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24 帰る場所 ※R18
しおりを挟むアリウスの帰還に、皆は涙を流して喜んだ。
東の国に捕らえられ行方知れずとなったアリウスを、皆はとても心配していた。きっともう、会えないのだと誰かが泣きながら言い、誰かはそんなはずはないと怒った。
諦めかけ、東の国の攻撃に疲れ切っていた時、一羽の美しい鳥が空に飛ぶのを見た者がいた。
一人が叫び、一人は口を開いていた。一人、また一人、極彩色を纏う美しい鳥に魅了され、誰もがその姿を目に焼き付けた。
キイィーーーー…
甲高い鳴き声を上げ、鳥が地面へ急降下する。そしてその先に、彼がいたのだ。騎士団長アリウスが。
騎士兵たちは歓喜した。叫んだ。吼えた。アリウスの帰還に皆が、声を上げて喜んでいた。
まだ戦える、まだ終わらない、終われないと、アリウスを見た皆がそう叫んだのだ。
アリウスは手を上げ、あの美しい鳥をそっと腕に抱いた。慈しむように、目を細め、微笑みながら、鳥の首に飾られた琥珀色の宝石を撫で、何かを囁いていた。
顔を上げ、アリウスが叫んだ。
「東の国王が死んだ!!敵は撤退している!!もう争うことはない、全て終わった!!皆武器を捨て、笑い合おう!!皆で喜び合おう!!」
オオオオオオオオオオ………
皆の声が大空に木霊する。
その様子に、アリウスは静かに目を伏せ、鳥は慰めるように頭を擦り付けた。
「レイ、行こう。…帰ろう」
「うん、アリウス、一緒に帰ろう」
レイは静かにそう言い、目を閉じた。アリウスに抱えられ、レイは嬉しそうに笑う。
これでやっと終わったのだ。
アンドレイと誓った約束は、少し形が違えど守ることができた。そばに寄り添い、見守り続けることが彼の望みだった。天国できっと笑っていることだろう。
友と言ってくれた彼の最期の顔を、今でも鮮明に覚えている。泣きそうに笑いながら、息子を頼むと言った父親の姿を、レイは思い出し、空を見上げる。
青く澄んだ空と、照り付ける太陽。ずっと牢の小さな窓から見ていた頃と同じ色。今はそれをアリウスと見ている。
愛してると言ったアリウスに、愛してると返したレイ。二人で同時に見上げた空はとても広く、どこまでも続く青い空は、美しかった。
白く細い体を赤く染め、少し潤んだ赤い宝石が、恥ずかしそうにアリウスを見つめている。
部屋に戻り、アリウスはレイの唇にキスをした。
「…んっ、う…」
レイは苦しそうにアリウスの胸に手を置き、プルッと震えながら受け入れていた。
唇を放し、アリウスは少し戸惑うようにレイの手を握り、静かに耳元で囁く。
「レイ、好きだ、愛している。怖いかもしれない、苦しいかもしれない。だが、どうか俺を受け入れてくれ」
「…ふふっ、何をそんなにかしこまって言ってるのかい?僕もアリウスを愛してる。ずっと、ずっと、言いたかった。アリウス、愛してるよ」
「レイっ、…レイ…っ」
「アリウス…」
レイは東の国王に犯されていた。この細く今にも折れそうな体で、ずっと耐えてきたのだ。全身に残る傷跡に、アリウスは苦しそうにそっと指先で触れた。
そんなアリウスに、レイはクスリと笑いながら言う。
「アリウス、もう傷は痛くないんだ。だからそんなに苦しまないで。どうか、僕を…抱いて、欲しい…」
最後、恥ずかしそうに赤く頬を染め、俯きながら言うレイに、アリウスはその姿に堪らなくなった。
思い切り抱き締め、深く熱いキスをした。レイは必死に息をしながら受け入れ、腰を震えさせた。
美しいレイの姿を見ながら、アリウスはレイに覆いかぶさり、開かれた足の間に体を入れた。
顔が至近距離になり、見つめ合うと、レイは恥ずかしそうに顔を反らし、アリウスは嬉しそうにレイの首筋にキスをした。
「あん……あ、…アリウス…」
「ん…」
レイの後ろに手を差し入れ、小さな蕾に指を一本入れ、潤滑剤で中をほぐしてゆく。全身が赤く染まり、レイの表情が少しずつ蕩けていくのを見て、アリウスは指を増やした。
ピクンピクンと小さく痙攣するレイ。歓喜の涙を零し、蕩けた視線をアリウスに向ける。
そんなレイの表情に、アリウスのペニスが次第に硬く太くなる。レイの蕾から指を抜き、アリウスの太いそれが擦りつけるように擦るような動きで刺激する。
アリウスは静かな声で、レイの耳元で言った。
「…入れるぞ」
「うん、入れて…」
レイの言葉に、アリウスは少し息を乱しながらペニスをゆっくりと入れた。
ヌチ…、ヌチ…
「あんん…っ、あっ、はぁっ…あん…、あ…」
「レイ、レイ、レイ…っ」
小さな蕾に、アリウスの全てが入る。息を整え、アリウスは動きだした。
レイはうっとりと目を蕩けさせ、口を小さく開いたまま喘いだ。
「あうっ……あんっ、…あっ…んふうっ……」
「痛くないか?」
「あっ、んっ、んっ、…うんっ、き、もち、い……アリウス…っ」
「…レイ…っ」
次第にアリウスの動きが早くなり、レイは恍惚とした表情で感じ入っている。何度も奥まで穿たれ、レイのペニスも硬くなっていた。
トロリと汁がペニスの先から零れ、キュウウッとレイの後ろが締まる。そろそろ限界らしい。
アリウスは腰を激しく動かし、少し唸りながら射精した。
「…くっ、……レイ…っ」
「あんんっ!!あっ、ああっ、あううっ!!」
ビクッ、ビクッ、ビクッ
レイの体が大きく痙攣した。ペニスから精液を零し、レイはアリウスと同時に絶頂していたようだ。
体を痙攣させ、レイはぼんやりとアリウスを見つめている。
始めての快楽に、レイは思考が追い付かないらしい。
ヌポッ……
「…あっ……あ、……っ」
アリウスのペニスが抜かれ、レイはその衝撃に小さく悲鳴を上げた。蕾がキュウウッと閉じ、ブルブルと尻が痙攣している。
余韻が残り、レイの体が勝手に痙攣しているのだろう。アリウスはレイの体を強く抱きしめ、その余韻が治まるのを待っていた。
しばらくすると、レイの全身から力が抜かれ、現実に戻って来たらしい。
はあはあと息を漏らしながら、レイが嬉しそうに笑った。
「アリウス…」
「もう、大丈夫か?痛みは?」
「心配性だね」
「ああ、そうだ。俺は心配性なんだ。レイが少し体調を崩すだけで心配になる。…大切なんだ、レイ、お前が」
「…ありがとう、アリウス」
幸せそうにレイが笑う。アリウスは少し照れながら、口を閉じていた。
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