××男と異常女共

シイタ

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ゴミ女の深夜バイト

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 私は孤児院の大人に教えられた。『ゴミ箱』というのはいらなくなったものやない方が良いものを捨てる場所だと。つまりいらなくなったものとは『ゴミ』、ない方が良いものとは『ゴミ』なのだ。
 ゴミはゴミ箱に捨てられる。当たり前の常識である。

 なら、生まれてすぐにゴミ捨て場に捨てられた私は、ではなくなんだろう。

 昨日の夜、孤児院の大人の話を聞いて私は知った。
 私は赤ちゃんの頃にゴミ捨て場に捨てられていて、それを孤児院の大人に拾われたのだと。
 私のお母さんとお父さんが、私をゴミ捨て場に捨てたのだと。
 私はお母さんとお父さんにとって、いらないものだったと。
 私はお母さんとお父さんにとって、いない方が良いもだったと。
 私はお母さんとお父さんにとってだったのだと。
 私は昨日の夜に思い知らされた。

 私はそれを知ってから、やる気というものがなくなった。元からやる気というものが私にはそれほどなかったけど、そんな以前よりも私はやる気というものをなくしてしまった。
 そうやって、私は無気力のままゴミである自分のことを考えて、日々を過ごしていった。

 ゴミである私はこれからどうすればいいのか?
 ゴミである私はこれからどうやって人と接していけばいいのか?
 ゴミである私はこれからどうやって過ごしていけばいいのか?
 ゴミである私はこれからどうやって生きていけばいいのか?

 私は四六時中考え悩みながら、周りの友達と言っていた子達を見て、なんとも言えない気持ちになっていた。
 特にある光景を見ると、私の胸は言いようのない苦しみが襲うようになった。その光景とは、友達の子達が自分達のお母さんやお父さんと一緒にいるところである。
 楽しそうに会話し、嬉しそうに抱きつき、幸せそうな顔を見せる家族達。
 それを見て、私は思う。ゴミである私に、あの光景は絶対に手に入らないのだろうと。
 私は見ててもどうしようもないのに、その光景に目を離せない。
 胸が苦しいのに、目を逸らしたいのに、私は何故かその光景にいつも見入ってしまっていた。

 私は答えを出した。自分がこれからどうやって生きていくのかを、どうやって過ごしていくのかを、どうやって人と接していくのかを、どうすればいいのかを。答えを出してしまえば、呆気なかった。
 ゴミはゴミらしくゴミであるしかない。ゴミである私には、自分がどうすればいいのかを考えることさえおこがましい。むしろ、生きてることさえおこがましい。

――だから、私は死んだ方がいいのだ。

 私は死ぬことにした。
 だけど、どうやって死ねばいいのか分からなかった。人がどうやって死ぬのか、私は知らなかった。だから、私はどうやったら人は死ぬのかを孤児院の大人に聞いてみた。
 孤児院の大人は答えてくれなかった。逆にどうしてそんなことを聞くのかを聞かれてしまった。
 私は素直に「死にたいから」と答えると?孤児院の大人の顔が険しくなった。そして、どうして死にたいと思ったのかを聞かれた。
 この時の孤児院の大人の声は聞いたことがないような凄みがあり、それに少し驚きつつも私は素直に答えた、「私がゴミだから」と。
 それを聞いた孤児院の大人は、真剣な顔をして私がゴミではないということを教えてきた。孤児院の大人の話は長々としていたもので、私は途中で眠くなってきてしまったが、とりあえず全部聞き終えた。
 孤児院の大人が話していたのは、簡単に言うと私がゴミではないことの説明と、生きることの素晴らしさ? みたいなものである。

 そんなことを聞きたいんじゃない。

 私は孤児院の大人が、私のために真剣に話していたことを綺麗さっぱり忘れて、もう孤児院の大人に聞きくのはやめようと思った。
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