桜ノ森

糸の塊゚

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望執dream truth.

少年は夢を見る。 (Ⅰ)

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 ────白く、消毒液の匂いが染み付いた清潔感が溢れる部屋の中。
 俺はその部屋の椅子に座っていて、すぐ目の前を見ると、暗い髪色の背が低い、やや目つきの悪い少年が向かい合って座っていた。
 ただ座っているだけじゃなくて、俺は左腕を少年に差し出していて、少年は俺の左腕に包帯を巻いていた。
 そのかなり慣れた手つきをぼうっと眺めていると、少年はふと口を開いた。

 「────そんな顔しなくても、オレは怒りも責めもしねぇよ。お前が死ぬ気がないのは分かってるし、こうすることでお前が生きていってくれるなら、オレは黙って何度でも手当くらいしてやるし、解けた包帯だっていくらでも巻き直してやる」

 酷く優しい顔でそう言う少年に、俺は「ごめん」と一言謝ると、少年はけらけらと笑った。

 「珍しく素直じゃねえか。謝んなくていいよ。……約束しただろ。その日が来るまでオレはお前を支え続けるし、お前の為になんだってやるって」

 ……そうだ、約束したんだっけ。目の前の少年と。どんな約束だったかは思い出せないけれど、確実にしたんだ。とても、とても大切な約束を。
 どうしてもその内容を思い出せなくて、またぼうっと包帯を眺めていると、何故か普段は感じない痛みを、左腕から感じた。
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