50 / 136
(50)コウキの記憶力…
しおりを挟む
俺は、コウキと朝食の片付けを終わらせると、食後の珈琲ならぬ紅茶タイムを楽しんだ。
気になってた事をコウキに聞いていた。
「それはそうと、どうして文兄の部屋に居たの?」
「んー…、それが俺にもよく分からないんだ。」
「なにそれ?」
「昨日ね、ここに来ようとしてたんだ。」
「家に?」
「うん。でも家が分からず…だから、一旦帰ってから出直そうと思って自分ん家に帰ったの。」
「うん。」
キッチンのミニテーブルで紅茶を飲んでると、双子の2人とテルさんが入ってきた。
テルさんが、何か言ってくる。
「あー…。なに2人だけで食後の珈琲してるの?」
でも、俺はコウキの話に夢中になっていた。
コウキの話は、こうだった。
副会長が、俺の家に来て母と話をしていて、俺には何も言わずに帰って行ったんだ。
顔色が悪そうだったから自転車で追い掛けたのだけど、家が分からず困っていた。
そこに高田先輩が現れて、少し話しをしていたんだけど…。
ユウに電話とメールをしたでしょ?
「うん。」
それから、家に帰ったの。でも、途中で自転車が浮いた感があってビックリしたんだ。
まさか、道が無い所なのかってね。
でも、俺の意識は、そこまでだった。
次に気が付いた時は、どこかの広い家の中。
そこでは、黒い上下に身を包んでアイマスクを付けていた男が刀を持って闘っていた。
その相手は、先日、俺を拉致ってくれた奴だった。
その黒い上下を着た人は、すごく素敵だったよ。
強くて、運動神経も反射神経も良く、なにしろ背が高くて、カッコ良かったんだ。
しかも、二刀流だよ。二刀流!
男の俺でも、見惚れてしまうほどの良い男だった。
「へー…。そいつは女では無くて男ね」
うん、そうだよ。胸の膨らみなんて無かったからね。
「そっか…」
うん、そうだよ。
「で、どっちが勝ったの?」
もちろん、黒い上下の服を着た男の方。
「へー…」
しかも、途中から犬が現れてね…。
「犬?」
うん。2,3匹なら可愛かっただろうけど、とんでもない数の犬だったんだ。
もう、怖くて怖くて…。その群れが俺の方に向かって走ってくるの。
だから、隅の方に縮こまっていたんだ。
「怖い思いしたんだね…」
うん、その時はね。
でも、その犬達は運動会をし始めてね、勝手気ままに走り回っていた。どれ位経ったのか分からないけど、犬が半分ほどいなくなった時点で、俺はそこから出ようとしたんだ。
そしたら、副会長のベッドで寝ていた事に気が付いたんだ。
「……それって、今朝?」
うん。なんでか知らないけれど、朝になってた。
「はぁー……」
と、3つの溜息が聞こえてきた。
「あれ、3人共どうしたんですか?溜息吐いちゃって…」
コウキが聞くと、3人は、こう返してきた。
副会長は苦笑しながら、
「お前、もしかして…」
同様に苦笑しながら宮田も、
「その間に起った事…」
これまた同様に苦笑しながら高田先輩も、
「すっかり…?」
コウキは、その3人に聞いていた。
「え、何かあったんですか?」
すると、3人共、深い溜息を吐いた。
副会長は、なにやら呟いてるみたいだ。
「まあ、あんな事は忘れた方が良いかもな…」
いきなり副会長はコウキに向かって、言ってきた。
「なら、仕上げに入るか。シュータを呼ぶから、コウキは用意して。」
「え、仕上げって?」
「七夕祭の仕上げだよ。分かってんだろっ。」
「七夕祭の?」
すると睨んでくる。
「俺、お前に宿題出したよな。」
「え…、あっ、ああ、はい…」
「テル、あの歌を3曲ともするらしい。歌って合わせるの手伝ってくれ。」
「へ、あの3曲を?」
「そうだ。」
「当日は、誰が歌うの?」
その言葉にコウキが返した。
「松岡先輩です。」
でも、高田先輩は分からないみたいだ。
うーん…、松岡って誰だっけ…、と考えてるみたいだ。
今度は副会長が応じてきた。
「ヤリチンだ。」
コウキは、恥ずかしげな表情だ。
「ヤ、ヤリチンだなんてっ…」
でも、高田先輩は分かったみたいだ。
「あー、あのヤリチンね。」
その言葉に、ユウも返してきた。
「あいつ、声だけは良いからな。」
ユウまで、なにをっ…。
そして、10分後。
向井先輩は宮田家に来た。
気になってた事をコウキに聞いていた。
「それはそうと、どうして文兄の部屋に居たの?」
「んー…、それが俺にもよく分からないんだ。」
「なにそれ?」
「昨日ね、ここに来ようとしてたんだ。」
「家に?」
「うん。でも家が分からず…だから、一旦帰ってから出直そうと思って自分ん家に帰ったの。」
「うん。」
キッチンのミニテーブルで紅茶を飲んでると、双子の2人とテルさんが入ってきた。
テルさんが、何か言ってくる。
「あー…。なに2人だけで食後の珈琲してるの?」
でも、俺はコウキの話に夢中になっていた。
コウキの話は、こうだった。
副会長が、俺の家に来て母と話をしていて、俺には何も言わずに帰って行ったんだ。
顔色が悪そうだったから自転車で追い掛けたのだけど、家が分からず困っていた。
そこに高田先輩が現れて、少し話しをしていたんだけど…。
ユウに電話とメールをしたでしょ?
「うん。」
それから、家に帰ったの。でも、途中で自転車が浮いた感があってビックリしたんだ。
まさか、道が無い所なのかってね。
でも、俺の意識は、そこまでだった。
次に気が付いた時は、どこかの広い家の中。
そこでは、黒い上下に身を包んでアイマスクを付けていた男が刀を持って闘っていた。
その相手は、先日、俺を拉致ってくれた奴だった。
その黒い上下を着た人は、すごく素敵だったよ。
強くて、運動神経も反射神経も良く、なにしろ背が高くて、カッコ良かったんだ。
しかも、二刀流だよ。二刀流!
男の俺でも、見惚れてしまうほどの良い男だった。
「へー…。そいつは女では無くて男ね」
うん、そうだよ。胸の膨らみなんて無かったからね。
「そっか…」
うん、そうだよ。
「で、どっちが勝ったの?」
もちろん、黒い上下の服を着た男の方。
「へー…」
しかも、途中から犬が現れてね…。
「犬?」
うん。2,3匹なら可愛かっただろうけど、とんでもない数の犬だったんだ。
もう、怖くて怖くて…。その群れが俺の方に向かって走ってくるの。
だから、隅の方に縮こまっていたんだ。
「怖い思いしたんだね…」
うん、その時はね。
でも、その犬達は運動会をし始めてね、勝手気ままに走り回っていた。どれ位経ったのか分からないけど、犬が半分ほどいなくなった時点で、俺はそこから出ようとしたんだ。
そしたら、副会長のベッドで寝ていた事に気が付いたんだ。
「……それって、今朝?」
うん。なんでか知らないけれど、朝になってた。
「はぁー……」
と、3つの溜息が聞こえてきた。
「あれ、3人共どうしたんですか?溜息吐いちゃって…」
コウキが聞くと、3人は、こう返してきた。
副会長は苦笑しながら、
「お前、もしかして…」
同様に苦笑しながら宮田も、
「その間に起った事…」
これまた同様に苦笑しながら高田先輩も、
「すっかり…?」
コウキは、その3人に聞いていた。
「え、何かあったんですか?」
すると、3人共、深い溜息を吐いた。
副会長は、なにやら呟いてるみたいだ。
「まあ、あんな事は忘れた方が良いかもな…」
いきなり副会長はコウキに向かって、言ってきた。
「なら、仕上げに入るか。シュータを呼ぶから、コウキは用意して。」
「え、仕上げって?」
「七夕祭の仕上げだよ。分かってんだろっ。」
「七夕祭の?」
すると睨んでくる。
「俺、お前に宿題出したよな。」
「え…、あっ、ああ、はい…」
「テル、あの歌を3曲ともするらしい。歌って合わせるの手伝ってくれ。」
「へ、あの3曲を?」
「そうだ。」
「当日は、誰が歌うの?」
その言葉にコウキが返した。
「松岡先輩です。」
でも、高田先輩は分からないみたいだ。
うーん…、松岡って誰だっけ…、と考えてるみたいだ。
今度は副会長が応じてきた。
「ヤリチンだ。」
コウキは、恥ずかしげな表情だ。
「ヤ、ヤリチンだなんてっ…」
でも、高田先輩は分かったみたいだ。
「あー、あのヤリチンね。」
その言葉に、ユウも返してきた。
「あいつ、声だけは良いからな。」
ユウまで、なにをっ…。
そして、10分後。
向井先輩は宮田家に来た。
0
お気に入りに追加
111
あなたにおすすめの小説
小学生最後の夏休みに近所に住む2つ上のお姉さんとお風呂に入った話
矢木羽研
青春
「……もしよかったら先輩もご一緒に、どうですか?」
「あら、いいのかしら」
夕食を作りに来てくれた近所のお姉さんを冗談のつもりでお風呂に誘ったら……?
微笑ましくも甘酸っぱい、ひと夏の思い出。
※性的なシーンはありませんが裸体描写があるのでR15にしています。
※小説家になろうでも同内容で投稿しています。
※2022年8月の「第5回ほっこり・じんわり大賞」にエントリーしていました。
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
ずっと女の子になりたかった 男の娘の私
ムーワ
BL
幼少期からどことなく男の服装をして学校に通っているのに違和感を感じていた主人公のヒデキ。
ヒデキは同級生の女の子が履いているスカートが自分でも履きたくて仕方がなかったが、母親はいつもズボンばかりでスカートは買ってくれなかった。
そんなヒデキの幼少期から大人になるまでの成長を描いたLGBT(ジェンダーレス作品)です。
俺の小学生時代に童貞を奪ったえっちなお兄さんに再会してしまいました
湊戸アサギリ
BL
今年の一月にピクシブにアップしたものを。
男子小学生×隣のエロお兄さんで直接的ではありませんが性描写があります。念の為R15になります。成長してから小学生時代に出会ったお兄さんと再会してしまうところで幕な内容になっています
※成人男性が小学生に手を出しています
2023.6.18
表紙をAIイラストに変更しました
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる