人生が一番輝いた瞬間。それがオリンピックだ！ （BL風味の小説編）

１部 高瀬編

水泳（１）

「速いっ！速い、速い。頭一個分突き放した高瀬選手、余裕に最後のターンを、今、蹴りましたっ」
　「他の選手は軒並み彼を追っていますっ」

　「ラストを掛けたのか、一斉に横並びになった５人は追いかけていきます。１位は高瀬選手ですが、２位と３位は誰でしょうかね」
　「あ、ご覧くださいっ！２位との距離１ｍあけての高瀬選手、堂々の１位です！」

　「続きまして、２位は２人が同着、そして３位も２人が同着です！」

　「今回、とても素晴らしい泳ぎを見せてくれました皆さんに拍手を送りたいです」
　「うんうん、私もそう思います」

　「次は記者会見ですね」
　「楽しみですねえ」

　「ご覧になってください」
　「おお、メダル掛けですね」

盛大な拍手が沸き起こる。
タイミングを見計らったように、プール場に女性の声でアナウンスが入る。
　「それでは、５名の皆様、会見場にお越し下さい」

ゴーグル、スイムキャップも外した体格の良い５人の男はバスタオルを肩に羽織ったり、首周りに掛けたりすると、各々のコーチと共に会見場へと向かった。
お互いがお互いに声を掛け合う。
　「お疲れ」
　「今度は本戦だな」
　「負けねえぞ」
　「目標は自己更新」
　「それは、結果として日本優勝だな」

だな、と言いながら向かった。