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08 佐伯2(明寿専用の運転手/39歳) 夢、射精禁止、ドライオーガズム、脳イキ、失禁

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心臓が冷えてゆく。
 
男の顔が首筋に近付き、舌でベロリと舐められた。
 
気持ちが悪い。
 
虚ろになった目からポロポロと涙が零れてゆく。
 
 
 
(…嫌だ、…やめて、…触るな……)
 
 
 
後ろの蕾に誰かのペニスが当たる。
 
汚い、汚い、汚い。
 
怖くて、悲しくて、嫌悪感で胸がいっぱいになる。
 
もう、死んでしまおう。
 
このまま息が止まればいい。
 
死んで…
 
 
 
(…意識が、遠のく……)
 
 
 
明寿様、ごめんなさい。
 
明寿様、もう、これ以上は耐えられない。
 
明寿様、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい。
 
 
 
(………明寿様…)
 
 
 
「佐伯、それは駄目。いくらなんでも、僕、それだけは絶対に許さないからね」
 
「……ぁ…っ…」
 
 
 
突然、今一番聞きたいと思っていた声が聞こえた気がした。
 
いやそうではない。
 
会いたいと思っていた人がいるのだ、そこに、焦がれていた人物が、目の前に。
 
佐伯の表情に変化が現れ、少しずつ冷えていた心臓が温もっていく。
 
全裸にされ、今にも襲われそうになっている佐伯の姿を見た瞬間、明寿のこめかみがピクリと動いたようだが、それもほんの一瞬だったため誰にもわからない。
 
明寿は優しい微笑みを浮かべ、佐伯に言い聞かせるように声をかける。
 
 
 
「前に言ったよね?佐伯、お前は僕のモノなんだから、誰にも触れさせないことって。それが自分の意思でないのはわかってるけど、だからと言って、駄目だよ。お前は自分で自分を傷付けちゃ駄目。勝手に死のうとしても駄目。それをしていいのは僕だけ、それを決めるのはこの僕だけなんだから、わかった?」
 
「…はい、…はい、明寿様、わかりました、気を付けます…」
 
「うんうん、反省したなら許してあげる。僕は佐伯に甘いからね。何でも許してあげる」
 
「明寿様…っ」
 
 
 
佐伯の目から大粒の涙が零れ出し、明寿はゆっくりと近付いてゆく。
 
興を削がれた男たちの表情は一瞬にして怒りに染まり、リーダー格の男が大声で叫んだ。
 
 
 
「おいコラっ!!よくも邪魔しやがったな!!」
 
「………」
 
「何か言えや!!澄ました顔しやがってクソ野郎!!」
 
「………」
 
 
 
佐伯と、佐伯に群がる男たちに近付くにつれ、明寿の纏う空気が変化してゆく。
 
微笑みの瞳の奥にある仄暗い狂気が次第に、大きく膨らんでいることに誰も気付かない。
 
明寿の憮然とした態度に男たちは苛立ち、佐伯を地面に投げ捨て、一斉に明寿に襲い掛かる。
 
放り棄てられた佐伯はぐったりとしたまま地面に横たわりピクリとも動かない。そのまま気を失ってしまったようだ。
 
佐伯の痩せた白い体が寒そうに地面で倒れている姿を見た明寿は笑みを深め、すぐに視線を襲い掛かってきた男たちに向けた。
 
そして、明寿は呪いの言葉を放つ。
 
 
 
 
 
あれから男たちがどうなったかなど、誰にもわからない。
 
明寿の能力によって男たちは催眠にかかり、仲間同士で殴り合いを始めた。
 
顔面を殴り、鼻血が噴き出し、歯が折れ、口から血が流れようとも、ひたすら殴り合い続けていた。
 
お互いに暴言を吐き合い、まるで何かに憑りつかれたかのうような表情をしながらずっと。
 
長い時間殴り合い続けていたはずの男たちは、気が付けば気でも狂ったかのように悲鳴を上げ、怯えた表情で地面に突っ伏していた。
 
殴り合い続けた顔面は血だらけだったが、恐怖で顔色は真っ青になり、全身が震えているようだった。
 
明寿は佐伯を抱き上げ、男たちの様子など知ったことかというように視線を向けることなく立ち去ってゆく。
 
 
 
 
 
車に戻り、明寿は佐伯の体をそっと後ろのシートに乗せた。
 
新しく用意した服を着せ、冷たくなった佐伯の頬を優しい手つきで撫でる。
 
涙の痕を見ながら小さく溜息を吐いた。
 
 
 
「…柄にもなく怒りで目の前が真っ赤に染まったよ…。佐伯、お前は僕の一番のお気に入りなんだから、気を付けてくれないと。僕の可愛い佐伯。一応、僕の一目惚れなんだから、気を付けてくれないと」
 
 
 
そう、あの日公園で出会った佐伯に、明寿は幼いながらもこれが一目惚れというものだと確信したのだ。
 
能力を使って佐伯の心を見た。佐伯の心は美しく、とても繊細だった。
 
今まで様々な大人の人間の思考を覗いてきたが、どれもこれも黒く汚れていて見れたものではなかったが、佐伯の心はとても綺麗で、透明だった。 
 
本人は全身傷だらけで汚いと言っていたが、そんなものどうでもよかったのだ。
 
明寿にとって体の傷など些細なことだった。
 
それよりも大事なことは、明寿の心が初めてソワソワと疼いたことである。短い人生の中ではあるが、IQが高く大人びていた明寿にはそれは一大事だったといっても過言ではない。
 
これからの人生にはきっと佐伯という人間が自分には必要だと考え、どうやって連れて行こうかと思っていた。
 
タイミングよく専属の運転手という席が空いていたこともあり、とんとん拍子に話は進んだ。両親は明寿が生まれて初めて自分たちにお願いをしたということに喜び、佐伯を快く受け入れてくれた。
 
最悪の場合、暗示をかけてでも佐伯を専属運転手にしようと考えていたため、快諾してくれた両親には満面の笑みでお礼を言った。
 
あれから何年の月日が流れたか、今では明寿もすっかり大人になった。
 
相変わらず佐伯の心は綺麗で透明だ。
 
外見も美しいままだが、出会った頃より少し痩せたかもしれない。あまり長い時間放っておくとすぐに食事を抜くし、寂しがるのだ。
 
食にあまり興味がなく小食で、一人でいると食べることを忘れる時もあるらしい。
 
流石の明寿もそれには困った表情をしていた。
 
だから一日に一回は一緒に食事をしているのだが、最近は仕事が多くあまり佐伯と過ごす時間がなかったのだ。かなり寂しい思いをさせてしまったようだ。
 
佐伯にとっても明寿は大切な存在である。
 
忙しそうにしている明寿の邪魔にならないようにと静かに待機する日々が続いていたため、寂しさで食欲もあまりなかったために少し痩せている自覚もあったのだが、どうしようもない。
 
そんなこんなで久しぶりに明寿の運転手として外出していた矢先の出来事だった。
 
 
 
あまりのショックに佐伯の体は完全にシャットアウトしてしまったようで、一向に起きる様子がない。
 
明寿は意識のない佐伯を時々ミラー越しに見ながら、自身の車を運転し自宅へ戻った。
 
自室へ佐伯を連れて入り、そっとベッドに寝かせる。
 
未だに目を覚まさない佐伯を見て、明寿は無表情のままぼんやりと窓の外を見た。
 
 
 
(…ショックが大きすぎたのか……)
 
 
 
佐伯の顔色は先程よりも悪く、真っ青になっている。
 
明寿はしばし考えるように目を閉じた。
 
数分間経過し、そして明寿は一つ頷いて目を開いた。
 
 
 
「ちょっとあまりしたことない手だけど、仕方ないよね」
 
 
 
そう言うと、明寿は佐伯の額に手を乗せ、神経を集中させた。
 
明寿はクスリと笑い、佐伯に語りかけるように口を開く。
 
 
 
「気持ちいい夢見たら、きっと気持ちよく起きれるよ。ね、佐伯?」
 
 
 
佐伯の額に触れる手に神経を集中させ、明寿は静かに目を閉じた。
 
次第に思考が広がってゆき、それは佐伯へと繋がってゆく。
 
夢操作、という能力だ。
 
現実に起きた悪夢から目覚めるために、明寿は佐伯の夢を操る。
 
夢か現実か、それともこれは正夢か。
 
 
 
 
 
真っ暗だった。
 
何もかもが悪夢だったと思いたいから真っ暗なのか、それとも初めから真っ暗だったのか。
 
怖いから暗いのか、暗いから怖いのか、何もわからない。
 
自分の人生は何故こうも苦しいのだろう。
 
上手くいかないのだろう。
 
いや、違う。そう、そうだ、今は違うはずだ。
 
昔はそうだった。だが、今は幸せな生活をしていたはず。
 
優しい仲間と暖かな住居、そして愛おしい主人がいつも近くにいるという夢のような時間を過ごしている。
 
自分は何故眠っているのか思い出せない。
 
目覚めなければ、朝が来る。
 
早く起きて身だしなみを整えて、綺麗な姿で主人の前に行き、いつものように挨拶をするのだ。
 
(明寿様…、早く起きて…挨拶を…、今日の予定は……)
 
金縛りにあったかのように体は動かず、思考も働かない。
 
佐伯は必死に閉じている目を開こうとするが、全身が重苦しくて動くことができずにいる。
 
朦朧とする意識の中、ふと遠くの方から誰かの声が聞こえた気がした。
 
この声は聞き覚えのある声だと気付き、それが誰なのか必死に思い出そうとする。

 
  
「…き、……さ…え…、…き………」
 
 
 
声が近付いてきている。その声は佐伯の眠るベッドの前で止まった。
 
動かない体をどうにか動かそうと力を入れるが、やはりどうしても動けない。
 
佐伯は必死に目を開けようとした。
 
しかしそれも難しく、体はピクリとも動かない。
 
すると、耳元でその声が静かに囁いた。
 
 
 
「佐伯、そろそろ起きてよ。僕はもう起きてるんだから、君も早く起きて。今日は外出の予定があったでしょう?そろそろ時間だよ。ほら、起きよう…」
 
 
 
優しく頭を撫でられ、頬に手が添えられる。
 
暖かくて優しい声だった。
 
そう、この声は、この声の主は、彼だ。
 
 
 
「…あ、きと、し、さま……」
 
 
 
突然体が軽くなり、瞼が開いた。
 
金縛りのように固まっていた全身から力が抜け、佐伯はようやく口を開くことが出来たのだ。
 
ベッドに横になったまま視線を彷徨わせ、ようやくその姿を見つけた。
 
何故思い出せなかったのか、声の主は明寿だった。
 
よく見ればこの部屋は明寿の私室で、自分は明寿のベッドで眠っていたようだ。
 
早くベッドから出なければと思う反面、未だに体は動かすのが億劫だった。
 
ぼんやりとした表情で何かを考えている佐伯に、明寿はクスッと笑いながら言う。
 
 
 
「まだゆっくり寝てたらいい。無理に思い出さないでいいよ。昨日、お前は体調不良で倒れたんだ。最近あんまりご飯食べれてなかったみたいだね、少し栄養失調気味だって医者が言ってたよ。点滴を打って貰ったから少しは顔色も戻ったみたいだね」
 
「…すみません、食欲がなかったので…」
 
「ふふふ、しばらくデスクワークばかりで外出してなかったし、佐伯と話す時間もなかったから、寂しかったのかな?」
 
「いえっ、あ、あのっ、…その、………は、はい……、私も、明寿様と…、一緒に、過ごしたかった…です…、…いつも、明寿様のことばかり、考えてました…」
 
 
 
頬を赤く染め、佐伯は恥ずかしそうに視線を逸らした。
 
明寿はそんな佐伯の姿にまたクスリと笑い、自然な動作で手を伸ばして佐伯の上半身を起こしてやった。
 
佐伯は寝間着姿の自分に気付くも、いつ着替えたのかも覚えていない。
 
倒れたことさえ覚えていないのだ。きっと誰かが、もしくは明寿本人が着替えさせてくれたに違いない。
 
自分の体調管理さえまともに出来ないとは、まったく情けない話だ。
 
明寿はそんな佐伯の思考を読み取り、また少し笑う。
 
 
 
「今日は僕の部屋で療養しよう。食事は後で持って来させるよ。たまには二人で静かにのんびり過ごそうか」
 
「…あ、で、でも、明寿様はお忙しいのに…っ…」
 
「たまには僕だってゆっくりした時間を過ごしたいんだ。最近忙しかったから少し疲れてるし、佐伯と全然話が出来なかったからね」
 
「明寿様…」
 
 
 
明寿の言葉に佐伯は嬉しそうに小さくはにかんだ。
 
それからしばらく他愛ない話をしながら時間が過ぎた。
 
ふと、明寿は思い出したようにポンッと手を叩き、佐伯に言った。
 
 
 
「佐伯が起きたら着替えさせてあげようと思ってたんだった。寝てる間に汗をかいてたからね。お湯とタオルも用意してたんだけど冷めちゃったから取り替えてこよう」
 
「えっ、あっ、自分でできますから…っ」
 
「何言ってるのさ、まだ体に力が入ってないみたいだし、僕がそれくらいしてあげるよ。とりあえずもう一度お湯を持ってくるから」
 
「あ、明寿様っ……」
 
 
 
佐伯の返事も聞かぬまま、明寿はさっさと冷めたお湯の入った容器を持って部屋から出て行ってしまった。
 
部屋に残された佐伯は伸ばしかけた手を下げ、じいっとそのまま動かずにぼんやりと閉まった扉を見つめているだけだ。
 
少しして明寿は戻ってきた。
 
容器の中にはホカホカのお湯が入っており、白い湯気が立っている。
 
明寿はタオルをお湯に入れて絞った。
 
 
 
「服を脱がせてあげるからじっとしててね」
 
「…はい」
 
「よいしょ、はい、次はズボンの方」
 
「…」
 
 
 
抵抗することなく佐伯は明寿の言葉に従い寝間着を脱いでゆく。
 
最後には下着も脱がされ、とうとう佐伯は裸になった。
 
おとなしく言われた通りにする佐伯に、明寿はニコッと笑いながらタオルを持ち、優しい手つきで体を清め始めた。
 
佐伯の痩せ細った真っ白な体には無数の古い傷跡があり、それを見たことのある者は明寿ただ一人だけ。
 
着替える時も、入浴する時も、佐伯は誰にもその体を見せたことは無い。
 
それを見ていいのは明寿だけ、明寿だけなのだ。
 
佐伯が安心して体を見せられるのはきっと明寿しかいない。
 
 
 
「佐伯の体はいつ見ても綺麗だねぇ。真っ白で、艶があって、とても綺麗」
 
「…っ、こんな、傷だらけの体が、綺麗だなんて…」
 
「お前は綺麗だよ、全部、綺麗。僕がそう思うのは佐伯、お前だけなんだよ。だから誰にも見せちゃだめ、その体は僕だけが知ってればいいんだから。その体は、僕のものだよ」
 
「……はい、明寿様…」
 
 
 
何故か涙が出そうになった。
 
こんな傷だらけの醜い体が綺麗だなどと、この体が明寿一人だけのものなのだと。
 
時々明寿はそう言って佐伯の体を愛おしそうに見つめ、優しく触れてくる。
 
綺麗に全身を清められ、明寿は満足したようにうんうんと頷いた。
 
すると明寿は全裸のままベッドに腰かけている佐伯に視線を送り、静かに笑う。
 
佐伯は嬉しそうに頬を染め、視線を下げる。
 
それを見て明寿は佐伯の体がまあまあ回復したことを確認し、久しぶりに少しだけ、佐伯の体で遊ぼうと考えた。
 
 
 
(うんうん、顔色も良くなったし、体も清めたし、あとは腹にわだかまってるものを出させてあげればスッキリするんじゃないかな。…ふふっ、それじゃあ、始めようかな)
 
 
 
明寿は神経を集中させ、佐伯を見た。
 
全裸のままということもあり、佐伯は少し恥ずかしそうにもじもじしているが、明寿の指示を待っているようでじっとしている。
 
可愛いな、と思いながら明寿は佐伯に告げた。
 
 
 
「佐伯、僕の目を見て」
 
「あ、…は、い……」
 
 
 
明寿の目を見た瞬間、佐伯の思考が停止した。
 
視線を合わせたまま動かなくなり、まるで人形のようだ。
 
そして明寿の暗示が始まった。
 
 
 
『佐伯、お前は今から全身が敏感になる。僕が触れた場所は全て性感帯になって、今にも射精しそうになるけど、僕がいいって言うまでは絶対に射精できないんだ。わかったね?』
 
「…はい、明寿様…、わかり、ました…」
 
『いい子だね、それじゃあ、3、2、1、…ゼロ』
 
「…っ…、………?」
 
 
 
明寿の暗示は成功した。
 
佐伯は少し体をビクつかせ、意識を取り戻した。
 
不思議そうに首を傾げ、明寿を見る。
 
 
 
「ふふふ、少しぼんやりしてたみたいだけど、大丈夫?」
 
「は、はい。大丈夫、です」
 
「さて、とりあえず新しい寝間着を着ようか。この寝間着は薄くてとってもサラサラしていて気持ちいい生地だから、多少汗をかいても気にならないと思う。下着も同じ素材だから、不快感がなくていいかもね」
 
「ありがとうございます、明寿様」
 
「うん」
 
 
 
佐伯は明寿に促され、下着に足を通した。ピッチリしたビキニタイプのパンツだったが、言われた通りとてもサラサラしていて履き心地が良かった。
 
すると明寿がズボンを手に取り、佐伯に足を上げるように言う。
 
 
 
「ほら、足上げて」
 
「え、あ、自分で…」
 
「いいから。はい、右足上げて~」
 
「んあっ」
 
 
 
明寿の手が足首に触れた瞬間、佐伯の全身に快楽のようなものが走った。
 
片足を抱え上げられ、佐伯はブルブルッと腰を痙攣させ、戸惑ったように目をギュッと閉じる。
 
それを見た明寿はクスッと笑い、抱えていた片足をズボンに入れ、次にもう片方の足も同じように手で掴み、グイッと抱え上げた。
 
 
 
「んうううっ!!」
 
 
 
ビクンッ
 
ブルブルブルッ
 
 
 
一瞬、佐伯の体が激しく震え、射精をせずに絶頂してしまったようだ。
 
絶頂の余韻に上半身がグラリと傾き倒れそうになる。
 
ガクガクと小さく痙攣しながらどうにか踏ん張り、少し前屈みになりながらも倒れることはなかった。
 
そんな佐伯の様子を見て、明寿は楽しそうにじっと観察している。
 
今度は上着だ。
 
 
 
「それじゃあ次は上着を着ようね。はい、右手から」
 
 
 
そう言いながら明寿は佐伯の手を掴み、グイッと前に伸ばす。
 
すると、佐伯はガクッと仰け反り、目を見開いた。 
 
 
 
「ひいいんっ!!」
 
 
 
顔を真っ赤に染め、佐伯は伸ばされた手から来る絶頂感に悲鳴を上げる。
 
明寿の触れた右手から胸を通り抜け、腹にまで押し寄せてきた快感に、どうすることも出来ずに震えるだけだ。
 
気付かないフリをしながら明寿は佐伯の右手を袖に通し、次いで左手も同じように袖を通してやった。
 
両手から突然襲ってきた快感が全て腹の奥に溜まり、佐伯の全身が何度も絶頂して激しくビクついている。
 
その間も明寿は黙々と上着を着せ続け、最後の仕上げにボタンへと手を伸ばす。
 
 
 
「あとはボタンを留めて終了だね~」
 
「あう゛んっ、あ゛あ゛っ、あぁっ、あっ、ん゛う゛ーーっ」
 
「こら、動かないで。ボタンが留められないでしょ」
 
「あ゛あ゛んっ!!」
 
 
 
明寿はそう言いながら、わざと佐伯の乳首に指先をかすめた。
 
途端に佐伯の乳首は興奮して勃起し、ブクッと伸びて真っ赤に充血してしまった。
 
それでも明寿は気付かぬフリを続けているため、何度も勃起した乳首に指で触れ続け、佐伯は何度も射精のない絶頂をし続けている。
 
射精できるのは明寿がよしと言った時だけであり、その許しが出ない限りは決して射精することはない。
 
そのようなことを知る由もない佐伯はただひたすら絶頂するだけだ。
 
のんびりとボタンを留め続け、ようやく最後のボタンが留められた時にはすでに佐伯の表情はドロドロに蕩け、目には快楽による涙が溢れていた。
 
明寿は楽しそうに笑い、佐伯に言う。
 
 
 
「はい、完成。…あれ?佐伯、ちょっと顔が赤いね。もしかして熱があるんじゃないの?どれどれ…」
 
「ん゛うっ、…はぁっ、はぁっ、はぁっ、…んぐぅっ、あっ、あっ、あ゛ぁーーーっ」
 
 
 
明寿の手が佐伯のおでこに当てられた瞬間、激しい絶頂感が佐伯の脳内を巡った。
 
脳イキ状態に陥った佐伯は、全身を激しく痙攣させ、ドサリとベッドに横たわってしまう。
 
 
 
「あっ、大丈夫?ちょっともう一回熱を見させてね。どれどれ」
 
「ひぎぃっ!!ん゛お゛っ、あ゛ぁぁーーーっ!!」
 
 
 
おでこに触れていた明寿の手は離れたものの、絶頂の余韻が冷めぬうちに明寿の手が再びおでこに当てられ、佐伯はまた脳イキ状態となり、全身を襲う激しい絶頂感に狂ったように悲鳴を上げ続ける。
 
脳内を次々と襲う絶頂感に、佐伯の体はベッドのスプリングによって跳ね上がり、何度も手足がピンッと伸びて硬直した。
 
ペニスは既に勃起しており、体が跳ね上がるたびにブンブンと激しくバウンドしている。
 
明寿はその様子を見ながら声を出して笑った。
 
 
 
「あははっ、佐伯ってば可愛いんだから。そんなに気持ちいい?僕に触れられるの、嬉しい?」
 
「ん゛ぐぅうううっ!!う゛っ、う゛っ、う゛れ゛じぃっ、う゛れっ、じっ、ぃ、い゛ぃーーーっ!!」
 
「…ふふっ、可愛いね。お前は、本当に可愛い」
 
「お゛お゛ぉ゛っ、お゛っ、ん゛、う゛ぅぅぅ゛ーーーーっ!!」
 
 
 
ガクガクガクガクッ
 
ブルブルッ、ブルルルッ
 
ガクンッガクンッガクンッ
 
 
 
脳イキは佐伯には刺激が強すぎるようで、ベッドで激しくバウンドするたびに白目を向いて喘ぎ続けている。
 
何度絶頂しようとも決して射精することのないペニスは充血によって全体が真っ赤に染まりあがり、今にも破裂しそうだった。
 
これだけ溜め込んだあとの射精はどれほどの解放感だろうか、まさにその瞬間が訪れようとしている。
 
明寿は佐伯の鬼気迫る表情に嬉しそうに笑い、神経を集中させてゆく。
 
 
 
「さて、そろそろお開きにしようか。佐伯、お前は気持ちいいことだけ覚えていたらいいんだ。痛かったことや、怖かったこと、辛かったことは全て夢の中の出来事だったんだ。そんな夢、全て忘れてしまいなよ。お前は楽しいことや気持ちいいことだけ覚えていればいい。そうすれば、きっと明日からまた笑って生きていけるんだから。ね、佐伯、何もかも全て夢だったんだよ。目が覚めたら、また、楽しい日々の始まりだ」
 
 
 
「ん゛う゛ううーーーっ!!」
 
 
 
明寿の声は佐伯には聞こえていない。
 
快楽に喘ぎ、狂ったように痙攣している。
 
クスリと笑いながら、明寿は言った。
 
 
 
『いいよ、イって、全部吐き出せ』
 
 
 
その言葉が佐伯の耳に届いた瞬間、佐伯の目玉がグルリと裏返り、全身がビインッと伸びて硬直した。
 
硬直したまま腰がグインッと上がり、勃起したペニスの先がクパアッと開く。
 
そして、ブシャッと音を立てながら真っ白な精液が天井に向けて、何度も噴水のように噴き上がっていた。
 
 
 
ブシュァッ!!
 
ブシュッ!!
 
ブシッ!!
 
ブシャアアッ!!
 
ブシュッ、ブシュッ、ブシュッ!!
 
 
 
「ん゛ぐお゛ぉ゛お゛おおおおーーーッ!!お゛あ゛ぁぁぁーーーっ!!ん゛ふぅん゛ーーーっ!!」
 
 
 
プシィイイイイッ!!
 
プシュッ!!
 
プシャアアアアアーーーッ!!
 
 
 
とうとう精液が尽き、佐伯のペニスは潮吹きを始めてしまった。
 
どれだけこの薄い腹に溜め込んでいたのか、というほどに勢いのある潮吹きに、明寿は楽しそうに鑑賞している。
 
次第に勢いは衰え、ようやく潮吹きが終わろうとしていた。
 
 
 
「そろそろ終わり、かな?…あ、まだあった」
 
 
 
プシッ…
 
…ショロ…
 
…ショオオオォォ……
 
 
 
「…んっ、…は、ぁ……、…ぁ、…ん……」
 
 
 
潮吹きが終わり、ぐったりとした様子の佐伯を見ていると、くたりと萎びたペニスから最後の仕上げと言わんばかりに尿が漏れ始める。
 
全身から力が抜け、膀胱に残っていた少量の水分が全て吐き出されてゆく。
 
佐伯は気持ちよさそうに小さな声で喘いでいる。
 
しばらくして佐伯の声が聞こえなくなり、明寿はチラリと表情を覗いた。
 
気が付けばすでに佐伯は気絶したように眠っており、ふうふうと荒く息を吐き出しながら目を閉じていた。
 
クスッと笑いながら明寿は佐伯の頬に手を当て、スリスリと撫でてやる。
 
 
 
「…全て夢だったんだ。だからお前は明日から、また僕の運転手として、可愛らしく隣で笑っていればいい。僕の大切な佐伯、愛おしい佐伯」
 
「……ん、ぅ……」
 
 
 
明寿は佐伯の頬を、壊れ物を扱うかのように優しく撫で続けていた。
 
そう、全ては夢だったと、言い聞かせるように。
 
 
 
 
 
 
 
朝が来た。
 
今日は何日か、今日の予定は、何だっただろうか。
 
 
 
「………っ…」
 
 
 
バサッ
 
 
 
ハッとしたように佐伯は勢いよくベッドから起き上がった。
 
何か長い夢を見ていたかのような錯覚。
 
しかし、体はとても軽かった。
 
悪夢だったような、それとも幸せな夢だったような、不思議な感覚。
 
確か昨日は…
 
思い出そうとしても何も思い出せず、佐伯はスマホに手を伸ばした。
 
今日の予定を確認するためだ。
 
 
 
「明寿様はお休みの日…」
 
 
 
珍しく明寿は今日、予定が何も入っていなかった。
 
佐伯は朝の挨拶に行くため、着替え始める。
 
もしかすると今日はゆっくり話でも出来るかもしれないと思い、佐伯はいそいそと着替えを済ませた。
 
すると、スマホに着信が入り、佐伯は慌てて発信者を確認する。
 
画面を見て佐伯は少し嬉しそうな顔をして画面をタッチした。
 
 
 
「はい、佐伯です。おはようございます、明寿様。…え、今日、ですか?ええ、大丈夫です。…はい、はい、わかりました。それではすぐに車の用意をいたします。…はい?一緒にランチ、ですか?…はい、是非、…はい、それでは失礼いたします…」
 
 
 
電話が終わり、佐伯は嬉しそうに笑った。
 
明寿から用事があって外出するので車を出すように言われ、その用事が終わった後にランチへ誘われたのだ。
 
久しぶりの外出と二人だけのランチ。
 
用事のための外出ではあるが、まるで明寿を今日一日独り占め出来るような気がして嬉しくなったのだ。
 
身嗜みを整え、浮ついた気持ちを落ち着かせるために深呼吸をする。
 
 
 
「…ふうー、………ふふっ…」
 
 
 
嬉しくて仕方がない。どうしても笑顔になってしまうのだ。
 
しかし、明寿専用の運転手としてしっかりと車の運転を操作しなければいけない。
 
もう一度深呼吸をして気持ちをしっかりと落ち着かせる。
 
どうにか落ち着きを取り戻し、佐伯は部屋から出て行った。
 
 
 
 
 
 
 
電話が終わり、明寿はスマホを机にそっと置いた。
 
会話の中で佐伯の声が少し明るくなったのを感じ、喜んでいるのだとわかった。
 
あのことは覚えていないようだ。
 
あれは忘れた方がいい。
 
もう二度と、あのようなこと、あってはならない。
 
次、また同じようなことがあれば、佐伯はきっと死んでしまうだろう。
 
愛おしい佐伯を、好きにしていいのは自分だけなのに、彼らはやってはならないことをしてしまった。
 
だから、それ以上の報復を受けても仕方がない。
 
きっと今頃、彼らは死よりも辛い状況に陥っていることだろう。
 
しかし、それを憐れむほどの心はない。
 
当然の報いだからね。
 
 
 
「そう、あれは夢だったんだよ」
 
 
 
だから全て忘れて、また僕の運転手として笑っていてよ。
 
汚いモノは処分したから、大丈夫。
 
全ては悪い夢だったんだ。
 
ね、僕の可愛い佐伯。
 
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