ボッチの俺が、個人VTuberとして地味に活動していたらいつのまにか人気になっていた~とある変態リスナーが推しと付き合うまで

わんた

文字の大きさ
34 / 43

第34話 告発

しおりを挟む
「陽葵、男子に絡んでないで帰るよ」
「え?」
「え、じゃないでしょ。優希くんが困ってるじゃない」

 どうやら舞衣さんは俺を助けるために来てくれたみたい。よかった。陽葵さんの遊びに乗ってきたら収拾がつかなくなるところだったよ。

「そんなこと言うなら舞依は先に帰ってよ」

 挑発するように陽葵さんは言ってから、両腕を伸ばして俺の頬を掴んだ。

 手はすべすべしていて温かい。

 心がほっとする。

 ずっと触れて欲しいと思ってしまう不思議な魅力があった。

「私は、ずっとここにいるから」
「ひ~ま~り~」

 一瞬にして舞依さんの怒りが頂点に達し、陽葵さんの頭を掴んだ。運動系の部活に入っていることもあって結構力は強いみたい。俺から手を離し、逃げようとしているけど抜け出せないでいる。

「いたい! いたいってっ!」
「痛くしてるんだから当然でしょっ!! だいたい昔から陽葵は男に気安く触り過ぎなんだって!」
「クセなの~っ! 許して!」
「だーめ。今日という今日は、わかってくれるまでお説教なんだから」

 別クラスの二人が入ってくるだけでも一大イベントなのに、争いあっている珍しい光景を目の前にして、俺だけじゃなく教室に残っている皆が驚いている。

 彼女たちのイメージが崩れてしまいそうだ。

 理由はわからないけど俺が原因でケンカしてることはわかっているので止めないと。

「二人とも落ち着いて」

 意識して声を変えながら言うと同時に動いて俺を見た。

 ガン見されている。美人のすごんだ顔は、それだけで威圧感があって気圧されそうになる。

「注目を集めているよ」

 と、視線を教室の仲人の方に移すと二人も続く。

 ようやく悪目立ちしていると気づいてくれたみたいだ。さらにドアから笹木先輩が俺たちを盗み見してて、舞依さんの頬は引きつっていた。仲が良いと思っていたけど苦手なのか。

「どっか行こうか」
「……舞依に賛成」

 陽葵さんは俺のスクールバッグを持ち、舞依さんは腕を取って引っ張っていく。逃げる方法は失った。息がぴったりだ。

 クラスメイトに見られながら教室を出ると、そのまま学校から出て移動することになった。

 * * * * * * *

 制服を着たまま駅前のファストフード店に入った。三人ともジュースとポテトを頼んで席に座っている。

 女性の二人はソファ席で俺は普通の椅子。向かい合っている。

 教室での出来事なんてなかったかのように舞依さんと陽葵さんは仲良く話していて、俺は声を変えて長く話すのは難しいため聞き手に徹している。

 今は流行のショート動画を紹介し合っていた。

「私はね、最近この人にハマってるんだ」

 陽葵さんがスマホをテーブルに置く。

 見覚えのある見た目が画面に表示されている。特徴的なピンク髪を見間違えることはない。メーベル・クロツェルさんだ。

 動画が再生されると男の声も聞こえる。

 え、俺だ。

 この前のコラボ動画の切り抜きみたいで、クラフト系のゲームをしている。ちょうど二人で一つのベッドを使おうなんて話しているところだった。

「この人とのコラボは面白くなかったんだけど、男性経験の話とかは面白いんだよね」

 さらっと、つまらないと言われて傷つきながらも静かに話を聞く。

「いざヤるといったときにシャワー浴びない男の話とか、マジで受けたんだから」
「……それ面白いの?」
「うん。エッチするときのあるあるネタとか共感できて面白くない?」
「え、いや……」

 言い淀んでいる舞依さんは俺の方をチラッと見た。異性の目が気になっているのだろうか。

 隣にいる陽葵さんはニヤつきながら様子を見ている。

 俺たちにとっては、あまり好ましくない言葉を思いついたのだろう。

「まさか未経験なの?」
「…………そいういうの男子の前でいうの止めない?」
「いいじゃん。私は気にしないよ。経験人数だって言えるんだから」

 疑わしそうな目で舞依さんが見ていても陽葵さんの口は止まらない。

「一回だけを含めると、ろく――」
「ストーーーーップ!」

 大声を出した舞依さんが止めた。

 高校一年で60人ってことはないだろうから、6人と言いたかったのかな。それでも童貞の俺には想像がつかないほど経験が豊富だ。

 隣にいる舞依さんはどうなんだろう。

 人気者だから同じぐらいの経験をしていても不思議じゃないと思うんだけど、会話の流れからしてそうじゃないかもしれない。別に付き合っているわけじゃないからどうでも良い話題であるはずなのに、何故か気になって仕方がなかった。

「わかったって。ほらこれでも食べ落ち着いて」

 ポテトを一本もつと、陽葵さんは舞依さんの口にねじ込んで黙らせる。

「っん!?」
「それでねメーベルって人の動画で面白いのは……」

 抗議の目をされても気づかないフリして、陽葵さんはスマホを操作している。

 指は淀みなく動いて動画アプリからSNSに切り替えると動きが止まった。

「さっきの人……えーと、メーベルだっけ。なんか、すごいことになっている」
「すごいって?」

 コラボ相手のことだから興味はある。声を変えつつ聞いてみた。

「うーん。これは炎上っぽいね。告発されているっぽい」

 画面を見せてくれたので内容を確認する。

 どうやら過去にコラボした男性VTuberが金を取られたって告発しているみたいだ。

 SNSに投稿されたばかりで世間がどう反応するかわからない。

 メーベルさん大丈夫かな……。

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

天才天然天使様こと『三天美女』の汐崎真凜に勝手に婚姻届を出され、いつの間にか天使の旦那になったのだが...。【動画投稿】

田中又雄
恋愛
18の誕生日を迎えたその翌日のこと。 俺は分籍届を出すべく役所に来ていた...のだが。 「えっと...結論から申し上げますと...こちらの手続きは不要ですね」「...え?どういうことですか?」「昨日、婚姻届を出されているので親御様とは別の戸籍が作られていますので...」「...はい?」 そうやら俺は知らないうちに結婚していたようだった。 「あの...相手の人の名前は?」 「...汐崎真凛様...という方ですね」 その名前には心当たりがあった。 天才的な頭脳、マイペースで天然な性格、天使のような見た目から『三天美女』なんて呼ばれているうちの高校のアイドル的存在。 こうして俺は天使との-1日婚がスタートしたのだった。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

迷子を助けたら生徒会長の婚約者兼女の子のパパになったけど別れたはずの彼女もなぜか近づいてくる

九戸政景
恋愛
新年に初詣に来た父川冬矢は、迷子になっていた頼母木茉莉を助け、従姉妹の田母神真夏と知り合う。その後、真夏と再会した冬矢は真夏の婚約者兼茉莉の父親になってほしいと頼まれる。 ※こちらは、カクヨムやエブリスタでも公開している作品です。

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

イケボすぎる兄が、『義妹の中の人』をやったらバズった件について

のびすけ。
恋愛
春から一人暮らしを始めた大学一年生、天城コウは――ただの一般人だった。 だが、再会した義妹・ひよりのひと言で、そんな日常は吹き飛ぶ。 「お兄ちゃんにしか頼めないの、私の“中の人”になって!」 ひよりはフォロワー20万人超えの人気Vtuber《ひよこまる♪》。 だが突然の喉の不調で、配信ができなくなったらしい。 その代役に選ばれたのが、イケボだけが取り柄のコウ――つまり俺!? 仕方なく始めた“妹の中の人”としての活動だったが、 「え、ひよこまるの声、なんか色っぽくない!?」 「中の人、彼氏か?」 視聴者の反応は想定外。まさかのバズり現象が発生!? しかも、ひよりはそのまま「兄妹ユニット結成♡」を言い出して―― 同居、配信、秘密の関係……って、これほぼ恋人同棲じゃん!? 「お兄ちゃんの声、独り占めしたいのに……他の女と絡まないでよっ!」 代役から始まる、妹と秘密の“中の人”Vライフ×甘々ハーレムラブコメ、ここに開幕!

前世は有名コーヒーチェーン店で働いてたので、異世界で再現してみようという話

くじら
恋愛
王立学園の薬学科には、いつも白衣を着て調合室でコーヒーを淹れている女学生がいる。 彼女の淹れるコーヒー(という回復薬)を求めて、今日も学生がやってくる。

幼馴染に告白したら、交際契約書にサインを求められた件。クーリングオフは可能らしいけど、そんなつもりはない。

久野真一
青春
 羽多野幸久(はたのゆきひさ)は成績そこそこだけど、運動などそれ以外全般が優秀な高校二年生。  そんな彼が最近考えるのは想い人の、湯川雅(ゆかわみやび)。異常な頭の良さで「博士」のあだ名で呼ばれる才媛。  彼はある日、勇気を出して雅に告白したのだが―  「交際してくれるなら、この契約書にサインして欲しいの」とずれた返事がかえってきたのだった。  幸久は呆れつつも契約書を読むのだが、そこに書かれていたのは予想と少し違った、想いの籠もった、  ある意味ラブレターのような代物で―  彼女を想い続けた男の子と頭がいいけどどこかずれた思考を持つ彼女の、ちょっと変な、でもほっとする恋模様をお届けします。  全三話構成です。

服を脱いで妹に食べられにいく兄

スローン
恋愛
貞操観念ってのが逆転してる世界らしいです。

処理中です...