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(105)『ブラック』初披露
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副会長が割り込んでくる。
「ほら、どけっ」
「いやだっ」
「お前に弾けるわけないだろ」
「人を信じようとしない奴には弾かせないっ」
「こんな気持ちのままでは弾けないって言ってたのは誰だ?」
高田先輩の呆れ声がマイクを通して聞こえてくる。
「ほらほら、そこのピアノ2人。いい加減にして欲しいね。
弾きながら文句を言いあうなんて…。ったく、余裕だねぇ」
その言葉に笑いが起きる。
俺も、少し笑ってしまった。
そのおかげで、観客席の方を見てしまった。
とたんに、声が。
「キャー!コウキと目が合ったっ!」
「こっち向いた!」
「コウキー!頑張ってー」
「明日行くからっ。お休みしないでねっ!」
うわぁ…、あの連中、来てたのね…。
俺は、呟いていた。
副会長も呟いてくる。
ムカつく…。バイト辞めさせてやるっ…。
(誰が辞めるもんか。あそこでバイトする様になって身体能力も開花されていってるんだ。
バイト料もいいし、楽しいのが一番なんだ。)
そう思い、気付いた。
そうだ、昼間も楽しいと思って、この連中と一緒に演ったんだ。
俺が名付けたんだ『ブラック』って。
そう、今、この場で音を出してるのは昼間、俺と一緒に演ってくれた連中だ。
もう1曲、あれを演らせてもらおう。
仕方ないので、この3曲目は副会長に弾かせる事にして、俺は司会に頼みに行った。
司会は、快く「OK」を出してくれた。
3曲目も終わり、今度は〆の曲になる。
司会がマイクを通し、言ってきた。
「皆様、もう1曲、このメンバーでの演奏をさせて下さい。
『ブラック』としての、初披露の曲です。
それでは、ブラックの皆様、よろしくお願いしますっ!」
オオオォォォー!!
男の太い声が響いてくる。
高田先輩が誰かに聞いてるみたいだ。
「ブラックって何?」
ダダダダッ……と、残りのメンバーが上がってきた。
俺は、ボーカルの賢司さんに声を掛けた。
「賢司さん、よろしくっ」
「オーライッ!皆も、よろしくっ」
「OK!!」
新しいマイクを手渡してもらって、賢司さんは嬉しそうだ。
「文化祭最終日の今日、『ブラック』として発足しました。
その『ブラック』のリーダーは、名付け親でもある、ピアノのコウキ!です。
私、ケンジはボーカルです。
そして、ダンサーもいますよ。皆さん、1曲だけですが、お時間頂戴します。
いくぞっ!」
「 All right ‼ 」
ドラムのソロから始まった、ロックの曲が。
ダンサーとして踊っている3人は楽しそうだ。
誰も、彼らが不良だとは知らない。楽しそうに見て一緒に身体を動かしている。
高田先輩と副会長は睨んでるが、関会長は楽しそうにしている。
向井先輩は驚いてるが、副部長が何かを言ってるようだ。
俺は、この後たっぷりと絞られるだろうな。
賢司さんの声がする。
「聴いていただき、ありがとうございました。」
続けて、司会の声がする。
「それでは、生徒会役員の、あの曲で終わりだー!」
オオオォォォー!!
でも、このタップのイントロは向井先輩ではない。泰之さんだ。
「おら、弘毅、ピアノやれよっ」
「あ、は・はい」
「ギター、掻き鳴らせっ」
ギュギューンッ…。
え、このリフって、凄くカッコいい。
え、副会長、何て言ったの?
高田先輩の声がする。
「なんで…」
「一緒に演りたくて」
宮田の声がした。
高田先輩は、その一言で最高に良い表情になり歌いだした。
俺の背中に突き刺さってくる視線の持ち主は、何を思ってるのだろう。
もちろん、ソロでの歌も歌った…。
楽器での演奏の方はまだ良いのだけど、歌うのは超恥ずかしかったぁ…。
そして、5分後。
〆曲も終わった。
「ほら、どけっ」
「いやだっ」
「お前に弾けるわけないだろ」
「人を信じようとしない奴には弾かせないっ」
「こんな気持ちのままでは弾けないって言ってたのは誰だ?」
高田先輩の呆れ声がマイクを通して聞こえてくる。
「ほらほら、そこのピアノ2人。いい加減にして欲しいね。
弾きながら文句を言いあうなんて…。ったく、余裕だねぇ」
その言葉に笑いが起きる。
俺も、少し笑ってしまった。
そのおかげで、観客席の方を見てしまった。
とたんに、声が。
「キャー!コウキと目が合ったっ!」
「こっち向いた!」
「コウキー!頑張ってー」
「明日行くからっ。お休みしないでねっ!」
うわぁ…、あの連中、来てたのね…。
俺は、呟いていた。
副会長も呟いてくる。
ムカつく…。バイト辞めさせてやるっ…。
(誰が辞めるもんか。あそこでバイトする様になって身体能力も開花されていってるんだ。
バイト料もいいし、楽しいのが一番なんだ。)
そう思い、気付いた。
そうだ、昼間も楽しいと思って、この連中と一緒に演ったんだ。
俺が名付けたんだ『ブラック』って。
そう、今、この場で音を出してるのは昼間、俺と一緒に演ってくれた連中だ。
もう1曲、あれを演らせてもらおう。
仕方ないので、この3曲目は副会長に弾かせる事にして、俺は司会に頼みに行った。
司会は、快く「OK」を出してくれた。
3曲目も終わり、今度は〆の曲になる。
司会がマイクを通し、言ってきた。
「皆様、もう1曲、このメンバーでの演奏をさせて下さい。
『ブラック』としての、初披露の曲です。
それでは、ブラックの皆様、よろしくお願いしますっ!」
オオオォォォー!!
男の太い声が響いてくる。
高田先輩が誰かに聞いてるみたいだ。
「ブラックって何?」
ダダダダッ……と、残りのメンバーが上がってきた。
俺は、ボーカルの賢司さんに声を掛けた。
「賢司さん、よろしくっ」
「オーライッ!皆も、よろしくっ」
「OK!!」
新しいマイクを手渡してもらって、賢司さんは嬉しそうだ。
「文化祭最終日の今日、『ブラック』として発足しました。
その『ブラック』のリーダーは、名付け親でもある、ピアノのコウキ!です。
私、ケンジはボーカルです。
そして、ダンサーもいますよ。皆さん、1曲だけですが、お時間頂戴します。
いくぞっ!」
「 All right ‼ 」
ドラムのソロから始まった、ロックの曲が。
ダンサーとして踊っている3人は楽しそうだ。
誰も、彼らが不良だとは知らない。楽しそうに見て一緒に身体を動かしている。
高田先輩と副会長は睨んでるが、関会長は楽しそうにしている。
向井先輩は驚いてるが、副部長が何かを言ってるようだ。
俺は、この後たっぷりと絞られるだろうな。
賢司さんの声がする。
「聴いていただき、ありがとうございました。」
続けて、司会の声がする。
「それでは、生徒会役員の、あの曲で終わりだー!」
オオオォォォー!!
でも、このタップのイントロは向井先輩ではない。泰之さんだ。
「おら、弘毅、ピアノやれよっ」
「あ、は・はい」
「ギター、掻き鳴らせっ」
ギュギューンッ…。
え、このリフって、凄くカッコいい。
え、副会長、何て言ったの?
高田先輩の声がする。
「なんで…」
「一緒に演りたくて」
宮田の声がした。
高田先輩は、その一言で最高に良い表情になり歌いだした。
俺の背中に突き刺さってくる視線の持ち主は、何を思ってるのだろう。
もちろん、ソロでの歌も歌った…。
楽器での演奏の方はまだ良いのだけど、歌うのは超恥ずかしかったぁ…。
そして、5分後。
〆曲も終わった。
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