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「端っこで立ってて、楽しいの?」
中庭の端の木陰で立っているフランケンに話しかけた。フランケンは私に突然話しかけられたせいか、目をぱちくりさせていた。
「いえ……こうしてここにいるのも仕事でして……」
フランケンにとって、私はご主人様の婚約者。そう簡単に打ち解けて話せるわけもない。
「あなたのご主人様はああして平民にデレデレしているけど、それを見守るのがあなたの役割?」
少し意地悪にきいてしまった。
こうやって突っかかってしまうところ、お父様にも前に注意されたのになぁ……。
でも、フランケンは微笑んでいて、余裕がある感じだった。
「エリーゼ様は……レオンハルト様のことを大切に思われているのですね」
「……」
何を勘違いしているのかしら。
「フランケン。あんなご主人様を持って大変ね。ご苦労さま」
「……ねぎらいのお言葉、嬉しいです」
……話が弾まなくて、簡単に距離を縮められそうにない。フランケンは言葉数が少ないタイプのようで、すぐに沈黙が流れてしまう。
レオンハルトがいるほうをちらっと見ると、彼も私たちを見ているようだった。そうよね、珍しいわよね、私とフランケンが話している光景は。ひとまずのところ、レオンハルトの意表は突けているみたい。
「小さい頃からレオンハルトに仕えているのよね?」
「そうです。レオンハルト様のおかげで今のわたしがいます」
「レオンハルトに苦手なものってあるのかしら? 婚約者として事前に知っておきたくて」
自分で口に出して気づいたのだけど、この戦略がいいわね。結婚するうえで、レオンハルトの良いところも悪いところも知っておく必要がある。それって自然だし、フランケンにとっても言いやすくなるはず。
フランケンは小鳥たちを見つめながら「そうですねえ……」とつぶやいた。
「レオンハルト様は、女性が苦手です」
「はあ? 女性!? そんなわけないじゃない」
「言葉足らずだったかもしれません。正確には、好きな女性と話すのが苦手です」
「あなたには……それがわかるの?」
「はい。レオンハルト様は話しかけやすい女性としか話さず、本当に好きな女性とはあまり話せないのです。嬉しさと緊張が同時に起こるようでして、途中で切り上げてしまいます」
「……じゃあ……たとえば、レオンハルトはユリアーナのことをどう思ってるの?」
前のお茶会でレオンハルトとキスをしていた忌まわしき女。思い出すだけでもイライラしてくる。
フランケンはあっけらかんとした顔で言った。
「まったく好きじゃないですね。レオンハルト様はああいう女が一番嫌いです」
「ふふ……ふふふふ」
あまりにもあっさりユリアーナのことを切り捨てるので、笑ってしまった。丁寧な感じでばっさりいくの、嫌いじゃないわ。
フランケンは「あっ、失礼しました」と申し訳無さそうな顔をした。みんなは怖いとか怪物だとか言っているけど、私にはフランケンの顔が可愛く見えた。
「フランケン。裏庭で、薔薇でも見ながら話さない?」
私はフランケンといるのが楽しくなってきた。
でも、フランケンはレオンハルトのほうへ視線を向けながら言った。
「すみません。もうわたしから離れていただけないでしょうか……?」
中庭の端の木陰で立っているフランケンに話しかけた。フランケンは私に突然話しかけられたせいか、目をぱちくりさせていた。
「いえ……こうしてここにいるのも仕事でして……」
フランケンにとって、私はご主人様の婚約者。そう簡単に打ち解けて話せるわけもない。
「あなたのご主人様はああして平民にデレデレしているけど、それを見守るのがあなたの役割?」
少し意地悪にきいてしまった。
こうやって突っかかってしまうところ、お父様にも前に注意されたのになぁ……。
でも、フランケンは微笑んでいて、余裕がある感じだった。
「エリーゼ様は……レオンハルト様のことを大切に思われているのですね」
「……」
何を勘違いしているのかしら。
「フランケン。あんなご主人様を持って大変ね。ご苦労さま」
「……ねぎらいのお言葉、嬉しいです」
……話が弾まなくて、簡単に距離を縮められそうにない。フランケンは言葉数が少ないタイプのようで、すぐに沈黙が流れてしまう。
レオンハルトがいるほうをちらっと見ると、彼も私たちを見ているようだった。そうよね、珍しいわよね、私とフランケンが話している光景は。ひとまずのところ、レオンハルトの意表は突けているみたい。
「小さい頃からレオンハルトに仕えているのよね?」
「そうです。レオンハルト様のおかげで今のわたしがいます」
「レオンハルトに苦手なものってあるのかしら? 婚約者として事前に知っておきたくて」
自分で口に出して気づいたのだけど、この戦略がいいわね。結婚するうえで、レオンハルトの良いところも悪いところも知っておく必要がある。それって自然だし、フランケンにとっても言いやすくなるはず。
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「はあ? 女性!? そんなわけないじゃない」
「言葉足らずだったかもしれません。正確には、好きな女性と話すのが苦手です」
「あなたには……それがわかるの?」
「はい。レオンハルト様は話しかけやすい女性としか話さず、本当に好きな女性とはあまり話せないのです。嬉しさと緊張が同時に起こるようでして、途中で切り上げてしまいます」
「……じゃあ……たとえば、レオンハルトはユリアーナのことをどう思ってるの?」
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フランケンはあっけらかんとした顔で言った。
「まったく好きじゃないですね。レオンハルト様はああいう女が一番嫌いです」
「ふふ……ふふふふ」
あまりにもあっさりユリアーナのことを切り捨てるので、笑ってしまった。丁寧な感じでばっさりいくの、嫌いじゃないわ。
フランケンは「あっ、失礼しました」と申し訳無さそうな顔をした。みんなは怖いとか怪物だとか言っているけど、私にはフランケンの顔が可愛く見えた。
「フランケン。裏庭で、薔薇でも見ながら話さない?」
私はフランケンといるのが楽しくなってきた。
でも、フランケンはレオンハルトのほうへ視線を向けながら言った。
「すみません。もうわたしから離れていただけないでしょうか……?」
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