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第23話 ちょっとした違和感
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家に戻って舞依さんにあの後のことを聞いてみたけど、大丈夫だったとしか言われず、詳細はわからなかった。
それでも心配だったので追求しようとしたら「女の秘密です」と言われてしまい何も言えなくなる。
俺よりも数段上のコミュニケーション能力を持っているはずだから、下手に口出すより任せた方がよい方向に転ぶ……と思う。 盗撮男は諦めてくれたし、笹木先輩とは変なトラブルには発展しないだろう予想もあって、様子を見ることにしよう。
それよりも気になるのは、以前から続いている写真や手紙を送ってくる犯人のことだ。
長く続いている分、盗撮男よりも感情が熟成されていて腐っていそうだ。早めに動いた方が良いと思い次はこの人を捕まえようと提案したら、実は解決したと言われてしまった。
こもまた詳細は教えてくれないが、俺が下駄箱を監視している間に進展があったらしい。
同時に二つのトラブルが終わるなんて運がいいな。
しばらく配信できないと思っていたけど、落ち着いたのであれば活動再開してもよさそうだ。
この前の反省を活かすためにSNSで配信の事前告知をして、待機部屋を作ってから放置。家族で晩ご飯を食べてお風呂に入ってから部屋に戻ると、あと5分で配信する時間になっていた。
「あー、あー、こんにちは銀河聖夜です」
声を出して喉の調子を整える。バッチリだ。今日は楽しい配信をするぞ!
すぐに同接が増えてくれと祈りながら配信ボタンをクリックする。
VTuberの体が表示された。右側に寄っていて左には投稿されたコメントが表示されるエリアもある。パソコンが置かれた部屋の背景画像があって、リスナーは俺の家に来ているといった雰囲気を出している。
気になる同接数だけど数字は4だ! 告知していたこともあって既にリスナーがいる!
[メメ:久しぶり! 前回の配信を見逃して丸一日鬱だったよ……]
[ワカメ:配信告知できて偉い!]
常連さんからのコメントだ。やっぱりやるべきことをするというのは、凄く大事なんだと実感する。
「真面目にVTuberをやろうと思ってね。これからは事前に告知するから、これからは見逃さずに済むと思うよ」
返事をするとコメントが連投される。
[メメ:やったー! 絶対にリアルタイムで見る!]
[メメ:アーカイブって悪くはないけど、子宮に響いてこないんだよね]
[メメ:何でも生が良いよ! ナマが!]
相変わらずメメさんは絶好調だ。
[ワカメ:わかるー! ナマ最高だよね! 感触が段違いに違う!]
[メメ:そうなんだ!? 経験豊富なの!?]
[ワカメ:ビールの喉ごしの話だよ。メメちゃんは何を勘違いしたのかな~!]
普段のワカメさんは積極的に下ネタをすることはない。珍しいな。お酒でも飲んでいそうだ。
[キラキラJD:こんにちは]
このタイミングで最後の常連がやってきた。メメさんを中心に下ネタで盛り上がりそうだ。
もうちょっと有名なVTuberになってリスナーを増やして人気になりたいと思っているので、このまま身内トークが続いてしまうと少しだけ困る。とはいえ理由を言わずに、なれ合いは止めてくれてとお願いしても反感を買ってしまい、常連を止めてしまうことも考えられる。
コメントを見ながら様子を伺おう。
[ワカメ:おひさー。元気だった?]
[キラキラJD:もちろん! 聖夜くんも元気にしてた?]
「うん。元気だよ! この前は配信に付き合ってくれてありがとう」
[キラキラJD:いえいえ!]
[ワカメ:意味深な発言っ! 二人っきりでナニをしてたの!?]
[キラキラJD:えー、それって良いのかな? 聖夜くん]
話題を振られてしまったのであれば答えなければ。
「いいよ。しばらく配信できないよって言っただけだからね」
[キラキラJD:えー。もうネタばらし?]
「長く引っ張る話題じゃないでしょ。それよりさ――」
軌道修正するために最近はまっている漫画の話題をしつつ、次の配信でゲーム実況をしたいと伝えると、常連だけじゃなく普段コメントしないリスナーからも新しいチャレンジを歓迎するコメントが書き込まれた。
有名になりたいと言っても賛同してくれる。
みんな俺の声を目的にきていただけで、実は雑談に飽きていたのかもしれない。今のスタイルを数年続けていたら徐々に離れていったかも。
そう思ったら人気者になろうとしている俺の判断は間違いじゃなかったのだ。
問題は、どうすればリスナーが増えるのかわからないことにある。
身内ネタの配信は良くないし、初見リスナーも楽しめる雰囲気や内容にしないといけないのは知っているけど、そもそも新規の人たちに知り合う機会を作れないのだ。
そういった悩みを打ち明けると、リスナーがヒントをくれる。
[ワカメ:人気のゲームタイトルやコラボ配信をするのもいいと思う。あとはショート動画だけど、あれは登録数が増えるだけで同接は増えないんだよねぇ~]
意外なことにワカメさんは詳しかったようだ。教えてもらったことはメモしていく。
「そうなんだ! ゲームはやるとしてコラボだな~。知り合いのVTuberはいないから、すぐに実現するのは難し。まずは友達作りだね」
結局の所、リアルもバーチャルも変わらない。人間関係を構築しなければ、圧倒的な才能を持っていない凡人は生きていけないのだ。
それでも心配だったので追求しようとしたら「女の秘密です」と言われてしまい何も言えなくなる。
俺よりも数段上のコミュニケーション能力を持っているはずだから、下手に口出すより任せた方がよい方向に転ぶ……と思う。 盗撮男は諦めてくれたし、笹木先輩とは変なトラブルには発展しないだろう予想もあって、様子を見ることにしよう。
それよりも気になるのは、以前から続いている写真や手紙を送ってくる犯人のことだ。
長く続いている分、盗撮男よりも感情が熟成されていて腐っていそうだ。早めに動いた方が良いと思い次はこの人を捕まえようと提案したら、実は解決したと言われてしまった。
こもまた詳細は教えてくれないが、俺が下駄箱を監視している間に進展があったらしい。
同時に二つのトラブルが終わるなんて運がいいな。
しばらく配信できないと思っていたけど、落ち着いたのであれば活動再開してもよさそうだ。
この前の反省を活かすためにSNSで配信の事前告知をして、待機部屋を作ってから放置。家族で晩ご飯を食べてお風呂に入ってから部屋に戻ると、あと5分で配信する時間になっていた。
「あー、あー、こんにちは銀河聖夜です」
声を出して喉の調子を整える。バッチリだ。今日は楽しい配信をするぞ!
すぐに同接が増えてくれと祈りながら配信ボタンをクリックする。
VTuberの体が表示された。右側に寄っていて左には投稿されたコメントが表示されるエリアもある。パソコンが置かれた部屋の背景画像があって、リスナーは俺の家に来ているといった雰囲気を出している。
気になる同接数だけど数字は4だ! 告知していたこともあって既にリスナーがいる!
[メメ:久しぶり! 前回の配信を見逃して丸一日鬱だったよ……]
[ワカメ:配信告知できて偉い!]
常連さんからのコメントだ。やっぱりやるべきことをするというのは、凄く大事なんだと実感する。
「真面目にVTuberをやろうと思ってね。これからは事前に告知するから、これからは見逃さずに済むと思うよ」
返事をするとコメントが連投される。
[メメ:やったー! 絶対にリアルタイムで見る!]
[メメ:アーカイブって悪くはないけど、子宮に響いてこないんだよね]
[メメ:何でも生が良いよ! ナマが!]
相変わらずメメさんは絶好調だ。
[ワカメ:わかるー! ナマ最高だよね! 感触が段違いに違う!]
[メメ:そうなんだ!? 経験豊富なの!?]
[ワカメ:ビールの喉ごしの話だよ。メメちゃんは何を勘違いしたのかな~!]
普段のワカメさんは積極的に下ネタをすることはない。珍しいな。お酒でも飲んでいそうだ。
[キラキラJD:こんにちは]
このタイミングで最後の常連がやってきた。メメさんを中心に下ネタで盛り上がりそうだ。
もうちょっと有名なVTuberになってリスナーを増やして人気になりたいと思っているので、このまま身内トークが続いてしまうと少しだけ困る。とはいえ理由を言わずに、なれ合いは止めてくれてとお願いしても反感を買ってしまい、常連を止めてしまうことも考えられる。
コメントを見ながら様子を伺おう。
[ワカメ:おひさー。元気だった?]
[キラキラJD:もちろん! 聖夜くんも元気にしてた?]
「うん。元気だよ! この前は配信に付き合ってくれてありがとう」
[キラキラJD:いえいえ!]
[ワカメ:意味深な発言っ! 二人っきりでナニをしてたの!?]
[キラキラJD:えー、それって良いのかな? 聖夜くん]
話題を振られてしまったのであれば答えなければ。
「いいよ。しばらく配信できないよって言っただけだからね」
[キラキラJD:えー。もうネタばらし?]
「長く引っ張る話題じゃないでしょ。それよりさ――」
軌道修正するために最近はまっている漫画の話題をしつつ、次の配信でゲーム実況をしたいと伝えると、常連だけじゃなく普段コメントしないリスナーからも新しいチャレンジを歓迎するコメントが書き込まれた。
有名になりたいと言っても賛同してくれる。
みんな俺の声を目的にきていただけで、実は雑談に飽きていたのかもしれない。今のスタイルを数年続けていたら徐々に離れていったかも。
そう思ったら人気者になろうとしている俺の判断は間違いじゃなかったのだ。
問題は、どうすればリスナーが増えるのかわからないことにある。
身内ネタの配信は良くないし、初見リスナーも楽しめる雰囲気や内容にしないといけないのは知っているけど、そもそも新規の人たちに知り合う機会を作れないのだ。
そういった悩みを打ち明けると、リスナーがヒントをくれる。
[ワカメ:人気のゲームタイトルやコラボ配信をするのもいいと思う。あとはショート動画だけど、あれは登録数が増えるだけで同接は増えないんだよねぇ~]
意外なことにワカメさんは詳しかったようだ。教えてもらったことはメモしていく。
「そうなんだ! ゲームはやるとしてコラボだな~。知り合いのVTuberはいないから、すぐに実現するのは難し。まずは友達作りだね」
結局の所、リアルもバーチャルも変わらない。人間関係を構築しなければ、圧倒的な才能を持っていない凡人は生きていけないのだ。
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