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出てきたのはフレデリックの父。
すなわち国王シャルルだった!
「陛下!!!」
取っ組み合いをしていた近衛兵を含め、皆がひざまずいた。さすがに国王の前で粗相をしては冗談で済まされない。
フレデリックが慎重に顔を上げた。
「父上、お見苦しいところをお見せしました。ところで……どうしてこの部屋にいらっしゃるので……?」
「黙っておれ、フレデリックよ。わしの城なのだから、わしがどこにいようが勝手だ」
「はい、仰せのとおりです。非礼をお許しください」
フレデリックの部屋にいた理由を言えるはずがない。国王シャルルは新婚夫婦の初夜がどのように行われるか楽しみで忍び込んでいたからだ。とんだすけべ親父なのだが、そのおかげでクラウディアは救われることになる。
気をつけなければならないのは、別の怒りでぷるぷると身を震わせる近衛兵A。Aだけは国王がこの部屋で覗きを試みていたと勘づいており、クラウディアを盗み見ようとしていた国王を許せないと考えていた。Aにとってクラウディアは憧れの存在なのである。
「フレデリック。ヒガンバナの使用は死罪だと知っているな?」国王シャルルが確認する。
「……っ! いえ、父上、これは……クラウディアが持ち込んだものです! わたくしめではございません……」
「ごまかしても無駄じゃ。初めから聞いておった。言い訳は無用ぞ。国王の後継は他にもおるのだからな。お前でなくてもかまわんから安心せい」
「そんな……父上……」
「せっかく結婚させてやったのに台無しにしおって。親不孝の愚息め。クラウディアのような美人で誠実な女を裏切り、罪を重ね、バレないとタカを括っておったのか。まだ若いから許してやりたいが、王族といえど例外はない」
国王シャルルはフレデリックに毅然とした態度を取った後、さらに続けた。
「クラウディアはお前にはもったいない。お前を死罪に処した後、わしの側妃とする」
一同に激震が走る。
クラウディアは唖然とするほかなかった。国王シャルルとは今後家族になるものと思い親交を深めてきたが、あくまで義父としてである。まさか側妃にするなどという言葉が出てくるとは想像もついていなかった。だって……義父ですよ……?
すなわち国王シャルルだった!
「陛下!!!」
取っ組み合いをしていた近衛兵を含め、皆がひざまずいた。さすがに国王の前で粗相をしては冗談で済まされない。
フレデリックが慎重に顔を上げた。
「父上、お見苦しいところをお見せしました。ところで……どうしてこの部屋にいらっしゃるので……?」
「黙っておれ、フレデリックよ。わしの城なのだから、わしがどこにいようが勝手だ」
「はい、仰せのとおりです。非礼をお許しください」
フレデリックの部屋にいた理由を言えるはずがない。国王シャルルは新婚夫婦の初夜がどのように行われるか楽しみで忍び込んでいたからだ。とんだすけべ親父なのだが、そのおかげでクラウディアは救われることになる。
気をつけなければならないのは、別の怒りでぷるぷると身を震わせる近衛兵A。Aだけは国王がこの部屋で覗きを試みていたと勘づいており、クラウディアを盗み見ようとしていた国王を許せないと考えていた。Aにとってクラウディアは憧れの存在なのである。
「フレデリック。ヒガンバナの使用は死罪だと知っているな?」国王シャルルが確認する。
「……っ! いえ、父上、これは……クラウディアが持ち込んだものです! わたくしめではございません……」
「ごまかしても無駄じゃ。初めから聞いておった。言い訳は無用ぞ。国王の後継は他にもおるのだからな。お前でなくてもかまわんから安心せい」
「そんな……父上……」
「せっかく結婚させてやったのに台無しにしおって。親不孝の愚息め。クラウディアのような美人で誠実な女を裏切り、罪を重ね、バレないとタカを括っておったのか。まだ若いから許してやりたいが、王族といえど例外はない」
国王シャルルはフレデリックに毅然とした態度を取った後、さらに続けた。
「クラウディアはお前にはもったいない。お前を死罪に処した後、わしの側妃とする」
一同に激震が走る。
クラウディアは唖然とするほかなかった。国王シャルルとは今後家族になるものと思い親交を深めてきたが、あくまで義父としてである。まさか側妃にするなどという言葉が出てくるとは想像もついていなかった。だって……義父ですよ……?
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