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イライラする

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タカは、1人でマルクと対峙していた。
ワルサーを持つタカの手に、マルクは視線を向ける。
震えない、まっすぐに自分を狙っている。

しばらく無言のまま、時間は過ぎていく。

そのワルサーと、この男、どこかで見覚えがある。
どこだったか。

そうしてると、コクピットの方でブザーが鳴ってるのが漏れ聞こえてきた。
そろそろか。

まあ、どっちみちネズミは始末してやる。
あのクリニックボスも、用無しになったら始末しよう。
理由なんて、いくらでも付けれる。
貴様ら三匹とも、邪魔だ。
目障りだ。


それに、どこに隠れていたのか、もう一匹のネズミが動き出した。
私の目の前で、耳打ちをしている。
ムカつく。

そう思っていたら、マルクは撃った。

ドンッ!

パリンッ。

2人が避けてくれたせいで、何かが割れた音がする。
 「ほう。よく避けたな」
しかも、そのネズミはエサとして捕まえたクリニックボスを抱きかかえている。

 「ぅ、っ……」

 「貴様っ、そいつを離せ!」
 「はっ、誰が離すもんか。せっかく穏便に事を済まそうと思ってたのに……」
 「泥棒ネズミが」
ゴリッ、と当たってくる。
タカが、自分のワルサーの銃尻でマルクの頭部を叩いたのだが、少ししか当たらなかった。
 「どっちが泥棒だ?ボスに手を出し、拉致したのは誰だ?」
マルクはタカを睨んだ。
 「貴様っ。よくも、この私に」

ドンッ、ドンッ!!

 「ぁ、ぁ…… 」

マルクが撃つ度に、何かが割れる音がする。
パリーン、パリンッ……。

 「ぅ、ふ……、っ」

マルクは自分のジェットの装飾品が壊れるよりも、目の前に居るネズミが二匹とも避けるのでイラついている。
 「このネズミ共が。クタバレッ!」

そう言うと、ワルサーを捨て、散弾の方を手にした。

ババババババッ!!

タカもそうだが、ユウマも伏せた。
ユウマの身体が自分に覆い被さってきたトモは、一瞬だが、呻き声を止めた。
 「っ、ぅ……」
だが、数瞬後には叫んでいた。

クリニック・ボスからユウマを引き剥がそうとマルクは近寄っていた。
そして、トモをユウマから引き離し、自分の手元に抱きかかえた直後だった。

 「ジョーーーーッ!!」

耳に響いた。
自分の耳元で叫ばれたマルクは、蹲った。

タカとユウマも、同じ様に蹲った。
2人とも内心は同じ思いだった。
(ふんっだ、この爺……。ざまあみろ!)と。


ジェットの尾の方から、こっちに来ようとしている人の気配がするのをタカは感じ取った。




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