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パーティー会場の食事

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別室では、クリニックのシェフだけではなく、ドイツからオーストラリアに帰郷してきたシェフも混じって作っていたせいか、豪勢なメニューが勢ぞろいしている。

日本料理、中華、イタリア料理、ドイツ料理。
デザートも豊富だ。

日本料理のブースでは、天ぷらに寿司が並び、そして飾り模様を刺したキュウリだ。
天ぷらは、ドンであるトモが揚げた。だが、刺身のネタ捌きは博人だった。
人前で披露するのが苦手な博人なのだが、この時は違っていた。
自分から言い出してきたのだ。
理由は、これだった。
 「食べ飲みして楽しむのも良いが、お爺様が居るからな」と。
未だに、16年前の事を根に持っているみたいだ。
でも、自分の後にあるテーブルには、各々のブースからチョイスしてきたメニューが置いてある。
自分の食い分は、しっかりとキープする。
ちゃっかりしている博人だった。

すると、声が掛かってきた。
 「こんな珍しいのを見るとは思ってもなかったな……」
声のした方に目を向ける。、
 「げっ……。お爺様?」
呟きが声になっていた。
 「キュウリ2つと、ツナを二貫もらおう」
 「はい」

 「ほう、良い捌き方だな。……うん、このツナ旨いな」
キュウリ一つに飾り模様を刺していた博人は、残りの一つには模様ではなく文字にした。
その場で食べようとしていた『御』は、飾り模様に目を瞠り、文字を見ると優しく微笑んだ。
 「お前も、達者でやれよ」
そう言い残して、違うブースに移って行った。

『御』のお供として一緒に来ていたフランツは、キュウリを持ったままなので声を掛けた。
 「食べられないのですか?」
 「これは、博人が刺したんだ。フランツ、見るかい?」

フランツは、『御』の掌に並んでいるキュウリ2つを見た。
1つには、バイオリンの模様が。
もう1つには、文字だった。
 『フランツと、いつまでも元気で』と。

フランツは嬉しそうに言ってきた。
 「良かったですね。ヒロト様は、元々お優しい方なので和解は近いですね。今は反抗期かもしれませんね」
 「ふふっ……。反抗期、大いに結構。これは食べずに持っとくよ」
 「それなら、何かで包みます。袋でも貰ってきますね。それと、もう一つ。よろしいですか?」
 「なんだ?」
 「今回の原因は、『御』にあるのですからね。騙し討ちの様にして、ヒロト様をドイツに来させた。それが元なのですから。だからヒロト様が怒られるのは当然の事です。ご自分でも、しっかりと自覚なさって下さいね」

フランツは、痛い所をツイてきた。



あれだけ量のあった料理が2時間も経てば、完全に底をついた。
そして、第二陣のデザートが並んだ。
デザートに目を輝かせたのは言うまでもない、女性陣だ。

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