カレー王子は魔法使い

福山ともゑ

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カレー作り

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俺は、昨夜からカレーのルーを仕込んでいた。
カツオと昆布から丁寧にダシを取っては、それに計量した小麦粉に数種類のスパイスを混ぜ込んでは一晩寝かしていた。

そして、今夜はカレーを食べる。
具材は、玉ねぎと肉だけだ。

そして…、カレーに付けるモノを、これから焼いていく。
ナンだ。
小麦粉と水を計量しては、2つ用意する。
1つはプレーンを。
もう一つにはホウレン草を茹でては磨り潰しては、一緒に混ぜ合わせる。
グリーンナンだ。
ライスも付け合せる。
デザートはヨーグルトにしようかな。

え、1人では食べきれない程の量だって?
いや、1人分だよ。
しかも今は客が居るので、それを2人分にするだけの話だ。
その客なんだけど、図々しくてさ・・・。


そうしてると、声が聞こえてきた。
 「出たぞー。」
・・・ああ、良い気持ちだった。
と、タオルで身体を拭きながら、ターバンを巻いてる褐色の肌の持ち主が風呂場から出てきた。

しかも、真っ裸だし。
 「せめてタオルで身体を隠せよっ!(怒)」
そう言って俺はタオルを取り上げて、身体を隠すように当ててやる。

とんでもない事をそいつは言ってくる。
 「一緒に入ればよかったのにな。」
 「なに言ってるんだよ。俺は晩飯を作ってるんだ。」

作りながらでも風呂に入れるだろ。
とまで言ってくる。

何処の世界に、そういう器用な奴が居るんだ。
そう言ってやると、そいつは何かをブツブツ言ってる。
 「アララホンダマ…・・・」

無視してやったら、いつの間にか俺の居たキッチンは、風呂場に早変わり。
こ、こいつ・・・もしかして魔法を使ったのか?

俺は真っ裸に…。
そうしてると、そいつはニヤニヤしながら言ってくる。
 「ほら。風呂入りながらでも作れるだろう。」

この野郎。カレー鍋を投げつけてやろうかっ。
でも我慢だ。
そう、このカレー鍋を投げつけると、せっかく作ったカレーが勿体ない。
なので、俺は黙っていたよ。
この件に関しては、な。(強調)

しかし、違う件に関しては言ってやった。
 「あのなー・・・」
 「ん、なんだ?」
 「風呂に入ってきたのなら、着替えたらどうなんだ。お前、その一色しか持ってないのか。」
せっかく綺麗になったのに、着替えもしないなんて、汚いよなー…。

すると、こう言ってのけた。
 「優輝は大丈夫そうだな。」
 「なにが?」
ってか、お前…人の言った事、聞いてないな。
順応力が早いって言ってくれるが、なんのことだ・・・?

よし、出来たっ!

そう言うと、そいつは嬉しそうに椅子に座った。
おい、手伝う気はないのかよ。
何様のつもりだ、ったくう…。

仕方なく、2人分をテーブルに持って行く。
ふと見ると、そいつのターバンが外れかけている。
 「ほら。ターバンぐらい自分で上手に巻けないのか。」
そう言って、俺はターバンをギュウっと巻いてやった。

え・・・?
え、え、え、?
なに、これ?
えー、なんで俺に巻き付いてくんの?

 「優輝。このターバンはお前を選んだ。俺達は、これからも一緒だよ。」
 「はぁ?ふっざけんじゃないよっ!ターバンに気に入られなくても・・・」
くぅ…外れねぇー。

俺は叫んでいた。
 「俺は飯を食いたいのっ!カレー、ナン、ライス、デザート、ヨーグルトッ!」

そしたら、ターバンはクルクルッと動いては、俺とそいつを一纏めにしてくれた。
目の前には、褐色の肌の持ち主のそいつ。
何が起きたのか分からない俺は、何回も瞬きをしていた。
 「優輝。このターバンはな、魔法を唱えるには必要不可欠な物なんだ。」

え・・・、なに、これ。どういうこと?
目の前の男は、溜息を吐いて言ってきた。
 「優輝。こうなると、アレをしないと解けない。するぞ。」
何も考えずに、思わず頷いていた。

何かが肌に吸い付いてくる感覚があった。
そう、俺は真っ裸だという事を忘れていた。
しかも、目の前にいる褐色の男は、俺を・・・。
俺に、エッチをしようとしているみたいだ。
 「あっ…、や・・やめ……」
 「優輝、お前は気持ちいい肌だな」
俺は、目の前にいる褐色の肌の持ち主に、身体を貪られていた。
 「んっ…んっ…、ぁ… 」

中まで穿つかれては、気持ち良くなっていた。


気が付くと、ターバンは解けていた。
しかも、褐色の肌の持ち主は椅子に座ってる?
カレーだ。1人で食べてるのか。
そういえば、作っただけで食ってないな。
 「俺も食いたい。」
そう言うと、その男は温め直してきては、俺を横抱きにしては食べさせてくれた。

なんだよ、しようと思えば出来るんじゃないか。
でも、俺は自分が姫抱っこされてる事に気が付いてなかった。


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