浮気をする伯爵様、負けを認めてください。不誠実な男は嫌いです。

Hibah

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フランケンは驚くこともなく微笑んだ。

「クローバーの花言葉ですね」

私はちぇっという顔をわざとらしくした。
「やっぱり知ってるのね」

四つ葉のクローバーには他にも花言葉がある。ちょうど今の私にとって都合がいい言葉――「復讐」――も。

フランケンはすっと立ち上がった。
「安心してください。レオンハルト様はエリーゼ様のことがお好きです。一番近くで仕えているわたしが言うのですから、間違いありません」

レオンハルトの話はしたくなかった。フランケンと一緒にいるこの時間が、ずっと続いてほしいと思っている自分がいた。いつの間にか私は、綺麗な薔薇よりもフランケンの笑顔を探している。

去ろうとするフランケンに、私は四つ葉のクローバーを指差しながら「持っていかなくていいの?」とたずねた。

フランケンはまた優しく微笑みながら、
「ええ。こうしてエリーゼ様とここに来られたことが、幸運でしたから」
と答えた。

私はその瞬間、胸がぎゅっと締めつけられるような思いがした。フランケンは周りから蔑まれて生きてきたはずなのに、感性を失わないままこんなに素敵な男性になっている。どうして今まで気がつかなかったのだろう。いつもレオンハルトの近くにいるから、姿は見えていたはずなのに。私はフランケンを見ているようで、何も見ていなかったのだ。



「おいフランケン! 何してる!?」



レオンハルトの大きな声が聞こえた。レオンハルトが裏庭まで来ていた。

フランケンはぱっと私の手を離した。

「申し訳ありません!」

レオンハルトは眉間にシワを寄せて駆け寄ってきて、フランケンの頬を叩いた。

ぱしんっ! という音が裏庭に響いた。

「僕の婚約者に……どういうつもりだ!?」
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