33 / 64
(33)
しおりを挟む
「……てい」
「ん?」
「削除決定」
「え、なんで?」とiPhoneをひったくられたが…。
フンッだ、いつまでも昔の思い出に浸るなよな。
そう思った私は、ひろちゃんに爆弾落としてやる。
「言っとくが、その女は現実には居ない人間だ。いつまでも昔に浸るな。」
削除するんだから、貸せ。
「イヤだ。どうしてそう言う?お前に何が分かるっ!」
「それなら言ってやるっ!
そいつは、2年前の夏、ドイツで開催されたフェスに行ってた。
それで、隣にいる医学オタクにセクハラされてたんだ。
その証拠に、そいつは鼻の下伸ばしてるだろ。
それに私は医学だけど、教養では声楽を取ってはドイツに、そこに行ってたんだ。
だから分かるんだ。」
ひろちゃんは何も言わずiPhoneと私とを交互に見ていた。
なので、続いて爆弾落とす。
「おたく、その医学オタクと知り合いなんだろ。
マルクなんとかと。」
「なんとかではなく、マルク=ボルディーヌだ。」
「そのマルクから何も聞いてないのか?
1人の人間について。医学部だけど、声楽で歌ってる人のこと。なにしろ医療の事についてはドイツ語で専門用語の話しができた。ってことを。」
「・・・・・・・」
なにやら思い出してる様子だ。
iPhoneをひったくり、その拡大した写真を私の顔の隣に持っていき、その状態で次の言葉を言い放つ。
「よーく見て、なにか分からない?」
写真と同じ笑顔になってみせる。
写真と私とを見比べている、ひろちゃんの真剣な顔つきに目つき。
……。
暫らくたって、ようやく声が聞こえてきた。
「まさかっ・・・」
ひろちゃんは、小声で零した。
驚愕した表情を見た。
「だから、この写真は削除するの。お分かり?」
素直に頷いてくれる。
ん、聞き分けのいい人だね。
素直な人って好きよ。
すると、とんでもないことを言ってきた。
「でも、これは持っておく。」
iPhoneは、すでにひろちゃんの手の中にあった。
「なっ…」
「だって、そうだろ。」
「なにが?」
「女装すると、こんな美女になるんだ。とっておきな、貴重な一枚だ。」
そのiPhoneに…、写真にキスをしては嬉しそうな顔をする。
てことで、この写真には鍵を掛けておこう。
ホクホクとしながら、それこそとっておきな至福の表情で。
しかし、分からないもんだな。
手に入らないと思っていた女性が、実は女装した男だったとは。
しかも、その男が側にいるんだからな。
世間は狭いというが、ほんとに狭いんだな。
ブツブツと言ってるひろちゃんを隣に感じながら、私は違う意味で悔しくなってきた。
布団を頭までスッポリと被ったが、隣に誰かがいると泣けない。
リビングで酒でも呑むか、それともピアノでも弾くか。
でも、弾こうという気が起きないので、やっぱり酒を呑むことにする。
持ってきてくれた日本酒は呑む気がおきず、自分のを呑む。
ソファに寝転んではクローゼットから持ってきた声楽アルバムを開き眺めてた。
段々と気持ちが落ち着いてきた。
明日、起きたら謝らないとな。
一時の感情で気分を害させてしまい、あんな表情をさせてしまった。
させる気なんて、無かったのに。
ごめんなさい…。
「ん?」
「削除決定」
「え、なんで?」とiPhoneをひったくられたが…。
フンッだ、いつまでも昔の思い出に浸るなよな。
そう思った私は、ひろちゃんに爆弾落としてやる。
「言っとくが、その女は現実には居ない人間だ。いつまでも昔に浸るな。」
削除するんだから、貸せ。
「イヤだ。どうしてそう言う?お前に何が分かるっ!」
「それなら言ってやるっ!
そいつは、2年前の夏、ドイツで開催されたフェスに行ってた。
それで、隣にいる医学オタクにセクハラされてたんだ。
その証拠に、そいつは鼻の下伸ばしてるだろ。
それに私は医学だけど、教養では声楽を取ってはドイツに、そこに行ってたんだ。
だから分かるんだ。」
ひろちゃんは何も言わずiPhoneと私とを交互に見ていた。
なので、続いて爆弾落とす。
「おたく、その医学オタクと知り合いなんだろ。
マルクなんとかと。」
「なんとかではなく、マルク=ボルディーヌだ。」
「そのマルクから何も聞いてないのか?
1人の人間について。医学部だけど、声楽で歌ってる人のこと。なにしろ医療の事についてはドイツ語で専門用語の話しができた。ってことを。」
「・・・・・・・」
なにやら思い出してる様子だ。
iPhoneをひったくり、その拡大した写真を私の顔の隣に持っていき、その状態で次の言葉を言い放つ。
「よーく見て、なにか分からない?」
写真と同じ笑顔になってみせる。
写真と私とを見比べている、ひろちゃんの真剣な顔つきに目つき。
……。
暫らくたって、ようやく声が聞こえてきた。
「まさかっ・・・」
ひろちゃんは、小声で零した。
驚愕した表情を見た。
「だから、この写真は削除するの。お分かり?」
素直に頷いてくれる。
ん、聞き分けのいい人だね。
素直な人って好きよ。
すると、とんでもないことを言ってきた。
「でも、これは持っておく。」
iPhoneは、すでにひろちゃんの手の中にあった。
「なっ…」
「だって、そうだろ。」
「なにが?」
「女装すると、こんな美女になるんだ。とっておきな、貴重な一枚だ。」
そのiPhoneに…、写真にキスをしては嬉しそうな顔をする。
てことで、この写真には鍵を掛けておこう。
ホクホクとしながら、それこそとっておきな至福の表情で。
しかし、分からないもんだな。
手に入らないと思っていた女性が、実は女装した男だったとは。
しかも、その男が側にいるんだからな。
世間は狭いというが、ほんとに狭いんだな。
ブツブツと言ってるひろちゃんを隣に感じながら、私は違う意味で悔しくなってきた。
布団を頭までスッポリと被ったが、隣に誰かがいると泣けない。
リビングで酒でも呑むか、それともピアノでも弾くか。
でも、弾こうという気が起きないので、やっぱり酒を呑むことにする。
持ってきてくれた日本酒は呑む気がおきず、自分のを呑む。
ソファに寝転んではクローゼットから持ってきた声楽アルバムを開き眺めてた。
段々と気持ちが落ち着いてきた。
明日、起きたら謝らないとな。
一時の感情で気分を害させてしまい、あんな表情をさせてしまった。
させる気なんて、無かったのに。
ごめんなさい…。
10
お気に入りに追加
113
あなたにおすすめの小説
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
お兄ちゃんはお兄ちゃんだけど、お兄ちゃんなのにお兄ちゃんじゃない!?
すずなり。
恋愛
幼いころ、母に施設に預けられた鈴(すず)。
お母さん「病気を治して迎えにくるから待ってて?」
その母は・・迎えにくることは無かった。
代わりに迎えに来た『父』と『兄』。
私の引き取り先は『本当の家』だった。
お父さん「鈴の家だよ?」
鈴「私・・一緒に暮らしていいんでしょうか・・。」
新しい家で始まる生活。
でも私は・・・お母さんの病気の遺伝子を受け継いでる・・・。
鈴「うぁ・・・・。」
兄「鈴!?」
倒れることが多くなっていく日々・・・。
そんな中でも『恋』は私の都合なんて考えてくれない。
『もう・・妹にみれない・・・。』
『お兄ちゃん・・・。』
「お前のこと、施設にいたころから好きだった・・・!」
「ーーーーっ!」
※本編には病名や治療法、薬などいろいろ出てきますが、全て想像の世界のお話です。現実世界とは一切関係ありません。
※コメントや感想などは受け付けることはできません。メンタルが薄氷なもので・・・すみません。
※孤児、脱字などチェックはしてますが漏れもあります。ご容赦ください。
※表現不足なども重々承知しております。日々精進してまいりますので温かく見ていただけたら幸いです。(それはもう『へぇー・・』ぐらいに。)
病気になって芸能界から消えたアイドル。退院し、復学先の高校には昔の仕事仲間が居たけれど、彼女は俺だと気付かない
月島日向
ライト文芸
俺、日生遼、本名、竹中祐は2年前に病に倒れた。
人気絶頂だった『Cherry’s』のリーダーをやめた。
2年間の闘病生活に一区切りし、久しぶりに高校に通うことになった。けど、誰も俺の事を元アイドルだとは思わない。薬で細くなった手足。そんな細身の体にアンバランスなムーンフェイス(薬の副作用で顔だけが大きくなる事)
。
誰も俺に気付いてはくれない。そう。
2年間、連絡をくれ続け、俺が無視してきた彼女さえも。
もう、全部どうでもよく感じた。
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
好きだった幼馴染に出会ったらイケメンドクターだった!?
すず。
恋愛
体調を崩してしまった私
社会人 26歳 佐藤鈴音(すずね)
診察室にいた医師は2つ年上の
幼馴染だった!?
診察室に居た医師(鈴音と幼馴染)
内科医 28歳 桐生慶太(けいた)
※お話に出てくるものは全て空想です
現実世界とは何も関係ないです
※治療法、病気知識ほぼなく書かせて頂きます
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる