不死鳥の愛した騎士団長【完結】

まむら

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19 拒絶 ※R18

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僕は拒絶した。
 
死んだとしても体は生まれ変わり、また何も知らない自分になる。
 
でも、死ぬことは出来なかった。
 
だって、アンドレイとの約束だけは、忘れたくなかったんだ。
 
忘れないために、僕は全てを拒絶した。
 
空へ逃げ出す、その日のために。
 
 
 
 
 
東の国王は永遠の命のために、鳥の青年との契約を望んだ。
 
しかし、鳥の青年は拒絶した。
 
名前を拒む鳥の青年に怒り、何度も傷をつけ血を啜り、羽根を捥ぎ加護を求めたが、鳥の青年は全てを拒絶したのだ。
 
瀕死の状態になっても、鳥の青年は生まれ変わることさえ拒絶した。
 
死を拒絶した鳥の青年に、東の国王は益々怒り、とうとう鳥の青年の体を暴いた。
 
「鳥よ、何故こうまでして死さえ拒む?儂の怒りを買ってまで生きる理由は何だ?」
「…ぐっ、…理由なんて、ないさ。僕の体は傷ついても再生する。死を望めば生まれ変わって、また僕が始まるだけ。生きるも死ぬも僕の選択次第さ」
 
鳥の青年は血の滲む背中の痛みに耐えるように俯き、涙を零している。羽根が抜かれ激痛が全身を襲い、鞭で打たれた全身に蚯蚓腫れが浮き出ている。
 
それでも鳥の青年は痛みから逃げることなく、生きようとしている。
 
死んでしまえば痛みは消え、生まれ変われば恐怖も忘れてしまえるのに。もう何度も繰り返してきたことだ。今更一度我慢したところで何が変わると言うのか。
 
王は疑問に思いつつも、鳥の青年に問うことはなかった。
 
そのような問題は些末だとでも言うように、王はひたすら鳥の青年に名前の契約を持ちかけていた。しかし、何度繰り返そうと、鳥の青年は王を拒み続けた。
 
「鳥め、何度生まれ変わり記憶をなくしても、何故儂との契約を拒む?美しく生まれ変わる度に大切に扱い、甘い言葉で愛でてやっているというのに、拒む理由がわからぬ」
「…きっと、僕の心が君を拒絶しているんだ。何度繰り返そうとも、僕は君を拒絶するだろう」
 
鳥の青年は苦しそうに息を乱しながらも、王を見てそう言った。答えはいつも同じだった。
 
ついに王は激怒した。鳥の青年の胸元を掴み、ギロリと恐ろしい視線で睨みつける。
 
「鳥ふぜいが生意気な!!儂と名の契約を交わせ!!その名のもとに、儂の願いを聞き入れよ!!」
「ゲホッ、…っ、それは出来ない。絶対に…っ」
 
それを聞いた瞬間、王の目がギョロリと見開き、鳥の青年は激しく地面に叩き落とされた。
 
ズザザッ!!
 
「うぐう…っ」
 
怒り狂った王は、鳥の青年に近付き腰を下ろすと、腕を伸ばして鳥の青年の衣服を全て千切り取った。鳥の青年は驚いたように王を見た。
 
王は怒りのまま鳥の青年の体に覆いかぶさり、片手で鳥の青年の両腕を一纏めにすると、もう片方の手でパンッと頬を叩いた。
 
「…あぐ…っ」
 
痛む頬に、鳥の青年は体を震わせる。王は何度も手を振り上げ、鳥の青年の頬を叩き続けた。
 
パンッ!!パンッ!!パンッ!!
 
「ぐうっ、…んぐっ、…ひうっ…っ」
 
真っ赤に腫れた頬に、王はニタア…と笑う。痛みと恐怖で震え、動けなくなった鳥の青年の両手から手を放しても、鳥の青年はもう痛みと疲労で抵抗さえできない様子。
 
王は鳥の青年の体をひっくり返してうつ伏せにすると、小さな尻を見つめた。
 
「不死鳥の体を暴くのも一興。こうなれば別の方向から痛めつけ、無理やりにでも契約させるまで…」
「ひいっ、やっ、な、何を…っ、やだっ、やめてっ、やめてーっ」
 
王は鳥の青年の小さな尻を両手で掴み、その感触を楽しむかのようにやんわりと揉んでいく。
 
その行為に、真っ青な表情で驚愕した鳥の青年は、逃げようと抵抗するが、震える体では全く力が入らない。気持ち悪いと心の底から感じ、恐怖で涙が零れた。
 
嫌だ、やめて、怖い、誰か、助けて、誰か、………アンドレイ。
 
最後に見たアンドレイの顔を思い出し、鳥の青年はギュッと血が滲むほど唇を噛み締めた。
 
抵抗をやめた鳥の青年に、王は気味の悪い笑みを浮かべながら行為を続ける。尻を揉んでいた手が次第に蕾へと移動し、グチリと指が入れられた。
 
痛みに体を強張らせ、歯を食い縛っている。
 
蕾の皺を伸ばすように、王の指が二本、三本と増え、中を掻きまわしてゆく。
 
グチッ、グチッ、グチッ…
 
「ふぐううっ、いっ、ひいっ…いぎっ、…ひっ」
 
痛くて、苦しくて、堪らなかった。激痛が襲い、鳥の青年は血の滲む背中を丸めて耐えている。
 
王の行為は益々加速し、太い指が抜けるころには、とうとう後ろの穴は切れて血が垂れていた。ジンジンと痛みが前進を襲うようで、鳥の青年は涙を流しながら耐え続ける。
 
全身から汗が噴き出して、恐怖にブルブルと震えている。
 
すると、王は細くて今にも折れそうな鳥の青年の腰をガシッと掴んだ。
 
鳥の青年は、赤く腫れた蕾に何かが触れるのを感じ、後ろを振り向くと、その表情が真っ青になった。
 
王の硬く張り詰めたペニスが、その痛々しく血を流す蕾に入ろうとしていたのだ。鳥の青年はガクガクと震えながら抵抗したが、弱り切った体ではどうすることもできなかった。
 
グチュウッ!!
 
「ひいぐううううっ!!いああああああっ!!」
 
ガクンガクンガクンッ
 
勢いよく王のペニスが蕾を貫き、腸内へと侵入した。あまりの衝撃と激痛に、ショックで全身がガクガクと震え、鳥の青年の意識は朦朧となった。
 
しかし、王はグチャリと音を立てながらペニスで腸内を往復し、鳥の青年の奥深くまでを犯してきたのだ。
 
悲しみに抵抗を忘れた体が、後ろから大きく揺さぶられ、血の滴がポタポタといくつも地面に染みを作ってゆく。体が、心が悲鳴を上げていた。
 
それでも鳥の青年は、アンドレイの言葉を思い出し、死を踏み止まった。
 
駄目だ、まだ駄目なんだ。死んではいけない、記憶を消しては、いけない。
 
それだけが、鳥の青年の心をどうにか壊さないでいた。アンドレイの最期の顔が脳裏に浮かび、鳥の青年は王の行為が終わるまで、必死に耐えた。
 
ドクンッ、グジュッ…
 
「…っ……、…はっ……うっ……」
 
奥の奥まで突き込まれ、精液を吐き出された。もう、息をするのも苦しかった。
 
ヌプリと王のペニスが抜かれ、後ろからドロリと王の放った精液が漏れ出してきた。気持ちが悪い、と鳥の青年は身震いした。
 
次第に視界が暗くなり、鳥の青年は気絶してしまった。
 
王は冷静さを取り戻したように服を整え、グチャグチャに汚れて気絶した鳥の青年を見た。
 
「鳥め、いつか契約を受け入れさせてやる…」
 
そう言い残し、王は去っていった。
 
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