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(60)ねえ、セックスは運動ですか?
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何度もしつこく電話が鳴ってきてるのを無視して、鳴りっぱなしにさせてた。
「博人先生、私は来月には福岡へ帰ります。親にも言ってます。」
「友明の一人ぐらい、養っていけるぞ。」
ん・・・?
「博人先生?」
「なんなら、恋人ではなく婚約者として一緒に暮らそう。」
「なっ…」
もしかして、この人…、婚約者と称してる人から逃げてるのだろうか。
「博人先生、私はその婚約者だと称してる人に言ったことを、貴方にも言います。
私が入院していた病院は、貴方の病院だから入院したわけではない。
救急車のスタッフが手配したのが、貴方の病院だったんです。」
「それは分かってるよ。脳外科のある病院は、ここら一帯は私の病院だけだからな。」
「そうですよ。私は、それも言ったんです。でも、彼女は私に」
「その彼女っていうのは、もしかしてド派手な化粧をして金髪に染めてる奴か?」
思い出そうとして考えてると、もっと続けてくる。
「それでいて、親の威光を盾にして『私は美人よ。私を誰だと思ってるの。』とか言って、鼻持ちならない奴か?」
その言葉で思い出した。
たしかに金髪でド派手な化粧した、鼻持ちならない奴だった。
二言目には「私の言う事が聞けないの?私を誰だと思ってるの?」と言ってきてた。
今までは女性と話しをする機会など無かったので、よく覚えてる。
「そうです。その人です。」
そういうと、「やっぱり…」と、ため息をつきながら言ってくれた言葉に驚いた。
「彼女とは一度、見合いをしたことがある。何年か前の話だ。
その時に、見合いをした。ああ、でも見合いをすっぽかしてお前を抱いたんだっけ。
その夜に見合いをしたんだ。思い出した…」
そういえば、そんなことがあったな。
と、私も思い出した。
たしか、あの時は置いてあった服をマンションに持って行ったが、ひろちゃん本人が、また持って来たんだ。そして言い合いをして…。
見合いがあるから、服が邪魔だとかなんとか言って…。
その時に、抱かれたんだ。
「まあ、今はそれは置いとこう。友明、返事が欲しい。」
え、置いとくの…?
まあ、いいけど。
「えっと…」
苦笑しながら、何か言おうとしたんだけど何を言われたのか忘れてしまった。
その様子で察したのだろう、もう一度言ってきた。
「友明。私と恋人になり、付き合って欲しい。」
即答していた。
「ありがとうございます。でも、私は大学を卒業したばかりで、付き合いというのは出来ないかもしれないです。それに、これから仕事をどうするのか考えないといけないし。」
「それなら、私の所に来ればいい。」
「え、でも新卒は採らないのでしょう?」
「病院は、な。でも、私のマンションに移り住めば…」
「待ってください。それは、もしかして同棲という事ですか?」
「そうだ。」
「エッチし放題…」
思ったことが口に出てしまったのだろう。
ひろちゃんは笑顔になり、あろうことか「まあ、エッチし放題がお好みなら、し放題にしてもいいぞ」と言ってきたのには、思わず焦ってしまった。
「あ、あの…」
クスッと微笑んでくれた顔は魅力的で、見惚れてしまっていた。
「これだけは聞いておきたい。友明は私のことをどう思っている?」
「…好きです。」
「え、聞こえなかった。Wie... once more 」
ドイツ語で言おうとした博人先生は英語に切り替えたが、私はドイツ語で言ってやった。
まだ、ドイツ語の方が英語より言いやすい。
『好きです!好きだから、貴方に抱かれるのが…、触られるのが嬉しかったし、こうやって会って話もしたり、料理も作ったりしてるんです。
誰が、嫌いな人にそんな事をしますかっ!』
博人先生は、その私の言葉に対し、こう言ってきた。
「今の、日本語で言ってくれないか。」
(誰が二度も言うかっ)と思いながら…、そっぽを向いて言い放ってやった。
「嫌です。貴方はドイツ語分かるでしょっ。」
その私の言葉に対し、博人先生は日本語で言ってくれた。
「それなら、私と恋人になって欲しい。」
「博人先生…」
「ん、即答ではないのか?って、また泣いてるしっ…、とっ、とも…」
「私で良いなら…、私を選んでくれるのなら、喜んで。」
「もちろんだよ。」
本当に、色んな表情を見せてくれるねえ。
そう言いながら、ひろちゃんは安心した表情をして、抱きしめてくれた。
今夜は、このまま抱かれたい。
この広い胸に顔を埋めて眠りにつきたい。
シーツを替えないと…と思ったら、お母ちゃんが掃除も洗い物もしてくれた事を思い出した。
「泊まって行きますか?」
「もちろん。」
ひろちゃん、声が嬉しそうに飛び跳ねてるよ。
すると、ひろちゃんが何かをドクターバッグから取り出した。
その何かは、着替え一式。
え・・・。
「急に遠方でのオペが入る時があるからね。その時用の着替えだ。」
と言いながら、バッグの中身を見せてくれた。
「さすが、ボスですね。」
「あ、それ良いね。これからは、スタッフ皆からボスと呼ばせようかな。」
フッと、思わず鼻で笑ってしまった。
「私は、大学在学中は皆からボス呼ばわりされてましたよ。」
「何それ。嫌味か。」
この私に、そんな嫌味を言うのなら…、言わせないように、ハードに抱くからな。
ねえ、忘れてませんか?
私、運動全般にドクターストップ掛かってますよ。
すると、博人先生は断言してきた。
「セックスは運動ではないだろう。コミュニケーションの一つだ。違うか?」
「博人先生、私は来月には福岡へ帰ります。親にも言ってます。」
「友明の一人ぐらい、養っていけるぞ。」
ん・・・?
「博人先生?」
「なんなら、恋人ではなく婚約者として一緒に暮らそう。」
「なっ…」
もしかして、この人…、婚約者と称してる人から逃げてるのだろうか。
「博人先生、私はその婚約者だと称してる人に言ったことを、貴方にも言います。
私が入院していた病院は、貴方の病院だから入院したわけではない。
救急車のスタッフが手配したのが、貴方の病院だったんです。」
「それは分かってるよ。脳外科のある病院は、ここら一帯は私の病院だけだからな。」
「そうですよ。私は、それも言ったんです。でも、彼女は私に」
「その彼女っていうのは、もしかしてド派手な化粧をして金髪に染めてる奴か?」
思い出そうとして考えてると、もっと続けてくる。
「それでいて、親の威光を盾にして『私は美人よ。私を誰だと思ってるの。』とか言って、鼻持ちならない奴か?」
その言葉で思い出した。
たしかに金髪でド派手な化粧した、鼻持ちならない奴だった。
二言目には「私の言う事が聞けないの?私を誰だと思ってるの?」と言ってきてた。
今までは女性と話しをする機会など無かったので、よく覚えてる。
「そうです。その人です。」
そういうと、「やっぱり…」と、ため息をつきながら言ってくれた言葉に驚いた。
「彼女とは一度、見合いをしたことがある。何年か前の話だ。
その時に、見合いをした。ああ、でも見合いをすっぽかしてお前を抱いたんだっけ。
その夜に見合いをしたんだ。思い出した…」
そういえば、そんなことがあったな。
と、私も思い出した。
たしか、あの時は置いてあった服をマンションに持って行ったが、ひろちゃん本人が、また持って来たんだ。そして言い合いをして…。
見合いがあるから、服が邪魔だとかなんとか言って…。
その時に、抱かれたんだ。
「まあ、今はそれは置いとこう。友明、返事が欲しい。」
え、置いとくの…?
まあ、いいけど。
「えっと…」
苦笑しながら、何か言おうとしたんだけど何を言われたのか忘れてしまった。
その様子で察したのだろう、もう一度言ってきた。
「友明。私と恋人になり、付き合って欲しい。」
即答していた。
「ありがとうございます。でも、私は大学を卒業したばかりで、付き合いというのは出来ないかもしれないです。それに、これから仕事をどうするのか考えないといけないし。」
「それなら、私の所に来ればいい。」
「え、でも新卒は採らないのでしょう?」
「病院は、な。でも、私のマンションに移り住めば…」
「待ってください。それは、もしかして同棲という事ですか?」
「そうだ。」
「エッチし放題…」
思ったことが口に出てしまったのだろう。
ひろちゃんは笑顔になり、あろうことか「まあ、エッチし放題がお好みなら、し放題にしてもいいぞ」と言ってきたのには、思わず焦ってしまった。
「あ、あの…」
クスッと微笑んでくれた顔は魅力的で、見惚れてしまっていた。
「これだけは聞いておきたい。友明は私のことをどう思っている?」
「…好きです。」
「え、聞こえなかった。Wie... once more 」
ドイツ語で言おうとした博人先生は英語に切り替えたが、私はドイツ語で言ってやった。
まだ、ドイツ語の方が英語より言いやすい。
『好きです!好きだから、貴方に抱かれるのが…、触られるのが嬉しかったし、こうやって会って話もしたり、料理も作ったりしてるんです。
誰が、嫌いな人にそんな事をしますかっ!』
博人先生は、その私の言葉に対し、こう言ってきた。
「今の、日本語で言ってくれないか。」
(誰が二度も言うかっ)と思いながら…、そっぽを向いて言い放ってやった。
「嫌です。貴方はドイツ語分かるでしょっ。」
その私の言葉に対し、博人先生は日本語で言ってくれた。
「それなら、私と恋人になって欲しい。」
「博人先生…」
「ん、即答ではないのか?って、また泣いてるしっ…、とっ、とも…」
「私で良いなら…、私を選んでくれるのなら、喜んで。」
「もちろんだよ。」
本当に、色んな表情を見せてくれるねえ。
そう言いながら、ひろちゃんは安心した表情をして、抱きしめてくれた。
今夜は、このまま抱かれたい。
この広い胸に顔を埋めて眠りにつきたい。
シーツを替えないと…と思ったら、お母ちゃんが掃除も洗い物もしてくれた事を思い出した。
「泊まって行きますか?」
「もちろん。」
ひろちゃん、声が嬉しそうに飛び跳ねてるよ。
すると、ひろちゃんが何かをドクターバッグから取り出した。
その何かは、着替え一式。
え・・・。
「急に遠方でのオペが入る時があるからね。その時用の着替えだ。」
と言いながら、バッグの中身を見せてくれた。
「さすが、ボスですね。」
「あ、それ良いね。これからは、スタッフ皆からボスと呼ばせようかな。」
フッと、思わず鼻で笑ってしまった。
「私は、大学在学中は皆からボス呼ばわりされてましたよ。」
「何それ。嫌味か。」
この私に、そんな嫌味を言うのなら…、言わせないように、ハードに抱くからな。
ねえ、忘れてませんか?
私、運動全般にドクターストップ掛かってますよ。
すると、博人先生は断言してきた。
「セックスは運動ではないだろう。コミュニケーションの一つだ。違うか?」
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