××男と異常女共

シイタ

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ストーカー女のストーカー

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 最近、おかしい。
 何がおかしいのか疑問を持つのもおかしいぐらい、おかしいことが僕の周りには起きていた。
 家に帰ってくると妙に部屋が綺麗になっていたり、家具の位置が微妙に移動していたり、いくつか物が失くなっていたり。

 これらのことだけなら、気の所為かもしれないと思えるのだが、そうとも思えないことが他にも起きている。
 何処からか見られていると感じたり、後ろから付けられているような足音が聞こえてきたり、すぐ近くから誰もいないはずなのに人の気配を感じたり。
 今まではまったくこんなおかしなことを感じたことはなく、不安になるばかり。しかもそれが、外だけでなく家の中にいる時も起こるのだ。
 心が休まる場所がない。
 そんなおかしな出来事もずっと続くわけではないのだが、忘れていた頃を見計らっているかのように襲ってくる。そのため、忘れることができず、常に警戒しいつやってくるのかと身構えてしまう。
 心が休まる時間がない。
 
「いったい、何だっていうんだ……」

 僕の心は、すでに限界ピークに達していた。

 誰かに相談したら、少しでも楽になるのかもしれない。だけど、相談できる人がいない。
 僕は昔から内気な性格なため、何でも話し合えるような気を許した友達を作ったことがなく、現在もいない。どうしても相手に自分のことを話すのが怖いと思ってしまうのだ。
 
 誰かに相談するという提案は却下し、僕はスマホを取り出して、自らに起こるおかしな出来事をいくつかネット検索の部分に書き出した。
 検索結果から、いくつか出てきた中で気になったのが『ストーカー被害』という項目だ。
 その項目を見てみると、中には被害者が実際にストーカーから受けた被害のことや、ストーカーが行う主な行動のまとめのようなものが書かれていた。
 そこに書かれている被害を読んでいくと、僕が受けているおかしな出来事と重なる部分がいくつかある。

 もしかして、自分はストーカー被害に遭っているのではないか。
 そんなわけないか、といつもの自分なら呑気に考えそうなものだが、心身ともに限界が来ている今の自分には、この事態がとても深刻なものであると感じていた。
 僕はすぐさまストーカーの対処法と検索をかけて、出てきた項目のトップにあるものを開く。
 そこに書かれている対処法は、家族や友人など周知の人にストーカー被害のことを知ってもらうことで、被害が減少する可能性があるということと、ストーカーを相手にせず電話やメールの被害の場合それを録音するなどして、ストーカー被害の証拠として残しておくことだった。

 僕はその対処法を読んで、正直これで解決できるとは思えなかった。
 まず初めに家族や友人などの周知の人に知ってもらうことだが、先ほど話した通り僕には気を許せるほどの友人はいない。家族に話すことはできるが、それで被害が減るとは思えない。
 次にストーカー被害の証拠を残すといっても、自分の被害は物がなくなったり、つきまとわれたり、と物的証拠が残るものはまったくない。警察に相談しても、証拠がなければあまり相手にされなさそうだ。
 また、ストーカーを相手にしないという方法は、それではいつ解決するか分からない。僕が知りたいのは、今すぐこの状況をどうにかしてくれる方法なのだ。

「……くそ。誰がこんなことを…………っ!?」

 僕は自分の呟きで、あることに気付いた。それは、僕のストーカーが誰だということだ。
 僕はあまり人と関わったりしないため、女性の人と話すようなことは滅多にない。ここ最近も、女性と話したことはほとんどなかった。強いて言えば、彼女にあの邪魔者について聞いた時ぐらいだ。

 ひょっとして、彼女が僕のストーカー?

 そう考えると、つい顔がニヤけてしまう。
 彼女が僕のストーカーならば、これほど嬉しいことはない。つまり、彼女と僕は両想いというわけになるのだから。
 そうだったなら、彼女の今までの行為も説明することができる。
 恥ずかしかったのだ。
 僕に気持ちを伝えたいが恥ずかしくて言えず、回りくどい真似をして、気持ちを伝えてきているのだ。
 それなのに僕はすぐに気付いてあげることができなかった。
 彼女もやきもきしたことだろうが、もう安心していい。
 君の想いは届いたよ。
 それを知らせるため、僕の気持ちも知ってもらうため、僕も自分の想いを君に伝えよう。
 いつのまにか、限界に達していた精神はすこぶる回復し、僕の心は晴れやかなものになっていた。
 僕は明日の休日が待ち遠しく、まるで次の日の遠足が楽しみで眠れない子供のように、寝付くのに時間がかかってしまった。
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