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レオンハルトは私に見られているとわかっていて、今も両隣の女の肩に手を回している。
「で、フレデリカが考えた仕返しっていうのはどういうものだったの?」
フレデリカは躊躇しながら、
「いや、具体的にこう、って思いついたわけじゃなくて……仕返しはしないのかなっていう確認? みたいな」
と言った。
私はがっかりした。
何かとっておきの方法があるのかと思っていたのに。
フレデリカは思いついたように「あっ! でもね! 手がかりならあるわよ」と言った。
「無理しなくていいよ」と私が返すと、気を取り直したようだった。
「エリーゼ。こういうときはね、本人に直接いくよりも、まずは周りから攻めたほうがいいんだよ」
「周りから? 具体的には?」
「ほら、いつもいるでしょ」
そう言うとフレデリカは中庭の端のほうを指差した。そこにはレオンハルトの従者フランケンがいた。レオンハルトに公私ともにつきっきりで、右腕のような存在だということだけは私も知っている。お父様も「レオンハルトが女で身を崩さないのは、フランケンがしっかりしているからだ。フランケンの優秀さがあるからこそ、レオンハルトは持ちこたえているとも言えるな」と言っていたことがある。
今日もフランケンは、遠くからレオンハルトを見守っているみたいだった。
「フランケンからレオンハルトについて、何か情報を聞き出すってわけね?」
私がこうたずねると、フレデリカはうんうんとうなずいた。
「仕事がとてもできて、優秀らしいわよ。でも……あの容姿だから……怖がられているのが損よね」
フランケンは小さい頃から容姿が醜く、いじめられていたらしい。そのいじめもひどくて、さらに傷やアザが増えたとのこと。街ではよく”怪物”だと恐れられているそう。
「フレデリカ、彼のことよく知ってるのね」
「エリーゼのほうが知ってるでしょ?」
「そうでもないんだよね……確かレオンハルトが言ってたわ。少年のとき、フランケンを街で見つけて仲良くなったって」
「さすがレオンハルト様、お優しい。容姿に恵まれない平民をお救いになったのね」
「どうしていつも、ああやって遠くにいるのかしら?」
「そりゃだって……レオンハルト様は女性とたくさんお話するでしょ? 近くにあんな人がいたら……ねえ?」
「ひどくない……?」
「わたしを責めないでよ。気持ち悪いと感じてしまうのはしかたないじゃない」
今までフランケンを意識したことはなかった。レオンハルトに対してでさえ私はあまり関わりを持とうとしてこなかったので、フランケンに対してはなおさらだった。
フランケンは今も中庭の端の木陰で一人佇んでいる。いつもレオンハルトを見ているわけではなく、たまに草木を見ながらぼうっとしているみたい。
「小鳥には好かれているのね」
フレデリカがこう言ったので、私も彼の周りにいる小鳥の多さに気がついた。肩に小鳥が止まるときもあり、小鳥は少しも警戒していないようだった。
「実は……優しい人なのじゃないかしら」
話しかけてみようと思った。「フレデリカはここにいて」と伝えたあと、私はフランケンの側まで行った。
「で、フレデリカが考えた仕返しっていうのはどういうものだったの?」
フレデリカは躊躇しながら、
「いや、具体的にこう、って思いついたわけじゃなくて……仕返しはしないのかなっていう確認? みたいな」
と言った。
私はがっかりした。
何かとっておきの方法があるのかと思っていたのに。
フレデリカは思いついたように「あっ! でもね! 手がかりならあるわよ」と言った。
「無理しなくていいよ」と私が返すと、気を取り直したようだった。
「エリーゼ。こういうときはね、本人に直接いくよりも、まずは周りから攻めたほうがいいんだよ」
「周りから? 具体的には?」
「ほら、いつもいるでしょ」
そう言うとフレデリカは中庭の端のほうを指差した。そこにはレオンハルトの従者フランケンがいた。レオンハルトに公私ともにつきっきりで、右腕のような存在だということだけは私も知っている。お父様も「レオンハルトが女で身を崩さないのは、フランケンがしっかりしているからだ。フランケンの優秀さがあるからこそ、レオンハルトは持ちこたえているとも言えるな」と言っていたことがある。
今日もフランケンは、遠くからレオンハルトを見守っているみたいだった。
「フランケンからレオンハルトについて、何か情報を聞き出すってわけね?」
私がこうたずねると、フレデリカはうんうんとうなずいた。
「仕事がとてもできて、優秀らしいわよ。でも……あの容姿だから……怖がられているのが損よね」
フランケンは小さい頃から容姿が醜く、いじめられていたらしい。そのいじめもひどくて、さらに傷やアザが増えたとのこと。街ではよく”怪物”だと恐れられているそう。
「フレデリカ、彼のことよく知ってるのね」
「エリーゼのほうが知ってるでしょ?」
「そうでもないんだよね……確かレオンハルトが言ってたわ。少年のとき、フランケンを街で見つけて仲良くなったって」
「さすがレオンハルト様、お優しい。容姿に恵まれない平民をお救いになったのね」
「どうしていつも、ああやって遠くにいるのかしら?」
「そりゃだって……レオンハルト様は女性とたくさんお話するでしょ? 近くにあんな人がいたら……ねえ?」
「ひどくない……?」
「わたしを責めないでよ。気持ち悪いと感じてしまうのはしかたないじゃない」
今までフランケンを意識したことはなかった。レオンハルトに対してでさえ私はあまり関わりを持とうとしてこなかったので、フランケンに対してはなおさらだった。
フランケンは今も中庭の端の木陰で一人佇んでいる。いつもレオンハルトを見ているわけではなく、たまに草木を見ながらぼうっとしているみたい。
「小鳥には好かれているのね」
フレデリカがこう言ったので、私も彼の周りにいる小鳥の多さに気がついた。肩に小鳥が止まるときもあり、小鳥は少しも警戒していないようだった。
「実は……優しい人なのじゃないかしら」
話しかけてみようと思った。「フレデリカはここにいて」と伝えたあと、私はフランケンの側まで行った。
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