが利かない傾向が多いので、その中でこの感じがしっくりきた様に思います。
ざまぁの内容と至ってシンプル且つ、妥当で過剰なやり返しもなかったのも良かったです。
投稿時期からは外れてしまいましたが、応援の気持ちまでに。
Gaunt様
返信遅れてすみません。
ご感想ありがとうございます!
いまさらだなんて、とんでもないです。
私の作品で少しでも楽しんでいただけたなら、
本当によかったです!
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応援のお気持ち、ありがたく受け取ります。嬉しいです。
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