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ついに自覚したのか?
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ふいに、お母ちゃんの歌詞が頭の中に出てきた。
『これから始まる物語 今までの事忘れよう
辛い事も 苦しい事も 嬉しい事も、全部
忘れられない事もある
それは 時間(とき)と いうものしか 無いんだ
ゴロゴロしろよ
泣いても良いんだ
布団に潜って ふて寝すればいい
それは 生きている証拠さ
喜びと不安を 胸に秘めて 私達は旅立ちます
色んな事をしていき
そして 強くなっていきたい
いつの日か 自分を好きになれるように
今日から また 踏み出します 』
そうだね。
忘れられない事には、時間しかないよね。
その時、友明は分かった。
『いつの日か 自分を好きになれるように
今日から また 踏み出します 』
この部分は、そのままを考える事では無い。
好きになるという事は、自分の事を心ごと受け止めるという事だ。
過去も含めて……。
だから9年間苦しんできた分、あと9年間は受け止めるのに必要な期間だという事か。
何故、オーストラリアだったのか。
それも分かった。
居心地が良い、と言ってた。
だからオーストラリアだったんだ。
お母ちゃんは克服なんて出来てない。
一緒に付いて来た時は睨みはしたけれど、文句は言ってこなかった。
お母ちゃんは1ヶ月半という期間だったけれど、パースに居る間は1人での時間だった。
本来の自分で居られる為の時間だったんだ。
東京に住んでいた時はどうだったのだろう。
福岡に移ってからは、お父ちゃんは1年のほとんどを東京で過ごしていた。
だけど福岡では子ども3人が居て、うっとおしかったのだろうか。
自分の血を引いてない子どもが3人だからな。
お母ちゃんのことだ。
完全に一人になりたかったんだな。
誰も気軽に来たがることのない所に行きたかったか。
だからこその、オーストラリアだったんだ。
お母ちゃんのバカ。
時間が掛かれば掛かるほど、独りぼっちだという思いがあったのだろう。
だから誰も知らない所に行って、1人になっていたんだな。
少しだけど、涙が出た。
お母ちゃん。
私や優人は知ってたんだよ。
香織は知らないと思うけれど、言う気もないから安心して。
生みの母親なんて知らないし必要ない。
私の母親は、昔も現在も、これからも、お母ちゃんだけだよ。
康介。
来世で会う時があれば、その時も、私の親友になって欲しい。
私は、もう大丈夫だよ。
博人さんを、力いっぱいに押しのけてやる。
「重いっ!」
だけど動かないので、なんとか位置を変えようとした。
苦心の末、やっと動いた。
ゴロンッ。
今度は、私が博人さんの腹の上に乗っかる番だ。
布団を首元まで引き上げると、博人さんの身体と布団に挟まれて眠りについた。
「お母ちゃん、大好きだよ。私は、昔も現在も、これからもマザコンではないからな!」
と、強く強く念じていた友明でした。
『これから始まる物語 今までの事忘れよう
辛い事も 苦しい事も 嬉しい事も、全部
忘れられない事もある
それは 時間(とき)と いうものしか 無いんだ
ゴロゴロしろよ
泣いても良いんだ
布団に潜って ふて寝すればいい
それは 生きている証拠さ
喜びと不安を 胸に秘めて 私達は旅立ちます
色んな事をしていき
そして 強くなっていきたい
いつの日か 自分を好きになれるように
今日から また 踏み出します 』
そうだね。
忘れられない事には、時間しかないよね。
その時、友明は分かった。
『いつの日か 自分を好きになれるように
今日から また 踏み出します 』
この部分は、そのままを考える事では無い。
好きになるという事は、自分の事を心ごと受け止めるという事だ。
過去も含めて……。
だから9年間苦しんできた分、あと9年間は受け止めるのに必要な期間だという事か。
何故、オーストラリアだったのか。
それも分かった。
居心地が良い、と言ってた。
だからオーストラリアだったんだ。
お母ちゃんは克服なんて出来てない。
一緒に付いて来た時は睨みはしたけれど、文句は言ってこなかった。
お母ちゃんは1ヶ月半という期間だったけれど、パースに居る間は1人での時間だった。
本来の自分で居られる為の時間だったんだ。
東京に住んでいた時はどうだったのだろう。
福岡に移ってからは、お父ちゃんは1年のほとんどを東京で過ごしていた。
だけど福岡では子ども3人が居て、うっとおしかったのだろうか。
自分の血を引いてない子どもが3人だからな。
お母ちゃんのことだ。
完全に一人になりたかったんだな。
誰も気軽に来たがることのない所に行きたかったか。
だからこその、オーストラリアだったんだ。
お母ちゃんのバカ。
時間が掛かれば掛かるほど、独りぼっちだという思いがあったのだろう。
だから誰も知らない所に行って、1人になっていたんだな。
少しだけど、涙が出た。
お母ちゃん。
私や優人は知ってたんだよ。
香織は知らないと思うけれど、言う気もないから安心して。
生みの母親なんて知らないし必要ない。
私の母親は、昔も現在も、これからも、お母ちゃんだけだよ。
康介。
来世で会う時があれば、その時も、私の親友になって欲しい。
私は、もう大丈夫だよ。
博人さんを、力いっぱいに押しのけてやる。
「重いっ!」
だけど動かないので、なんとか位置を変えようとした。
苦心の末、やっと動いた。
ゴロンッ。
今度は、私が博人さんの腹の上に乗っかる番だ。
布団を首元まで引き上げると、博人さんの身体と布団に挟まれて眠りについた。
「お母ちゃん、大好きだよ。私は、昔も現在も、これからもマザコンではないからな!」
と、強く強く念じていた友明でした。
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