49 / 64
(49)福山博人Side
しおりを挟むここ最近、私の日課になってる就寝後の巡回。
本当は夜勤当番や看護婦がするのだけど、私もしてる。
友明と会える、唯一の接点だ。
寝顔を見ることだけなんだけど、たまに寝言が聞ける。
この日も、同じように巡回する。
病室に入ると、寝言かと思えるほどの至極小さめの声が断続的に聞こえる。
もしかして、喘いでる?
エッチな夢でも見てるのかな、と思いながらベッドに近づく。
すると、頭を抱えて呻いてるのが見えた。
「とも。友明。大丈夫か、友明?」
「ぅ… っ…」
友明、どうした?
「あっ! つぅっ・・・」
抱きしめてやろうとしたが、抵抗してくる。
「ともっ!友明っ!」
ギュウっと抱きしめてやる。
しばらくすると、抵抗してもがいてた身体から力が抜け、スースーと寝息が聞こえてきた。
もしかして、あの事故の出来事が夢に出てきた?
恐ろしかっただろうに、顔も頭の形も変わってるからな。
久しぶりに友明の体温を感じて、今日の外出はどうだったのだろうかと聞きたくなったが、寝てるから聞けない。
本音を言えば、このままずっと抱いていたい。
だが、仕事中だ。
ベッドに横たわせ、しばらく寝顔を見て様子見していた。
眠気が来そうになり、仕事に戻ろうと踵を返し歩き出すと、何かに引っ張られてる気がするので振り返り見ると、友明の左手が私の白衣の裾を握ってる。
行くな、と言ってるようだ。
思わず微笑んでいた。
「私は仕事中です。友明が手を離してくれないと行けれない。」と言いながら、友明の左手を白衣から離す。
おやすみ友明。
明け方近くになり、再び同じ事が起きたらしい。
その時間は、たまたま寝ていたみたいで分からなかった。
早番の看護婦が巡回に行った時に見かけてコールをし、私は叩き起こされた。
友明の身体から力が抜けてる。
だけど、生きようとする気配が感じられない・・・。
「友明っ!ドイツ料理食べに行くんだろ。合気道の師匠になるんだろう。
せっかく医師免許取って医者になったのに、なってすぐに死んでどうするんだ。」
看護婦に振り向き、怒鳴っていた。
「親にはっ」
「連絡しました。」
10
お気に入りに追加
113
あなたにおすすめの小説
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
病気になって芸能界から消えたアイドル。退院し、復学先の高校には昔の仕事仲間が居たけれど、彼女は俺だと気付かない
月島日向
ライト文芸
俺、日生遼、本名、竹中祐は2年前に病に倒れた。
人気絶頂だった『Cherry’s』のリーダーをやめた。
2年間の闘病生活に一区切りし、久しぶりに高校に通うことになった。けど、誰も俺の事を元アイドルだとは思わない。薬で細くなった手足。そんな細身の体にアンバランスなムーンフェイス(薬の副作用で顔だけが大きくなる事)
。
誰も俺に気付いてはくれない。そう。
2年間、連絡をくれ続け、俺が無視してきた彼女さえも。
もう、全部どうでもよく感じた。
お兄ちゃんはお医者さん!?
すず。
恋愛
持病持ちの高校1年生の女の子。
如月 陽菜(きさらぎ ひな)
病院が苦手。
如月 陽菜の主治医。25歳。
高橋 翔平(たかはし しょうへい)
内科医の医師。
※このお話に出てくるものは
現実とは何の関係もございません。
※治療法、病名など
ほぼ知識なしで書かせて頂きました。
お楽しみください♪♪
お兄ちゃんはお兄ちゃんだけど、お兄ちゃんなのにお兄ちゃんじゃない!?
すずなり。
恋愛
幼いころ、母に施設に預けられた鈴(すず)。
お母さん「病気を治して迎えにくるから待ってて?」
その母は・・迎えにくることは無かった。
代わりに迎えに来た『父』と『兄』。
私の引き取り先は『本当の家』だった。
お父さん「鈴の家だよ?」
鈴「私・・一緒に暮らしていいんでしょうか・・。」
新しい家で始まる生活。
でも私は・・・お母さんの病気の遺伝子を受け継いでる・・・。
鈴「うぁ・・・・。」
兄「鈴!?」
倒れることが多くなっていく日々・・・。
そんな中でも『恋』は私の都合なんて考えてくれない。
『もう・・妹にみれない・・・。』
『お兄ちゃん・・・。』
「お前のこと、施設にいたころから好きだった・・・!」
「ーーーーっ!」
※本編には病名や治療法、薬などいろいろ出てきますが、全て想像の世界のお話です。現実世界とは一切関係ありません。
※コメントや感想などは受け付けることはできません。メンタルが薄氷なもので・・・すみません。
※孤児、脱字などチェックはしてますが漏れもあります。ご容赦ください。
※表現不足なども重々承知しております。日々精進してまいりますので温かく見ていただけたら幸いです。(それはもう『へぇー・・』ぐらいに。)
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる