2 / 10
1 ~近づく距離
しおりを挟む
1 ~近づく距離
扁額のない門の前に一台の車が停まった。
時は夜、丑の刻。
どこにでもあるような二輪の車だが、不思議なことに馭者は乗っていない。どころか、その前方に馬がつながれていない。それでも車は傾くでもなく、ここまで走ってきた。
よく眺めてみれば、二つの車輪からは青白い火花が閃いている。筋状の光は屈折するのか、時折、折れ曲がったように鋭く光を放つ。
まるで地上に落ちた雷がからみ、これが原動力となっているかのようであった。
「また今夜も収穫がなかったわね」
こめかみを押さえて嘆きつつ車から降りる者がある。
その者に寄り添って手を引いているのは、少女。
「諦めず、がんばりましょう」
大人と子供、二人は連れだって邸に入っていった。
この日、扶霊は子供達に〝鬼〟の話をしていた。
「これは[酉陽雑俎]という本です。怪事件や珍談奇談などが分類して収録されています」
子供達を怖がらせようとしたのではない。
この書物には、衣食風習など百般の事柄について考証、見聞したものが記されている。識字率の低い庶人が広い知識を蓄えるのは難しい。が、小説を読みながらであれば多少は頭に入るだろうと、選んでみた一冊だった。
怯えるかとちょっと心配していた扶霊であったが、今も昔も人は都市伝説が大好物である。不思議の話に対して興味津々らしい子供達の目はキラッキラしていた。
(純粋さが眩しい)
悪いコトをしているわけでもないのに扶霊の笑みはぎこちない。
(期待しないでほしい)
正直、子供は苦手なのだ。
「先生、早く。続きはー?」
次々と子供達に催促されて、扶霊はあるかなきかの微笑で本心をごまかす。
「鬼とは、すべての怪しいもののことです。鬼は概ねみっつに分類されるといいます。
ひとつ、人鬼――人の霊魂
ふたつ、妖怪――動物が化けたもの、またはその霊
みっつ、物精――無生物の精、植物の精」
ほへぇ、と子供達は納得したのかしていないのか、よくわからないが楽しそうな声をあげた。はしゃぐ声には少しの興奮がまざっているようだ。
「今日読むのは男の左腕にできた腫れ物の不思議[人面疽の怪]というお話です」
小説の読み聞かせが終わると、字を学びたいという子らが残った。室内でその子らに自習をさせて、扶霊は庭の四阿へ出る。ちょうど迅琳が茶を淹れたところだった。
「最近、三兄のところにお客人が来て」
迅琳と話しているのは貴族の姫様――裴豈華である。
豈華の言う『三兄』とは、三番目の兄をさす。
「三兄とお客人が道ならぬ恋仲ではないかと、わたくし疑っているのよ」
卓に着き茶杯を口に運びかけていた扶霊は話の展開にびっくりして、あやうく茶をこぼしそうになった。話し相手にされている迅琳はといえば、まだ九歳だからか、にこにこと頷いているだけ。
一方通行の話は進む。
芽吹きの季節に合わせた鮮やかな襦裙を纏う豈華は、話の流れに不似合いな、衣の色にふさわしい満面の笑みで語っている。
「嬉しいわ。これで[女人向け男同士の友情恋愛小説]を書けますもの」
「んん?」
さすがに迅琳も、おかしい、と思ったらしい。疑問符が頭上に浮かんだ。
「とても長い題ですね」
指摘するトコロが微妙に違う。
と、扶霊はツッコミたくなったが、迅琳ののほほんとした声音が可愛かったので、茶をすすって気をまぎらわせた。
「これは仮題です……わぁあ、そう、長い題名であれば表紙を見ただけである程度の内容が把握できますし。宣伝効果アリでよいかもしれません。友情に重きをおいた男色の小説、重要なのはあくまで女人向けというところで、紙が普及し木版印刷技術が向上したこれからの世には女人の需要も増えると考えていますの。わたくしが自ら筆をとりますので」
お二人のご意見をうかがいたくて、という豈華の声にかぶせて、門の方角から別の声が響いた。見れば、仕立てのよい袍衫の大袖に両手をつっこんだ男が歩いてくるところ。
(初めて見る顔だ)
扶霊は思う。男は若い、歳は二十代前半くらいか。
「勢力を増す裴氏の娘であれば皇太子妃の座に就けるのに。十三という結婚適齢期でありながら、結婚には無関心とは」
そっと、豈華の背後に立つ。まるで護衛官のような機敏な足の運びだった。
「三郎が泣くな」
「あら、宇月の兄様」
細い顎を上向けて背後を確認した豈華は、すぐに扶霊と迅琳に向きなおった。長い睫を揺らして「これが男色のネタです」という目配せをするが、当然、お子ちゃまな迅琳は気づいていない。黙々と青年に茶を淹れている。
扶霊はそれとなく自分が日陰にいることを確認し、長く垂らした前髪を整えた。
「こちら、ズレ者な三兄の貴重なご友人」
豈華の紹介はあっさりしていた。彼女の性格そのものである。
「ズレ者?」
訊き返したのは、紹介された宇月だった。
「だって三兄は標準的な感覚からズレていますもの」
(わー無自覚?)
反射的にぽかんとなったのは扶霊だ。
豈華自身も貴族の標準から大幅にズレているのに本人は気づいていないらしい。
「三兄ったら、結婚していましたのに、何事にも欲がないところを嫌われて夫人に捨てられましたの。離縁されるなんて。まさに独身貴族になったのですわ」
「三郎が離縁されたのは、裴氏がまだ寒門だった頃の話だろ。ま、今はこれぞ独身貴族で人生を謳歌してるけどな。元妻は悔しがってるんじゃないか」
【独身貴族】とは今代の流行り言葉であり、時間も銭も余裕のある自由人に対して使う。貴族でなくても使われるので、豈華の兄は皮肉られているといってもいい。
その独身貴族との逢瀬を小説の題材にされるのに、知らないとは幸せである。宇月と豈華は相性が良いのか、ここにはいない三兄の話題で盛りあがっている。
そもそも。
豈華が気安く庶人の邸を訪ねてくるのは、つい数年前まで裴氏が寒門だったからである。『寒門』とは非門閥をさし、簡単に言ってしまえば没落途中の貴族のこと。官界とは縁の薄い貧乏暮らしだったので、今でもざっくばらんに会話ができる。
「いつの時代も女は賢い男を待っているというのに。不倫が珍しくなくなった昨今、女が強くなったのではなくて、殿方が平均よりも弱くなっているのですわ。この現状に気づかないなんて世も末、国も傾くというものです」
「だからって小説で表現?」
「目指しましょう、文明の促進! わたくしは筆の力で時代を超越するのです」
宇月は立ったまま。茶を出されたのに座ろうとしないのは、すぐに帰るという意思の表れだろうか。そんなことを考えながら、扶霊は二人の会話を聞くともなしに聞いていた。
元々口巧者なほうではない扶霊は、頭で考えていることの三分の一も口にしない。
(この青年、なにをしに来たのか)
時折、宇月がこちらを見ているのはわかったが、目と目が合わないよう眼差しを前髪に隠していた。まともに視線が交わらなければ、声をかけられることもないだろう。
豈華の身を案じて迎えにきたのかとも思ったが。世間話に花を咲かせて宇月は帰っていった。
結局のところ、彼がなにしに寄ったのか、この日はわからないままで終わった。
《次回 勾死人》
扁額のない門の前に一台の車が停まった。
時は夜、丑の刻。
どこにでもあるような二輪の車だが、不思議なことに馭者は乗っていない。どころか、その前方に馬がつながれていない。それでも車は傾くでもなく、ここまで走ってきた。
よく眺めてみれば、二つの車輪からは青白い火花が閃いている。筋状の光は屈折するのか、時折、折れ曲がったように鋭く光を放つ。
まるで地上に落ちた雷がからみ、これが原動力となっているかのようであった。
「また今夜も収穫がなかったわね」
こめかみを押さえて嘆きつつ車から降りる者がある。
その者に寄り添って手を引いているのは、少女。
「諦めず、がんばりましょう」
大人と子供、二人は連れだって邸に入っていった。
この日、扶霊は子供達に〝鬼〟の話をしていた。
「これは[酉陽雑俎]という本です。怪事件や珍談奇談などが分類して収録されています」
子供達を怖がらせようとしたのではない。
この書物には、衣食風習など百般の事柄について考証、見聞したものが記されている。識字率の低い庶人が広い知識を蓄えるのは難しい。が、小説を読みながらであれば多少は頭に入るだろうと、選んでみた一冊だった。
怯えるかとちょっと心配していた扶霊であったが、今も昔も人は都市伝説が大好物である。不思議の話に対して興味津々らしい子供達の目はキラッキラしていた。
(純粋さが眩しい)
悪いコトをしているわけでもないのに扶霊の笑みはぎこちない。
(期待しないでほしい)
正直、子供は苦手なのだ。
「先生、早く。続きはー?」
次々と子供達に催促されて、扶霊はあるかなきかの微笑で本心をごまかす。
「鬼とは、すべての怪しいもののことです。鬼は概ねみっつに分類されるといいます。
ひとつ、人鬼――人の霊魂
ふたつ、妖怪――動物が化けたもの、またはその霊
みっつ、物精――無生物の精、植物の精」
ほへぇ、と子供達は納得したのかしていないのか、よくわからないが楽しそうな声をあげた。はしゃぐ声には少しの興奮がまざっているようだ。
「今日読むのは男の左腕にできた腫れ物の不思議[人面疽の怪]というお話です」
小説の読み聞かせが終わると、字を学びたいという子らが残った。室内でその子らに自習をさせて、扶霊は庭の四阿へ出る。ちょうど迅琳が茶を淹れたところだった。
「最近、三兄のところにお客人が来て」
迅琳と話しているのは貴族の姫様――裴豈華である。
豈華の言う『三兄』とは、三番目の兄をさす。
「三兄とお客人が道ならぬ恋仲ではないかと、わたくし疑っているのよ」
卓に着き茶杯を口に運びかけていた扶霊は話の展開にびっくりして、あやうく茶をこぼしそうになった。話し相手にされている迅琳はといえば、まだ九歳だからか、にこにこと頷いているだけ。
一方通行の話は進む。
芽吹きの季節に合わせた鮮やかな襦裙を纏う豈華は、話の流れに不似合いな、衣の色にふさわしい満面の笑みで語っている。
「嬉しいわ。これで[女人向け男同士の友情恋愛小説]を書けますもの」
「んん?」
さすがに迅琳も、おかしい、と思ったらしい。疑問符が頭上に浮かんだ。
「とても長い題ですね」
指摘するトコロが微妙に違う。
と、扶霊はツッコミたくなったが、迅琳ののほほんとした声音が可愛かったので、茶をすすって気をまぎらわせた。
「これは仮題です……わぁあ、そう、長い題名であれば表紙を見ただけである程度の内容が把握できますし。宣伝効果アリでよいかもしれません。友情に重きをおいた男色の小説、重要なのはあくまで女人向けというところで、紙が普及し木版印刷技術が向上したこれからの世には女人の需要も増えると考えていますの。わたくしが自ら筆をとりますので」
お二人のご意見をうかがいたくて、という豈華の声にかぶせて、門の方角から別の声が響いた。見れば、仕立てのよい袍衫の大袖に両手をつっこんだ男が歩いてくるところ。
(初めて見る顔だ)
扶霊は思う。男は若い、歳は二十代前半くらいか。
「勢力を増す裴氏の娘であれば皇太子妃の座に就けるのに。十三という結婚適齢期でありながら、結婚には無関心とは」
そっと、豈華の背後に立つ。まるで護衛官のような機敏な足の運びだった。
「三郎が泣くな」
「あら、宇月の兄様」
細い顎を上向けて背後を確認した豈華は、すぐに扶霊と迅琳に向きなおった。長い睫を揺らして「これが男色のネタです」という目配せをするが、当然、お子ちゃまな迅琳は気づいていない。黙々と青年に茶を淹れている。
扶霊はそれとなく自分が日陰にいることを確認し、長く垂らした前髪を整えた。
「こちら、ズレ者な三兄の貴重なご友人」
豈華の紹介はあっさりしていた。彼女の性格そのものである。
「ズレ者?」
訊き返したのは、紹介された宇月だった。
「だって三兄は標準的な感覚からズレていますもの」
(わー無自覚?)
反射的にぽかんとなったのは扶霊だ。
豈華自身も貴族の標準から大幅にズレているのに本人は気づいていないらしい。
「三兄ったら、結婚していましたのに、何事にも欲がないところを嫌われて夫人に捨てられましたの。離縁されるなんて。まさに独身貴族になったのですわ」
「三郎が離縁されたのは、裴氏がまだ寒門だった頃の話だろ。ま、今はこれぞ独身貴族で人生を謳歌してるけどな。元妻は悔しがってるんじゃないか」
【独身貴族】とは今代の流行り言葉であり、時間も銭も余裕のある自由人に対して使う。貴族でなくても使われるので、豈華の兄は皮肉られているといってもいい。
その独身貴族との逢瀬を小説の題材にされるのに、知らないとは幸せである。宇月と豈華は相性が良いのか、ここにはいない三兄の話題で盛りあがっている。
そもそも。
豈華が気安く庶人の邸を訪ねてくるのは、つい数年前まで裴氏が寒門だったからである。『寒門』とは非門閥をさし、簡単に言ってしまえば没落途中の貴族のこと。官界とは縁の薄い貧乏暮らしだったので、今でもざっくばらんに会話ができる。
「いつの時代も女は賢い男を待っているというのに。不倫が珍しくなくなった昨今、女が強くなったのではなくて、殿方が平均よりも弱くなっているのですわ。この現状に気づかないなんて世も末、国も傾くというものです」
「だからって小説で表現?」
「目指しましょう、文明の促進! わたくしは筆の力で時代を超越するのです」
宇月は立ったまま。茶を出されたのに座ろうとしないのは、すぐに帰るという意思の表れだろうか。そんなことを考えながら、扶霊は二人の会話を聞くともなしに聞いていた。
元々口巧者なほうではない扶霊は、頭で考えていることの三分の一も口にしない。
(この青年、なにをしに来たのか)
時折、宇月がこちらを見ているのはわかったが、目と目が合わないよう眼差しを前髪に隠していた。まともに視線が交わらなければ、声をかけられることもないだろう。
豈華の身を案じて迎えにきたのかとも思ったが。世間話に花を咲かせて宇月は帰っていった。
結局のところ、彼がなにしに寄ったのか、この日はわからないままで終わった。
《次回 勾死人》
0
お気に入りに追加
1
あなたにおすすめの小説

天地狭間の虚ろ
碧井永
ファンタジー
「なんというか、虚しい」それでも――
天と地の狭間を突き進む、硬派中華ファンタジー。
《あらすじ》
鼎国(ていこく)は伝説の上に成り立っている。
また、鼎国内には鬼(き)が棲んでいる。
黎王朝大統二年十月、それは起こった。
鬼を統べる冥界の王が突如、朝議の場に出現し、時の皇帝にひとつの要求を突きつける。
「我が欲するは花嫁」
冥王が、人の花嫁を欲したのだ。
しかし皇帝には、求められた花嫁を譲れない事情があった。
冥王にも譲れない事情がある。
攻防の末、冥王が提案する。
「我の歳を当ててみよ」
言い当てられたら彼女を諦める、と。
冥王は鬼であり、鬼は己のことは語らない。鬼の年齢など、謎そのもの。
なんの前触れもなく謎解きに挑戦することになった皇帝は、答えを導きださねばならず――。
朝廷がぶちあたった前代未聞の不思議話。
停滞する黎王朝(れいおうちょう)に、新たな風が吹き抜ける。
《国と中央機関》
① 国名は、鼎(てい)。鼎国の皇都は、天延(てんえん)。
② 現在、鼎国を統治しているのは黎家(れいけ)であり、黎王朝では二省六部を、史館(しかん)と貴族院の一館一院が支える政治体制をとっている。
③ 皇帝直属の近衛軍を神策軍(しんさくぐん)という。
④ これらの組織とは別に、黎家を護る三つの家・護三家(ごさんけ)がある。琉(りゅう)、環(かん)、瑶(よう)の護三家はそれぞれ異能を駆使できる。
《人物紹介》
凛丹緋(りん・たんひ)
美人だが、家族から疎まれて育ったために性格の暗さが顔に異様な翳をつくっている。人を寄せつけないところがある。後宮で夫人三妃の選別のため、采女として入宮したばかり。
黎緋逸(れい・ひいつ)
見たものが真実であるという、現実主義の皇帝。
凶相といえるほどの三白眼(さんぱくがん)をもつ。
黎蒼呉(れい・そうご)
緋逸の実弟。流罪となり、南の地で暮らしている。恋魔(れんま)とあだ名されるほど女癖が悪い。多くの文官武官から見下されている。
黎紫苑(れい・しおん)
緋逸の異母弟。これといった特徴のない人。皇帝の異母弟ということもあり、半ば忘れ去られた存在。詩が好き。
崔美信(さい・びしん)
殿中監。殿中省は皇帝の身辺の世話だけでなく、後宮の一切合財を取り仕切る。まだまだ男社会の中でとくに貴族の男を見下している。皇帝相手でも容赦ナイ。
環豈華(かん・がいか)
美信によって選ばれ、丹緋付きの侍女となる。見鬼の能力を有する環家の出だが、無能。いらない存在だった身の上が、丹緋との距離を近づける。

【完結】仰る通り、貴方の子ではありません
ユユ
恋愛
辛い悪阻と難産を経て産まれたのは
私に似た待望の男児だった。
なのに認められず、
不貞の濡れ衣を着せられ、
追い出されてしまった。
実家からも勘当され
息子と2人で生きていくことにした。
* 作り話です
* 暇つぶしにどうぞ
* 4万文字未満
* 完結保証付き
* 少し大人表現あり


愛する貴方の心から消えた私は…
矢野りと
恋愛
愛する夫が事故に巻き込まれ隣国で行方不明となったのは一年以上前のこと。
周りが諦めの言葉を口にしても、私は決して諦めなかった。
…彼は絶対に生きている。
そう信じて待ち続けていると、願いが天に通じたのか奇跡的に彼は戻って来た。
だが彼は妻である私のことを忘れてしまっていた。
「すまない、君を愛せない」
そう言った彼の目からは私に対する愛情はなくなっていて…。
*設定はゆるいです。

魅了が解けた貴男から私へ
砂礫レキ
ファンタジー
貴族学園に通う一人の男爵令嬢が第一王子ダレルに魅了の術をかけた。
彼女に操られたダレルは婚約者のコルネリアを憎み罵り続ける。
そして卒業パーティーでとうとう婚約破棄を宣言した。
しかし魅了の術はその場に運良く居た宮廷魔術師に見破られる。
男爵令嬢は処刑されダレルは正気に戻った。
元凶は裁かれコルネリアへの愛を取り戻したダレル。
しかしそんな彼に半年後、今度はコルネリアが婚約破棄を告げた。
三話完結です。
私は心を捨てました 〜「お前なんかどうでもいい」と言ったあなた、どうして今更なのですか?〜
月橋りら
恋愛
私に婚約の打診をしてきたのは、ルイス・フォン・ラグリー侯爵子息。
だが、彼には幼い頃から大切に想う少女がいたーー。
「お前なんかどうでもいい」 そうあなたが言ったから。
私は心を捨てたのに。
あなたはいきなり許しを乞うてきた。
そして優しくしてくるようになった。
ーー私が想いを捨てた後で。
どうして今更なのですかーー。
*この小説はカクヨム様、エブリスタ様でも連載しております。
【商業企画進行中・取り下げ予定】さようなら、私の初恋。
ごろごろみかん。
ファンタジー
結婚式の夜、私はあなたに殺された。
彼に嫌悪されているのは知っていたけど、でも、殺されるほどだとは思っていなかった。
「誰も、お前なんか必要としていない」
最期の時に言われた言葉。彼に嫌われていても、彼にほかに愛するひとがいても、私は彼の婚約者であることをやめなかった。やめられなかった。私には責務があるから。
だけどそれも、意味のないことだったのだ。
彼に殺されて、気がつけば彼と結婚する半年前に戻っていた。
なぜ時が戻ったのかは分からない。
それでも、ひとつだけ確かなことがある。
あなたは私をいらないと言ったけど──私も、私の人生にあなたはいらない。
私は、私の生きたいように生きます。

もう死んでしまった私へ
ツカノ
恋愛
私には前世の記憶がある。
幼い頃に母と死別すれば最愛の妻が短命になった原因だとして父から厭われ、婚約者には初対面から冷遇された挙げ句に彼の最愛の聖女を虐げたと断罪されて塵のように捨てられてしまった彼女の悲しい記憶。それなのに、今世の世界で聖女も元婚約者も存在が煙のように消えているのは、何故なのでしょうか?
今世で幸せに暮らしているのに、聖女のそっくりさんや謎の婚約者候補が現れて大変です!!
ゆるゆる設定です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる