恋人は副会長

福山ともゑ

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(31)NR描写あります。抵抗ある方はスルーして下さい。

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借りた竹刀で、まずは玄関と思しき入り口を示す。
竹刀を構え、玄関の窓があっただろうと思われる箇所の端。
そこから、灯りが漏れている。
まずは、そこを突いた。

ガッシャーン!

ふんっ、ビンゴだ。
バタバタバタッと音が聞こえてくる。
玄関の脇は道路だ。
そっちの方に身を隠して少し待った。

バタンッ!と音がした。
でも、こちら側には来ない。
覗いてみると、入り口は空きっぱなしで、住人は向こうに走ってる。
まあ良い、先にコウキだ。
中に入ると、わりと小奇麗になっている。
上から音が聞こえる。
灯りだと思っていたのは、懐中電灯だった。
その懐中電灯が置かれている所は、玄関脇の傘立て、次は階段の下。
その階段を上がっていくと、音だと思っていたのは声だと分かった。

 「ふふっ…。若い子って良いわね。あぁ、気持ちいい。
ねえ、もっと動いて…。動くのよ、動きなさいっ!」

パシッ!

 「いっ…痛いっ、何する…」
コウキの声だ。
あの女はコウキに何を…。

そう思ってると、音が…足音が聞こえてきた。
 「あいつじゃないなんて…。誰だったんだ?人ん家、壊しやがって…」
サワダが戻って来たのか。
そうか、ここを壊したがってる奴が他にも居るのか。
ちょうど良い。俺は、今は階段を上りきったところだ。
位置的には、こっちの方が有利だ。
しかも、俺は非常ーに腹が立っている。

階段を上がってくる音が響いてくる。
竹刀を持った腕を、前に突き出して待った。
少し経つと、何かに当たった気配がした。

すると。

ダダダーン…。

何かが落ちた音がした。
懐中電灯が置かれてるのは階段の一段目だけだからな。他にも置けよ。
 「う…、な、なんだ今の…」
サワダが落ちた音だったのか。
暫く待つと、息遣いが下から聞こえてくる。
はあ…、はあ…、はあ…。

竹刀を縦に構え、面を取る位置に持ってきた。
息遣いが迫ってくる。
あと一歩だ。
はあ…、はあ…。

(面っ!一本!!)と、心の中で叫び、竹刀を振り降ろした。
 
 「っ…」
ズダダダーンッ…。

 「なに、煩いわね。おちおちエッチも出来ないじゃない。」
あの女の声が、階段の方に向かってくる。
 「サワダ?私は、あの子をモノにしようとしてるのよ。邪魔しないで!」
誰がさせるかっ。
そう思い、竹刀を横に振った。
 「ぐっ…、なに、サワダ。もう少し待ってて、代わってあげるから。」
もう一振り、横に振った。
 「うっ・・」
 「貴様っ、人の母親殺しといて、今度は、あいつを自分のオモチャにするつもりか…」

 「その声、マサ?やっぱり、私の元に…」
 「よく人の面を見るんだな」
 「マサ…、え、誰?」

その女の髪を引っ張ると取れた。
ああ…、ヅラか。
 「な、何するのっ!私の…」

俺は、それを階段の下に落としてやった。
 「そんなに大事な物なら、自分で取りに行けよ。」
俺を睨みながら、マッパの女は、自分のヅラを取りに降りてる。
その背中を竹刀で触れてやった。

ダダダーンッ・・・。

 「っ…」

まだ欲求不満だが、早くコウキを取り戻して警察に行かないと。
時間切れになりそうだ。
さっきまで声のした辺りに行くと、ベッドが見える。
ベッド脇には懐中電灯で灯りを点けている。
その灯りに照らされたベッドには、コウキが横たわっていた。
 「コウキ。コウキ大丈夫か?遅くなってすまない。助けに来た。」
 「ふっ…、ふくっ…」
 「ん…、服は何処ですか…、か?」

小声だが、コウキの意識はしっかりとしてる。
 「意地悪っ。副会長…」
 「コウキ…」
 「ふっ…、ふっ…」

 「大丈夫だ。もう大丈夫だ。」


俺は、コウキを思いっきり抱きしめた。

 
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