上 下
34 / 49

33.グレアが使えないDOM

しおりを挟む
一瞬、犬飼はひどく狼狽した。
そのスキに桐原は手を伸ばして犬飼がかけたままだった眼鏡を奪った。

犬飼は慌てて目を掌で隠すように覆ったがもはや隠しようもなく、いつも火花のようにもれているグレアが犬飼の目元から全く感じられなかった。

「…いつから?」

淡々と桐原は聞いた。

犬飼と微妙にすれ違うようになってからなんとなく違和感を覚えていたことがアレクシスの話を経てもやもやと疑惑になり、今ようやく核心を掴んだことになる。
だが、事が事だけにわかったからといて達成感を覚える類の事ではなかった。
DOMである犬飼にとって――一時的なものであるのかもしれないが、能力の喪失というのがどういうものなのか、SUBである桐原には認識が難しいものであるからだ。

沈黙した後、犬飼は桐原の手から眼鏡をとりサイドテーブルに投げた。
いつになくなげやりな、らしくない仕草だった

「……どうでもいいでしょう。集中してくださいよ」

苛立たしげに言うと、犬飼は視線を遮るように再び体を裏返した。桐原の視界にシーツの波が広がる。
間髪いれず背中に覆い被さってきた肌がじかに触れるてくれば、半端に途中で放り投げられて燻っていた欲情はすぐに戻ってくる。とりあえず桐原は恋人としての責務を優先することにした。
手を伸ばして犬飼の男根を探り触れると、すでにいきりたっていたものが更に太さと大きさを増す。
凶器じみたそれを受け入れることが可能だろうかと、桐原は今更ながらに怯んだ。

犬飼は彼が経験豊富ではないかとと疑いを持っているようだが、実際、桐原が同性と体を重ねたことがあるのはかなりの昔、学生時代まで遡る。未経験なわけではないが、余裕というほどしてもいない。

「――それ、大きい…無理かも…」
 
「いまさら怖気づいなんて言わないでくださいよ。桐原さんに無理なんて言葉似合わないでしょう。足開いて」

耳元で命じられてしぶしぶ少し足を開くと、太股を捕まれぐっと開かされる。
男を迎い入れる体勢になり、さすがにカッと顔が熱くなった。
だが、犬飼は直接性器にはふれず、足の根元や内股、脇腹などの敏感な部分に愛撫を施し始めた。
優しく撫で、時に焦らすような指と舌の動きに肌の下で蟠っていた快感が高まり、ぞわぞわと身体中の肌が粟立った。
充分桐原を高め、蕩かせてから犬飼は双丘に指を滑らせた。
後孔に触れられて桐原の身体がびくりと跳ねた。

「・・・きっつ。力抜いて」

犬飼は擽るようにそこを指先で撫でた。
強引にえぐられるのに怯えていたそこに、指より柔らかいものが触れる。
犬飼の舌だった。
ねっとりと淫靡な動きでそこをぴちゃぴちゃと音を出して舐められ、桐原の身体は羞恥に赤く染まった。

「・・・っ・・・それはっ・・・ああっ・・」

「急だったので、ローションとかないんです。しっかり濡らさないと痛いのは桐原さんですよ」

下肢に顔を埋めたまたくぐもった声で犬飼は言うと、狭間の奥を舌でこじ開けて丁寧に濡らした。
柔らかい舌で浅く犯されると、下肢がじんじんと疼いた。舌でさんざん蹂躙されたあとには今度は指での攻めに変わり、指が浅いところを何度か抜き差ししたと思うと、中へと入ってくる。
桐原は喉をのけぞらせて荒く息をつき、その何とも言えない感覚に耐えた。

「……はっ…あ…」

中をゆっくり広げながら入ってきたそれを後孔はヒクつきながら受け入れたが、慣れてないから中だけでは快感をひろえなくてきつい。
異物感に体を震わせていると、屹立した前を犬飼の長い指が捉えてゆっくり擦りあげてくる。
それにより引き出された快感に異物感を薄らされながら中を押し広げるように指が増やされる。慣らされてゆくにつれ疼くような快感が這い上がって、震えはだんだん違う種類のものにすり替わっていった。

「ーー中、めちゃめちゃ熱い…入れたい」

「……ああっ…」

開かれた後ろから指が抜けてゆく。
安堵と焦れたような感覚に捕らわれていると、そそりたったものの先端が後ろからあてられた。

「悪い、桐原さん…もう、俺、我慢できない」

来る、と思った瞬間。
ずぶりと入ってきたそれが挿入されるミチミチという聞こえるはずのない音が聞こえてくるような錯覚を覚え、頭の中が貧血を起こしたときのように真っ黒になった。
せっつまった犬飼の声が聞こえ、固く張り詰めた男根が奥まで付き入れられた。
焼け付くような感触に顎があがる。
そのまま激しく抜き差しされ桐原はえずいたが、それでも少しずつ体の芯からじりじりと熾火のような熱がうまれ、それがもどかしいような掴みどころのない快感になるのがわかった。
気がつけば挿入の衝撃で萎えていた性器が徐々に硬さを取り戻していた。 
それにつれて中は熱く蕩けたようになり、快楽の源である犬飼のものを放すまいと絡みついた。

「・・・すごい、気持ちよすぎてやばい」

大きく吐息をついた犬飼がおもむろに桐原の体を起こして体位を変えたので、桐原は犬飼に背中を向けたまま腰にまたがるような格好になる。背面座位でより深い奥を貫かれた瞬間鋭い快感が体内に渦巻き、思わず喉をあおのかせる。つらいのに前がトプリと溢れるのがわかった。

「…いぬかい…、奥、は、つらい…」

「つらい?こんなびしょびしょにして、すごく感じてるのに?」

唸りながら訴えたが犬飼は意に介さず桐原の屹立を指で弾いたので、桐原は苦鳴の喘ぎを漏らした。
しおりを挟む
感想 10

あなたにおすすめの小説

小さなことから〜露出〜えみ〜

サイコロ
恋愛
私の露出… 毎日更新していこうと思います よろしくおねがいします 感想等お待ちしております 取り入れて欲しい内容なども 書いてくださいね よりみなさんにお近く 考えやすく

病気になって芸能界から消えたアイドル。退院し、復学先の高校には昔の仕事仲間が居たけれど、彼女は俺だと気付かない

月島日向
ライト文芸
俺、日生遼、本名、竹中祐は2年前に病に倒れた。 人気絶頂だった『Cherry’s』のリーダーをやめた。 2年間の闘病生活に一区切りし、久しぶりに高校に通うことになった。けど、誰も俺の事を元アイドルだとは思わない。薬で細くなった手足。そんな細身の体にアンバランスなムーンフェイス(薬の副作用で顔だけが大きくなる事) 。 誰も俺に気付いてはくれない。そう。 2年間、連絡をくれ続け、俺が無視してきた彼女さえも。 もう、全部どうでもよく感じた。

イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?

すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。 翔馬「俺、チャーハン。」 宏斗「俺もー。」 航平「俺、から揚げつけてー。」 優弥「俺はスープ付き。」 みんなガタイがよく、男前。 ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」 慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。 終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。 ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」 保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。 私は子供と一緒に・・・暮らしてる。 ーーーーーーーーーーーーーーーー 翔馬「おいおい嘘だろ?」 宏斗「子供・・・いたんだ・・。」 航平「いくつん時の子だよ・・・・。」 優弥「マジか・・・。」 消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。 太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。 「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」 「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」 ※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。 ※感想やコメントは受け付けることができません。 メンタルが薄氷なもので・・・すみません。 言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。 楽しんでいただけたら嬉しく思います。

イケメン社長と私が結婚!?初めての『気持ちイイ』を体に教え込まれる!?

すずなり。
恋愛
ある日、彼氏が自分の住んでるアパートを引き払い、勝手に『同棲』を求めてきた。 「お前が働いてるんだから俺は家にいる。」 家事をするわけでもなく、食費をくれるわけでもなく・・・デートもしない。 「私は母親じゃない・・・!」 そう言って家を飛び出した。 夜遅く、何も持たず、靴も履かず・・・一人で泣きながら歩いてるとこを保護してくれた一人の人。 「何があった?送ってく。」 それはいつも仕事場のカフェに来てくれる常連さんだった。 「俺と・・・結婚してほしい。」 「!?」 突然の結婚の申し込み。彼のことは何も知らなかったけど・・・惹かれるのに時間はかからない。 かっこよくて・・優しくて・・・紳士な彼は私を心から愛してくれる。 そんな彼に、私は想いを返したい。 「俺に・・・全てを見せて。」 苦手意識の強かった『営み』。 彼の手によって私の感じ方が変わっていく・・・。 「いあぁぁぁっ・・!!」 「感じやすいんだな・・・。」 ※お話は全て想像の世界のものです。現実世界とはなんら関係ありません。 ※お話の中に出てくる病気、治療法などは想像のものとしてご覧ください。 ※誤字脱字、表現不足は重々承知しております。日々精進してまいりますので温かく見ていただけると嬉しいです。 ※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・すみません。 それではお楽しみください。すずなり。

【連載再開】絶対支配×快楽耐性ゼロすぎる受けの短編集

あかさたな!
BL
※全話おとな向けな内容です。 こちらの短編集は 絶対支配な攻めが、 快楽耐性ゼロな受けと楽しい一晩を過ごす 1話完結のハッピーエンドなお話の詰め合わせです。 不定期更新ですが、 1話ごと読切なので、サクッと楽しめるように作っていくつもりです。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーー 書きかけの長編が止まってますが、 短編集から久々に、肩慣らししていく予定です。 よろしくお願いします!

愛され末っ子

西条ネア
BL
本サイトでの感想欄は感想のみでお願いします。全ての感想に返答します。 リクエストはTwitter(@NeaSaijou)にて受付中です。また、小説のストーリーに関するアンケートもTwitterにて行います。 (お知らせは本編で行います。) ******** 上園琉架(うえぞの るか)四男 理斗の双子の弟 虚弱 前髪は後々左に流し始めます。髪の毛の色はご想像にお任せします。深い赤みたいなのアースアイ 後々髪の毛を肩口くらいまで伸ばしてゆるく結びます。アレルギー多め。その他の設定は各話で出てきます! 上園理斗(うえぞの りと)三男 琉架の双子の兄 琉架が心配 琉架第一&大好き 前髪は後々右に流します。髪の毛の色はご想像にお任せします。深い緑みたいなアースアイ 髪型はずっと短いままです。 琉架の元気もお母さんのお腹の中で取っちゃった、、、 上園静矢 (うえぞの せいや)長男 普通にサラッとイケメン。なんでもできちゃうマン。でも弟(特に琉架)絡むと残念。弟達溺愛。深い青色の瞳。髪の毛の色はご想像にお任せします。 上園竜葵(うえぞの りゅうき)次男 ツンデレみたいな、考えと行動が一致しないマン。でも弟達大好きで奮闘して玉砕する。弟達傷つけられたら、、、 深い青色の瞳。兄貴(静矢)と一個差 ケンカ強い でも勉強できる。料理は壊滅的 上園理玖斗(うえぞの りくと)父 息子達大好き 藍羅(あいら・妻)も愛してる 家族傷つけるやつ許さんマジ 琉架の身体が弱すぎて心配 深い緑の瞳。普通にイケメン 上園藍羅(うえぞの あいら) 母 子供達、夫大好き 母は強し、の具現化版 美人さん 息子達(特に琉架)傷つけるやつ許さんマジ。 てか普通に上園家の皆さんは顔面偏差値馬鹿高いです。 (特に琉架)の部分は家族の中で順列ができているわけではなく、特に琉架になる場面が多いという意味です。 琉架の従者 遼(はる)琉架の10歳上 理斗の従者 蘭(らん)理斗の10歳上 その他の従者は後々出します。 虚弱体質な末っ子・琉架が家族からの寵愛、溺愛を受ける物語です。 前半、BL要素少なめです。 この作品は作者の前作と違い毎日更新(予定)です。 できないな、と悟ったらこの文は消します。 ※琉架はある一定の時期から体の成長(精神も若干)がなくなる設定です。詳しくはその時に補足します。 皆様にとって最高の作品になりますように。 ※作者の近況状況欄は要チェックです! 西条ネア

上司と俺のSM関係

雫@更新不定期です
BL
タイトルの通りです。

騙されて快楽地獄

てけてとん
BL
友人におすすめされたマッサージ店で快楽地獄に落とされる話です。長すぎたので2話に分けています。

処理中です...