恋人は副会長

福山ともゑ

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(50)コウキの記憶力…

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俺は、コウキと朝食の片付けを終わらせると、食後の珈琲ならぬ紅茶タイムを楽しんだ。
気になってた事をコウキに聞いていた。
 「それはそうと、どうして文兄の部屋に居たの?」
 「んー…、それが俺にもよく分からないんだ。」
 「なにそれ?」
 「昨日ね、ここに来ようとしてたんだ。」
 「家に?」
 「うん。でも家が分からず…だから、一旦帰ってから出直そうと思って自分ん家に帰ったの。」
 「うん。」

キッチンのミニテーブルで紅茶を飲んでると、双子の2人とテルさんが入ってきた。
テルさんが、何か言ってくる。
 「あー…。なに2人だけで食後の珈琲してるの?」

でも、俺はコウキの話に夢中になっていた。
コウキの話は、こうだった。


副会長が、俺の家に来て母と話をしていて、俺には何も言わずに帰って行ったんだ。
顔色が悪そうだったから自転車で追い掛けたのだけど、家が分からず困っていた。
そこに高田先輩が現れて、少し話しをしていたんだけど…。
ユウに電話とメールをしたでしょ?
 「うん。」

それから、家に帰ったの。でも、途中で自転車が浮いた感があってビックリしたんだ。
まさか、道が無い所なのかってね。
でも、俺の意識は、そこまでだった。
次に気が付いた時は、どこかの広い家の中。
そこでは、黒い上下に身を包んでアイマスクを付けていた男が刀を持って闘っていた。
その相手は、先日、俺を拉致ってくれた奴だった。
その黒い上下を着た人は、すごく素敵だったよ。
強くて、運動神経も反射神経も良く、なにしろ背が高くて、カッコ良かったんだ。
しかも、二刀流だよ。二刀流!
男の俺でも、見惚れてしまうほどの良い男だった。
 「へー…。そいつは女では無くて男ね」

うん、そうだよ。胸の膨らみなんて無かったからね。
 「そっか…」

うん、そうだよ。
 「で、どっちが勝ったの?」

もちろん、黒い上下の服を着た男の方。
 「へー…」

しかも、途中から犬が現れてね…。
 「犬?」

うん。2,3匹なら可愛かっただろうけど、とんでもない数の犬だったんだ。
もう、怖くて怖くて…。その群れが俺の方に向かって走ってくるの。
だから、隅の方に縮こまっていたんだ。
 「怖い思いしたんだね…」

うん、その時はね。
でも、その犬達は運動会をし始めてね、勝手気ままに走り回っていた。どれ位経ったのか分からないけど、犬が半分ほどいなくなった時点で、俺はそこから出ようとしたんだ。
そしたら、副会長のベッドで寝ていた事に気が付いたんだ。
 「……それって、今朝?」

うん。なんでか知らないけれど、朝になってた。


 「はぁー……」
と、3つの溜息が聞こえてきた。
 「あれ、3人共どうしたんですか?溜息吐いちゃって…」
コウキが聞くと、3人は、こう返してきた。
副会長は苦笑しながら、
 「お前、もしかして…」
同様に苦笑しながら宮田も、
 「その間に起った事…」
これまた同様に苦笑しながら高田先輩も、
 「すっかり…?」

コウキは、その3人に聞いていた。
 「え、何かあったんですか?」
すると、3人共、深い溜息を吐いた。
副会長は、なにやら呟いてるみたいだ。
 「まあ、あんな事は忘れた方が良いかもな…」


いきなり副会長はコウキに向かって、言ってきた。
 「なら、仕上げに入るか。シュータを呼ぶから、コウキは用意して。」
 「え、仕上げって?」
 「七夕祭の仕上げだよ。分かってんだろっ。」
 「七夕祭の?」
すると睨んでくる。
 「俺、お前に宿題出したよな。」
 「え…、あっ、ああ、はい…」

 「テル、あの歌を3曲ともするらしい。歌って合わせるの手伝ってくれ。」
 「へ、あの3曲を?」
 「そうだ。」
 「当日は、誰が歌うの?」
その言葉にコウキが返した。
 「松岡先輩です。」
でも、高田先輩は分からないみたいだ。
うーん…、松岡って誰だっけ…、と考えてるみたいだ。
今度は副会長が応じてきた。
 「ヤリチンだ。」
コウキは、恥ずかしげな表情だ。
 「ヤ、ヤリチンだなんてっ…」
でも、高田先輩は分かったみたいだ。
 「あー、あのヤリチンね。」
その言葉に、ユウも返してきた。
 「あいつ、声だけは良いからな。」

ユウまで、なにをっ…。


そして、10分後。
向井先輩は宮田家に来た。



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