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リーゼが刺された……?


私はミシェルにきいた。
「使いの者は他に何か言ってなかった? どうして刺されたのかしら」

ミシェルはためらいながら答えた。
「使いの者は刺されたとしか……。亡くなったのかどうかもわかりません。リーゼ様は奥様が出て行かれてから、旦那様のいない間に男の人を屋敷に連れ込むようになりました。男の人たちの見た目は……失礼ながら盗賊のようなと申しますか、ガラの悪い感じです。使用人たちはみなゾッとしてしまって……。リーゼ様はもしかしたらそのような人たちの恨みを買ったのかも……」

ほら言わんこっちゃない……。
夫は夫で、城での立場が危うくなってリーゼにかまっている暇がなくなったのだろう。夫がいないことをいいことにリーゼは家で好き放題し、こんなに荒れ果てた屋敷にしてしまったんだ。

私はミシェルが気の毒になった。
たった一人で、使用人として家のために奮闘していて――。
結婚したばかりのときの自分と重なった。

「ミシェル、この家で勤めるのはやめて、私のところに来てくれないかしら? 私は王太子妃になるの」

「王太子妃に!? おめでとうございます!」

ミシェルはまるで私を女神様かのように見つめた。
「私は奥様のもとで働くことが好きだったのだと、奥様がいなくなってあらためて思いました。リーゼ様はご自身の見た目や快楽にしか興味がなく、家は崩壊していく一方でした。私は力不足な自分が悔しくて……」

「ミシェルの献身的な働きは私が認めてるわ。安心なさい。あなたも荷物をまとめてね。一緒にこの家を出ましょう」

「はい! 奥様!」



私とミシェルは荷物をまとめて出発した。
実家に帰る予定だったけど、王都に寄ることにした。

リーゼの事件を確かめるために……
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