恋人は副会長

福山ともゑ

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(26)マサ&コウキVSサワダ

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う…、どこだ、ここは…?
誰かに担ぎ上げられて腹を殴られたのは覚えてる。
宮田やユウは、どこだ?

ふいに女の声が聞こえてきた。
 「本当に、この子が弱点なの?」
 「はい、もう一人いましたが…。こっちの方と親密にしてたので。」
 「ふーん…、まあ、良いわ。」

 「ねえ、マサ。貴方がホモだという事は知ってるわ。
それに、もう一度痛い目を見て入院はしたくないでしょ?」
 「なんで俺を狙う?」
にっこりと微笑んで近くに寄ってくる。
 「ふふっ…。だって、貴方が好きなんですもの。それに、貴方は長男だし。
いずれは、あの学園も手にするのでしょ。貴方と結婚すれば、私は億万長者の妻!
私は子供は欲しくないし、貴方は好きな男と一緒に居れば良いわ。
良いことづくめよ。」
足音が、コウキの方に近付いてくる。

 「それに、なかなか可愛い顔してるわよね。」
そう言って、俺の顔を覗きこんできた。
 「あら、目が覚めたみたいね。ふふっ…、本当に可愛い…。」
さすがマサが目を付けるだけのある子ね。

 「そいつを離せ!お前の狙いは俺だろ。赤の他人を巻き込むなっ。
俺がいれば、十分なんだろっ。」
 「…でも、目の保養はしたいわよ。」
この声は宮田?
宮田は、俺の近くに居る。ならユウは…、ユウは、どこだ?

ツツツッ…と、俺の首筋を辿ってくる指。
え、なにこれ…。

 「ふ…、怯えなくても良いわよ。少しばかり、目の保養をさせてね。」
その女が何を言ってるのか分からない。
すると、シャツを捲られた。
 「ふふっ…。キスマークが一杯ね。
マサったら、こんなにキスマークを付けて…」

キスマーク?
昨日、副会長が俺に付けてくれたモノだ。

急に、乳首に痛みを感じた。
 「っ…」
 「味見させてね」
そう言うと、唇を塞がれた。

え・・・!
おっ、おん…な…。
女に、キス…されてる?
コウキの頭は、真っ白になった。

え…。
なに、なんで…。

暫くすると、唇は離れていく。
 「ふふっ…。本当にカワイー。」
唇にキスはされてないのね。あ、もしかしてファーストだったりするのかしら?
うふっ、なんか嬉しいっ。


慌てる宮田の声が聞こえてくる。
 「ヤ、ヤメロッ!お前は、俺が狙いなんだろっ。
おい、サワダッ!お前、アレを目の前でされて許せるのか?
サワダ、お前は、あいつが好きなんだろっ。
あいつをモノにしたいと言ってただろっ。違うのかっ?
サワダッ!!」
 「うるせぇよ…。いくら俺が思っても、あいつはお姫様なんだよ。
「近寄るな」と言われれば、近寄る事も出来ないんだよ。」

だからって、あんな事…。


その言葉を聞いて、コウキは勇気を出して口を開いた。
 「…やめろっ!!」
その俺の声に対して、女は言ってきた。
 「あらん、イイ声ねー。それじゃ、今度は違う声を聞かせてね。」



その時、煩くドアを叩く音が聞こえてきた。

ドンドンドンドンッ!!

ドンドンドンドンッ!!



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