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貧民街に着くと、そこは想像を絶するほどのみすぼらしさであった。屋根に穴が開いている長屋がたくさんあるかと思えば、上半身裸の人が歩いているのは当たり前、少年が横になって倒れている姿も見た。その少年にパンをあげると、目の色を変えて食べ、ぺこりと頭を下げ走り去った。
私は従者二人と、フランケンの居場所をたずね歩いた。一時間ほど手当たりしだいにきいて周ったけど、大して相手もされずに無視されたり、嘘の情報を教えられたりした。フランケンがいると言われて行った場所が娼婦の館で、働きに来たのかとからかわれた。
貧民街に入ってからずっと後ろをつけてきた男がいたのだけど、最初は一人だったのが、徐々に仲間を集めたようで四人になっていた。
「エリーゼ様。そろそろここは危ないです。我々は目立っています」
と従者の一人が言った。
「それもそうね……」
日を改めるほうがよいと判断した。今日フランケンを見つけ出したいのはやまやまだけど、帰れなくなったら元も子もない。
(次はもっと従者を連れてこなくちゃいけないわ……)
貧民街の出口へ向けて歩いていると、ずっとつけてきた男が目の前に立ちはだかった。
男はクスクス笑いながら、
「お姫様。何かお探しですかい? よかったら俺が探してやるよ?」
と言った。
私は毅然とした態度を取った。
「けっこうよ。今から帰るところなの。ご機嫌よう」
そう言って一歩踏み出したとき、男は両手を広げて私たちを止めた。
「ちょっと待ってくださいよ。この街は見てのとおり貧しい街でね。寄付してもらえませんかね?」
男は脅すような口調だった。
「……献金ならさっきそこの教会でしてきたわ。神父様にきいてみなさい」
男は顔をゆがめて「ちっ」と言ったあと、
「教会は自分たちで金を全部持ってく。俺たちなんか見向きもしねえ。金を置いていってくれ」
と頼みこんできた。
こういう輩にお金を渡すと、街を出るまでにありとあらゆる人間にたかられてしまう。
「断るわ。私は急いでいるの。そこを通して」
「……わかったよ」
男は道をあけた。
しかし、私たちが道を通ろうとすると、前後左右から二人ずつ、私たちを取り囲むにして現れた。わかってはいたが、賊である。
「はっは! お前みたいなお姫様が来ていい場所じゃねえんだよ。着ている服も全部ひっくるめて置いていってもらう」
道を譲ったはずの男がそう言うと、周りに現れた賊たちもナイフを取り出した。
私は従者二人と、フランケンの居場所をたずね歩いた。一時間ほど手当たりしだいにきいて周ったけど、大して相手もされずに無視されたり、嘘の情報を教えられたりした。フランケンがいると言われて行った場所が娼婦の館で、働きに来たのかとからかわれた。
貧民街に入ってからずっと後ろをつけてきた男がいたのだけど、最初は一人だったのが、徐々に仲間を集めたようで四人になっていた。
「エリーゼ様。そろそろここは危ないです。我々は目立っています」
と従者の一人が言った。
「それもそうね……」
日を改めるほうがよいと判断した。今日フランケンを見つけ出したいのはやまやまだけど、帰れなくなったら元も子もない。
(次はもっと従者を連れてこなくちゃいけないわ……)
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男はクスクス笑いながら、
「お姫様。何かお探しですかい? よかったら俺が探してやるよ?」
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「けっこうよ。今から帰るところなの。ご機嫌よう」
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「ちょっと待ってくださいよ。この街は見てのとおり貧しい街でね。寄付してもらえませんかね?」
男は脅すような口調だった。
「……献金ならさっきそこの教会でしてきたわ。神父様にきいてみなさい」
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と頼みこんできた。
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「断るわ。私は急いでいるの。そこを通して」
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しかし、私たちが道を通ろうとすると、前後左右から二人ずつ、私たちを取り囲むにして現れた。わかってはいたが、賊である。
「はっは! お前みたいなお姫様が来ていい場所じゃねえんだよ。着ている服も全部ひっくるめて置いていってもらう」
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