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45.恋人という名の都合のよい関係
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吉川との付き合いは今までの都合のよい友人関係に、都合のよい性的な関係が加わっただけどもいえた。
今でこそ同性との性交を受け入れてはいるが、桐原がは元々性癖的に男を受け付けなかったのでかなり抵抗はあった。
それでも拒絶して孤独になるのを恐れていたし、セックスが上達するにつけてそれが気持ちよいもので、してるときは寂しさを忘れられるということを悟ると、諦念じみた気持ちをもって吉川に抱かれるようになった。
吉川は興味から拓いた桐原の身体を気に入ったのか、仕込むことに熱心になり、成功するとそれなりの執着を見せるようになった。
恋人へのあこがれはあったがもっと違う…愛のある関係を望んでいた。
だが、桐原はすでに家族の愛情を失っているため、これ以上失うことを恐れていて、それで満足するしかなかった。
ただ、吉川はDOMである。
SUBなのが原因で親が豹変した桐原は、SUBなのがばれるのだけ隠し通していた。
幸いなことに、この頃桐原のSUBらしい面は発現する兆しは全くなかったし、コマンドなどなくとも吉川は簡単に桐原に言うことをきかせることができた。
皮肉なことに、この頃の経験から桐原は言葉や態度で相手を揺さぶり、自分の思った通りに動かすやり方を学んだ。
蜜月期が過ぎると吉川はいよいよ増長し、桐原を放置して遊びに行ったり、堂々と女性と付き合うことすらもあったが、桐原は淡々とそれを受け入れた。
嫉妬したり激しい感情を感じられないほど心は鈍っていた。
不思議なことに束縛しない分楽なせいか、吉川の中では桐原の存在感は増したらしい。
他の“恋人“と切れても切れなくても桐原と吉川の関係はずるずると続いていた。
やがて、3年生になると周囲は慌ただしくなった。
彼等の通っている高校が進学校だったためである。
桐原は地元の国立大学を受験をする予定であった。
早く家を出たい気もしていたが、たとえ居心地が悪くても家から離れるのは不安だった。それに対して、吉川は一人暮らしをするために他県の私立に通いたいようだったようだ。
「俺と同じ大学に行って、一緒に暮らしたらいいのに」
などと軽く吉川は言うが、間違いなく便利だからだろうと桐原は看破してはいた。
2年もそれなりの関係を続けてきて、桐原も情愛のようなものはあったから、心は揺らいでいた。
---あるいは執着、依存の類だったのかもしれない。
「そういえばさ、圭司。SUBって見たことある?」
いきなり話をふられて、桐原の心臓は大きく跳ねた。
「SUBって、その…テレビとかでは…見たことがあるけど」
動揺を押し隠して答えたが、声が少しうわずってしまったかもしれなかった。そもそも吉川は桐原を大して気にしていないので微妙な表情の変化などは気づきもしなかった。
「そうそう。俺はDOMだけどさ、はじめてSUBに会ったんだよ」
それなりに栄えてはいてもここは地方都市であるから、まだまだ保守的な気風がある。
ただでさえ少数であるSUBの人間とどこで知りあい、カミングアウトすることになったのだろうか。
「どこで?」
「クラブで、知りあったんだよ」
「悟は遊んでる暇あるの。受験があるのに」
「息抜きだよ。息抜き。硬いなあ、圭司は。真面目なんだからさあ」
いつもつるんでいる派手な集団と夜遊びでもしたようだ。この遊びに桐原はつきあわされたことはなかった。
見た目的な問題と、あとは女あさりの邪魔になるからだろう。
話しぶりからして多分"知りあった"だけでなく、その先までいったことは予想もついた。
「なんでSUBってわかったの?普通、おおっぴらに言わないだろ」
「俺の言葉に反応したからさあ。面白いもんだよな。コマンドっていうの?言った事に従うんだもんなあ」
吉川はそう言って笑ったが、桐原は背筋がゾワッとするのを感じた。
今でこそ同性との性交を受け入れてはいるが、桐原がは元々性癖的に男を受け付けなかったのでかなり抵抗はあった。
それでも拒絶して孤独になるのを恐れていたし、セックスが上達するにつけてそれが気持ちよいもので、してるときは寂しさを忘れられるということを悟ると、諦念じみた気持ちをもって吉川に抱かれるようになった。
吉川は興味から拓いた桐原の身体を気に入ったのか、仕込むことに熱心になり、成功するとそれなりの執着を見せるようになった。
恋人へのあこがれはあったがもっと違う…愛のある関係を望んでいた。
だが、桐原はすでに家族の愛情を失っているため、これ以上失うことを恐れていて、それで満足するしかなかった。
ただ、吉川はDOMである。
SUBなのが原因で親が豹変した桐原は、SUBなのがばれるのだけ隠し通していた。
幸いなことに、この頃桐原のSUBらしい面は発現する兆しは全くなかったし、コマンドなどなくとも吉川は簡単に桐原に言うことをきかせることができた。
皮肉なことに、この頃の経験から桐原は言葉や態度で相手を揺さぶり、自分の思った通りに動かすやり方を学んだ。
蜜月期が過ぎると吉川はいよいよ増長し、桐原を放置して遊びに行ったり、堂々と女性と付き合うことすらもあったが、桐原は淡々とそれを受け入れた。
嫉妬したり激しい感情を感じられないほど心は鈍っていた。
不思議なことに束縛しない分楽なせいか、吉川の中では桐原の存在感は増したらしい。
他の“恋人“と切れても切れなくても桐原と吉川の関係はずるずると続いていた。
やがて、3年生になると周囲は慌ただしくなった。
彼等の通っている高校が進学校だったためである。
桐原は地元の国立大学を受験をする予定であった。
早く家を出たい気もしていたが、たとえ居心地が悪くても家から離れるのは不安だった。それに対して、吉川は一人暮らしをするために他県の私立に通いたいようだったようだ。
「俺と同じ大学に行って、一緒に暮らしたらいいのに」
などと軽く吉川は言うが、間違いなく便利だからだろうと桐原は看破してはいた。
2年もそれなりの関係を続けてきて、桐原も情愛のようなものはあったから、心は揺らいでいた。
---あるいは執着、依存の類だったのかもしれない。
「そういえばさ、圭司。SUBって見たことある?」
いきなり話をふられて、桐原の心臓は大きく跳ねた。
「SUBって、その…テレビとかでは…見たことがあるけど」
動揺を押し隠して答えたが、声が少しうわずってしまったかもしれなかった。そもそも吉川は桐原を大して気にしていないので微妙な表情の変化などは気づきもしなかった。
「そうそう。俺はDOMだけどさ、はじめてSUBに会ったんだよ」
それなりに栄えてはいてもここは地方都市であるから、まだまだ保守的な気風がある。
ただでさえ少数であるSUBの人間とどこで知りあい、カミングアウトすることになったのだろうか。
「どこで?」
「クラブで、知りあったんだよ」
「悟は遊んでる暇あるの。受験があるのに」
「息抜きだよ。息抜き。硬いなあ、圭司は。真面目なんだからさあ」
いつもつるんでいる派手な集団と夜遊びでもしたようだ。この遊びに桐原はつきあわされたことはなかった。
見た目的な問題と、あとは女あさりの邪魔になるからだろう。
話しぶりからして多分"知りあった"だけでなく、その先までいったことは予想もついた。
「なんでSUBってわかったの?普通、おおっぴらに言わないだろ」
「俺の言葉に反応したからさあ。面白いもんだよな。コマンドっていうの?言った事に従うんだもんなあ」
吉川はそう言って笑ったが、桐原は背筋がゾワッとするのを感じた。
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