俺様ボスと私の恋物語

福山ともゑ

文字の大きさ
上 下
11 / 64

(11)

しおりを挟む
あれから数日後。
今田さんが大学に来た。
もちろん、ボロボロにさせられたのだから腹は立つだろう。
いつの間にか大学を突き止めていたのには驚いた。


私は、来週開催される『卒業生による、実演会』の打ち合わせで、ホールに居たので、呼び出しのアナウンスに気がつかなかった。
スマホに何か連絡が入り、相手がサトルなので出たら、客が来てるとのこと。
言い渋っていたから、何かヤバイことなのだろうな、と予測はついた。


事務室に向かうと、喚き声が聞こえてくる。
その声で、相手が誰なのか分かった私は、頭を抱え込んでいた。
今、非常に会いたくない人物だった。
でも、あの様子だと穏便な話し合いには…、無理だろうな。


コンコンっと、ノックをしてドアを開ける。

 「失礼します。お呼びでしょうか?」

 「ボス… いや、福山君。
彼が君に会いたい。会わせるまで、絶対にここから動かない。等と言ってね…」


 「はいはい、俺には友がいれば、それだけでいいの。
他の皆さんは、戻っていいですよ。」
と、今田さんは仕切ってくれる。
が、事務員は動かない。
皆のいる部屋で、私は切り出した。
 「どの様なご用件でしょうか?」

 「…なんで、他のヤツらの居る時に言うかね。」

 「事務員の方にとっては、この事務室は仕事場です。」

 「ま、いいか。 なら、一緒に来てもらおう。」

 「あの…」
と、言いかけた時、今田さんは動いた。
ナイフ?

 「大人しく言う事を聞いてもらう。でないと、どうなるか…。
分かるだろ?」

私は黙っていた。
すると、今田さんは続けてくれる。
 「急に店から居なくなり、探してたんだぞ。そしたら、店長はバイトを減らしてるって言うし…。
そうしてたら、バイト辞めてるし。
俺には、なんにも言ってくれず…。
なあ、どうして?」

 「あなたには関係ないことです。」

 「いや、大いに関係あるよ。
俺、友が好きなんだから。
だから、あの店に行ってたんだよ。」
分かってる筈だ、それぐらい…。
俺は、友にアピールしてただろ。
ナイフをヒラつかせながら、言ってくる。


マサとカズキの気配がするのが分かる。ああ、サトルに言われたのか。
事を荒立てたくないし、打ち合わせの時間が差し迫ってる。
 「私は、今は忙しいのです。
ここではなく、改めてどこかでお話しできませんか?」

 「ふんっ。
そうやって、俺から逃げようとしてるのだろ。
逃がさんぞっ!お前は俺のモノだ!」
そう言いながら、ナイフを突き出してきた。

私が避けると、マサとカズキが瞬時に入ってきては阻止する。

 「現行犯で逮捕だな。」と、マサだ。
 「そうだな。事務員、警察を。」と、カズキだ。
 「ストーキングしたり、大学まで来てはナイフをチラつかせたり…、忙しいヤツだな。」と、マサが呟くと同時に、今田さんは再度動いた。

マサに向かって蹴りを入れようとしてる。
それに気がついたのか、マサは寸でのところで避ける。
 「備品、壊さないでくださいね」と、事務員から言われる始末だ。

すると、何を思ったか今田さんは、事務員に向かってナイフを投げた。
マサとカズキが反応した。
バカ、2人とも動いてどうする。
でも、マサはカズキに任せた。その一瞬に起きた。

今田さんは、さっきのナイフより大きなナイフを持っていて、私に向かってくる。
ああ、これは包丁だな。
今度は大きな手が、それを阻む。
この気配は誰だ? 
 「今田?そんな物を振り回して何をやってるんだ?」

 「博人?お前こそ、何でここに居るんだ?」

 「私は、打ち合わせに来ただけだ。事務室から怪しい気配を感じたからな。」


え… 
なんで、ひろちゃんが居るんだ…。


しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

小さなことから〜露出〜えみ〜

サイコロ
恋愛
私の露出… 毎日更新していこうと思います よろしくおねがいします 感想等お待ちしております 取り入れて欲しい内容なども 書いてくださいね よりみなさんにお近く 考えやすく

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

お兄ちゃんはお兄ちゃんだけど、お兄ちゃんなのにお兄ちゃんじゃない!?

すずなり。
恋愛
幼いころ、母に施設に預けられた鈴(すず)。 お母さん「病気を治して迎えにくるから待ってて?」 その母は・・迎えにくることは無かった。 代わりに迎えに来た『父』と『兄』。 私の引き取り先は『本当の家』だった。 お父さん「鈴の家だよ?」 鈴「私・・一緒に暮らしていいんでしょうか・・。」 新しい家で始まる生活。 でも私は・・・お母さんの病気の遺伝子を受け継いでる・・・。 鈴「うぁ・・・・。」 兄「鈴!?」 倒れることが多くなっていく日々・・・。 そんな中でも『恋』は私の都合なんて考えてくれない。 『もう・・妹にみれない・・・。』 『お兄ちゃん・・・。』 「お前のこと、施設にいたころから好きだった・・・!」 「ーーーーっ!」 ※本編には病名や治療法、薬などいろいろ出てきますが、全て想像の世界のお話です。現実世界とは一切関係ありません。 ※コメントや感想などは受け付けることはできません。メンタルが薄氷なもので・・・すみません。 ※孤児、脱字などチェックはしてますが漏れもあります。ご容赦ください。 ※表現不足なども重々承知しております。日々精進してまいりますので温かく見ていただけたら幸いです。(それはもう『へぇー・・』ぐらいに。)

極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~

恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」 そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。 私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。 葵は私のことを本当はどう思ってるの? 私は葵のことをどう思ってるの? 意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。 こうなったら確かめなくちゃ! 葵の気持ちも、自分の気持ちも! だけど甘い誘惑が多すぎて―― ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。

イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?

すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。 翔馬「俺、チャーハン。」 宏斗「俺もー。」 航平「俺、から揚げつけてー。」 優弥「俺はスープ付き。」 みんなガタイがよく、男前。 ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」 慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。 終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。 ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」 保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。 私は子供と一緒に・・・暮らしてる。 ーーーーーーーーーーーーーーーー 翔馬「おいおい嘘だろ?」 宏斗「子供・・・いたんだ・・。」 航平「いくつん時の子だよ・・・・。」 優弥「マジか・・・。」 消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。 太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。 「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」 「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」 ※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。 ※感想やコメントは受け付けることができません。 メンタルが薄氷なもので・・・すみません。 言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。 楽しんでいただけたら嬉しく思います。

イケメン社長と私が結婚!?初めての『気持ちイイ』を体に教え込まれる!?

すずなり。
恋愛
ある日、彼氏が自分の住んでるアパートを引き払い、勝手に『同棲』を求めてきた。 「お前が働いてるんだから俺は家にいる。」 家事をするわけでもなく、食費をくれるわけでもなく・・・デートもしない。 「私は母親じゃない・・・!」 そう言って家を飛び出した。 夜遅く、何も持たず、靴も履かず・・・一人で泣きながら歩いてるとこを保護してくれた一人の人。 「何があった?送ってく。」 それはいつも仕事場のカフェに来てくれる常連さんだった。 「俺と・・・結婚してほしい。」 「!?」 突然の結婚の申し込み。彼のことは何も知らなかったけど・・・惹かれるのに時間はかからない。 かっこよくて・・優しくて・・・紳士な彼は私を心から愛してくれる。 そんな彼に、私は想いを返したい。 「俺に・・・全てを見せて。」 苦手意識の強かった『営み』。 彼の手によって私の感じ方が変わっていく・・・。 「いあぁぁぁっ・・!!」 「感じやすいんだな・・・。」 ※お話は全て想像の世界のものです。現実世界とはなんら関係ありません。 ※お話の中に出てくる病気、治療法などは想像のものとしてご覧ください。 ※誤字脱字、表現不足は重々承知しております。日々精進してまいりますので温かく見ていただけると嬉しいです。 ※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・すみません。 それではお楽しみください。すずなり。

お兄ちゃんはお医者さん!?

すず。
恋愛
持病持ちの高校1年生の女の子。 如月 陽菜(きさらぎ ひな) 病院が苦手。 如月 陽菜の主治医。25歳。 高橋 翔平(たかはし しょうへい) 内科医の医師。 ※このお話に出てくるものは 現実とは何の関係もございません。 ※治療法、病名など ほぼ知識なしで書かせて頂きました。 お楽しみください♪♪

4人の王子に囲まれて

*YUA*
恋愛
シングルマザーで育った貧乏で平凡な女子高生の結衣は、母の再婚がきっかけとなり4人の義兄ができる。 4人の兄たちは結衣が気に食わず意地悪ばかりし、追い出そうとするが、段々と結衣の魅力に惹かれていって…… 4人のイケメン義兄と1人の妹の共同生活を描いたストーリー! 鈴木結衣(Yui Suzuki) 高1 156cm 39kg シングルマザーで育った貧乏で平凡な女子高生。 母の再婚によって4人の義兄ができる。 矢神 琉生(Ryusei yagami) 26歳 178cm 結衣の義兄の長男。 面倒見がよく優しい。 近くのクリニックの先生をしている。 矢神 秀(Shu yagami) 24歳 172cm 結衣の義兄の次男。 優しくて結衣の1番の頼れるお義兄さん。 結衣と大雅が通うS高の数学教師。 矢神 瑛斗(Eito yagami) 22歳 177cm 結衣の義兄の三男。 優しいけどちょっぴりSな一面も!? 今大人気若手俳優のエイトの顔を持つ。 矢神 大雅(Taiga yagami) 高3 182cm 結衣の義兄の四男。 学校からも目をつけられているヤンキー。 結衣と同じ高校に通うモテモテの先輩でもある。 *注 医療の知識等はございません。    ご了承くださいませ。

処理中です...