恋人は副会長

福山ともゑ

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(129)河田研究所で、何故か犯される?

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中間試験が終わった翌日の土曜日、3週間ぶりのバイトだ。
 「おはようございます。」
 「おはよう、弘毅君。」
 「病院出来たんですね。さっき見て、驚きました。」
 「うん。病院でなくて、研究所なんだって。詳しくは分からないけれどね…」
 「そうなんですか?理数系は苦手だから、説明されても理解出来ないからなぁ…」
その時、電話が鳴り優介さんは話し終わると、俺に声を掛けてきた。
 「弘毅君」
 「はい?」
 「隣の研究所に来て欲しいって、言ってるよ。行ってみて。」
 「え…」

とんとん…と、ノックをする。
 「はい、どうぞ」
この声は店長なのかな、と思って入ると、その人は振り返ってきた。
 「店長?」
 「ああ、来たね」
横になって、と言われベッドに横たわった。

弘毅は、思わず言っていた。
 「店長、白衣姿カッコいいですね。」
 「ありがとう」

すると、違う声が聞こえてきた。
 「悟、交代の時間だ」
 「ああ、もう一人やってから替わる。例のをするから」
 「例のって…、おや、松井君」
え、誰なんだ、この人。凄くカッコいい。

そうしてると、ジー…と、スラックスのファスナーを外されてる音がする?
 「て、店長?」
 「数分で終わる」

え、店長…、そこって・・待って。
 「うーん…、中々デカくならないな…」
 「や、やめっ。店長っ!止めて下さいっ」
 「弘毅君。目の前には恋人が居る、と思って。そいつの事だけ考えろ」
 「へ、それって、どうい・・う…。ぅー」

 「松井君。男とは生理現象で起つもんだよ」
 「そんな、、、こ・と・・・」

店長が、俺のを扱いてくる。
 「ふっ、ふ…」
 「うん、もう少しだな」と、店長の声。
 「よし。セッティング完了」と、さっきの男の人の声。

 「あ…、あ… 、あ… 」
何か吸い込まれそうだ。
 「あ、っ…、あああっ!」


 「うー…、なんだったんだ…」
まるでエッチをしたような感覚だ。
店長と、さっきの男の人は2人でなにやらしている。

 「弘毅、お疲れさん」
ベッドに横たわったまま、声を掛けられた方を向くと、健だった。
 「た、健」
 「それ、俺もやられたんだ。DNAとか何とか菌とか言ってるが、俺にはさっぱりさ…」
 「DNAって…。俺は理数系が大の苦手なんだよっ!」

店長が声を掛けてきた。
 「弘毅君、お疲れさん。店に戻って良いよ。」
そう言われ、俺はとっとと店に戻った。
戻ったら、優介さんに言われた。
 「弘毅君。あれって意味のある事なのかどうか、俺には分からない。だけど悪用はしないから、それだけは信じて。」
 「もしかして、優介さんも?」
 「うん。やられた…」


どういう意味なのか分からないが、まあ自分だけではないので良しとしよう。


悟は、毛髪とかではなく精子を使ってのDNA摂取を考えて、それを成功させた豊に敵愾心を剥き出して、自分もと思って取り組んでいた。
そして、そのDNAは自分達10人と同じ様に、データバンクのパスワードに組み込む。
同じゼミを取っていた基典と誠は嬉々として取り組んでいる。


実は、自分たちが所属していたゼミは、担当教授である鮫島教授こと、サメがドイツに戻ったお蔭で無くなってしまっていたのだ。
そして、ここでやっているのだ。
大学側は少しばかり悩んだが、相手が悟と基典で、しかもボスや豊ともリンクしてると聞くと、オーストラリアに連絡をしたのだ。
そこで連絡に出たのは、久しぶりに見る豊とワンの姿だった。
そして、ボスの顔を見ると、感慨深くなり昔話に花を咲かせていたのだ。
その後、オーストラリアともリンクして、大学側は決断した。
どちらにしろ、ゼミや大学院に残る人間が多くなり人件費も莫大に掛かる。
それなら、彼等に任せよう、と。
そして、自分達はコンピュータやセキュリティ関連を悟のセンターに任せて、オーストラリアに居る連中に海外実地をさせてくれるように頼んだのだ。



先程の男が元宮田学園の理事長をしていた人だったのを、弘毅は分からなかった。
ふさふさ髪の宮田理事が学園を辞めた事も、離婚して河田姓に戻った事も、そして、この研究所の所長をしてる事も。
それらが分かったのは、その日のバイト中だった。
理事長は、和菓子を買いに来てくれたからだった。

 「理事長…」
 「研究所を開いてるんだ。所長、と呼んでほしいな」
 「…所長、思い切った事をされましたね」
 「そうかい?私の性に合ってるんだ。」


 
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